京都の交通機関は、外国人観光客の増加もあり「バス」を筆頭に様々な場所で観光客による混雑が見受けられますが、特に知名度の高い「混雑路線」としては、バスだけではなくJR(電車)の「嵯峨野線」も一般的に知られています。
こちらでは、嵯峨野線における「混雑」について、「観光」による混雑に関する状況を中心に、その基本的な特徴を解説していきます。
どうして混雑する?
嵯峨野線の「混雑」は、基本的には日常的な利用が多い路線に、更に「観光客」が集中することにより生じます。
観光客は、その多くは「嵐山」観光に訪れる観光客(外国の方が多い)であり、京都駅から出発される方のみならず、「新快速」や「新幹線」などで大阪・東京方面など各地からやって来た方が、そのまま京都駅で乗り換えるケースも少なくありません。
嵯峨野線は京都近郊の地域・京都市内西部と京都駅を結ぶ重要なルートであり、通勤・通学・おでかけの日常的な利用が多くなっています。一方、沿線には大学や事業所なども多いため、単純に「午前に京都駅行き・午後に郊外向き」の利用が多いとは限りません。結果として、観光客の動きと日常的な人々の動きが重なることで、混雑が激化しやすい状況となっています。
なお、亀岡市の「サンガスタジアム」でサッカーの試合が開催される場合は、その観客のご利用が重なることで、より混雑しやすくなるケースもあります。
混雑の度合いは?
嵯峨野線については、国土交通省が公表する「混雑率」に関するデータは残念ながら存在しません。そのため、公式的な統計を元に、混雑について議論することは出来ません。
体感的な度合いで見た場合、時間帯・車両により相当程度の差があります。
観光客が集中したタイミング・通勤時間帯の一部の車両などでは、大阪のラッシュ時などと同等程度の混雑が見られる場合は珍しくなく、その時々の状況次第(サッカー試合や観光イベント等で多くの方が集中するケースなど)では、コロナ禍前の東京の通勤ラッシュを彷彿とさせるような混雑となるケースもあります。
一方で、後述する通り、車両を選んで利用した場合、その時々の利用状況によってはなんの問題もなく座れたりするケースも存在します。
どの区間が混雑する?
通常混雑しやすい区間 | 京都駅〜嵯峨嵐山駅 |
利用集中が特に生じやすい区間 | 京都駅〜二条駅・円町駅 |
サッカー試合開催時の混雑区間 | 京都駅〜亀岡駅 |
嵯峨野線の混雑は、京都市内の一部区間に集中しやすい特徴があります。観光客は9割方は「京都駅〜嵯峨嵐山駅」を往復でご利用になる場合がほとんどです。そのため、嵯峨嵐山駅までの区間は利用が多く、比較的混雑しやすい傾向が見られます。
但し、特に激しい混雑はあくまでも「日常的な利用」と「観光客」の両方が重なることで生じるものです。そのため、厳密には嵯峨嵐山駅までの区間というよりは、それより手前の重要な駅である「円町駅」や「二条駅」までの区間で特に利用が集中し、混雑が激しくなりやすいと言えます。
嵯峨嵐山駅より先、亀岡方面については、通常は通勤・通学ラッシュの時間帯には相応の混雑が見られる区間で、昼間はそれほど混雑しない場合が多いですが、亀岡駅前の「サンガスタジアム」でサッカー試合が開催される場合、亀岡駅までの区間も含め激しい混雑となり、嵯峨嵐山駅を利用する観光客も合わさって、やや混沌とした状況になる場合があります。
混雑の日程・時間帯は?
日程 | ・特に土日祝日 ・平日も混雑しやすい ・混雑しない日程は現実的に存在しない |
時間帯 | ・昼前〜昼過ぎの京都駅発、昼過ぎ〜夕方の京都駅行き ・サンガスタジアムのサッカー試合に合わせた時間帯(開始前:京都駅発、終了後:京都駅行き) ・平日は朝の京都駅行き、夕方以降の京都駅発も(通勤通学) |
嵯峨野線は、1日中空いているような使いやすい日程は存在しません。特別な悪天候時などを除き、1年中利用が多い状況となっています。インバウンドに伴うご利用(外国人観光客)は、土日祝日ではなく平日にも多く見られるため、土日祝日を避ければしっかり空いているとは言い難い側面があります。
観光客に伴う混雑としては昼前〜昼過ぎの京都駅発、昼過ぎ〜夕方の京都駅行きの電車が特に混雑しやすい状況です。また、亀岡市のサンガスタジアムのサッカー試合開始・終了のタイミングでもご利用が急増し、混雑が激しくなりやすいため、その点も注意が必要です。
混雑する車両は?空いていることはないの?
京都駅発 | ・後ろ側(のりばの手前側)ほど混雑 ・先頭側(のりばの奥側)ほど混雑しにくい ・かなりはっきりした混雑の差(偏り)が生じる |
京都駅方面行き | ・京都駅発と比べ車両による違いは生じにくい ・但し、京都駅改札に近い「先頭側」の方が混雑しやすい |
嵯峨野線の混雑は、「京都駅発」の電車は乗車位置に応じての「偏り」が大きい特徴があります。
嵯峨野線が発着する31・32・33番のりばは、京都駅の各改札口との移動・他線との乗り換えの際には「ホームの東側(京都駅発の電車の最後尾側、京都駅着の電車の先頭側)」が最寄りとなります。
利用される方は、止まっている電車の「近い側」からご乗車になることが多いですので、京都駅発の電車は、どうしても後ろ側の車両ほど混雑し、先頭側(8両編成の場合1〜2分程度歩く)は比較的空いているパターンが目立ってしまいます。
嵯峨野線=混雜というイメージが強いですが、少し歩いて先頭側まで行くと、場合によってはなんの問題もなく座れるケースもありますので、混雜がひどければ「なるべく前の方」の車両をご利用になることをおすすめします。
なお、運行する列車の両数による差も極めて大きく、4両編成ではかなり激しい混雑となりやすい一方、倍の8両編成となる場合、乗車位置に応じて混雑が緩和されやすくなっています。2024年のダイヤ改正では「増便」と「増結」が行われるなど、JR側としても混雑への対策を講じています。
車両の種類による違いとしては、一部の車両で座席数が少なくより多くの方が立ってご乗車頂ける車両による運行がありますが、時刻表などで運行状況が明記されているものではありません。
快速・普通のどちらが混む?
嵯峨野線の昼間時間帯のダイヤは、1時間1本の「快速」と1時間4本程度(2024年3月以降)の「普通」、合計5本の運行です。観光拠点の「嵯峨嵐山駅」は快速が停車するため、どちらもご利用頂けます。
混雑状況については、一概に「どちらが混みやすい」とは言い難く、どちらも十分に混雑する場合があります。その時々の観光利用の集中状況、両数などに応じた違いが大きく、快速を選んで乗る・普通を選んで乗るといったことをする必要はありません。
強いて言えば、「快速の直後」に発車をする「普通電車」は、快速にかなりの割合の方がご乗車になるため、それ以外の列車と比べると過度な混雑にはなりにくいケースが多いと言えます。
まとめ
・嵯峨野線の混雑は「日常的な利用」に「観光客の集中」が加わることで激しいものに
・混雑状況は時間帯、車両に応じ様々(大阪や東京のラッシュ時のようになる場合も)
・京都駅〜嵯峨嵐山駅間が混雑区間、特に京都駅〜二条駅、円町駅間は利用が集中しやすい
・土日祝日を中心に、平日も含め広く混雑
・観光による混雑は「昼前〜昼過ぎの京都駅発」、「昼過ぎ〜夕方の京都駅行き」で目立つ
・京都駅発の場合、先頭車両側ほど混雑しにくい
・快速、普通のどちらもしっかり混雑(快速発車直後の普通はやや混雑しにくい傾向あり)