地球温暖化により冬季の気温が上昇すると、日本国内の「ほとんどの地域」で雪は減少すると見込まれています。
特に既に気温が高め(雪か雨の境目の気温で降っているような地域)では、温暖化により雪が極めて少ない状態になると推定されています。具体的には関東をはじめ太平洋側の平地・沿岸部、日本海側でも特に山陰・近畿北部・北陸にかけての平地・沿岸部では、気温上昇の度合い次第では「ほとんど雪が消える」と言ってもよいくらいに、雪が減ってしまう可能性があります。
北海道の一部(主に内陸部)で増加の可能性
一方で、国内でも極めて寒冷な地域である北海道の内陸部を中心とした地域では、温暖化しても気温が氷点下のままになりやすいため、状況によっては雪が増加する可能性があるとされています。
気温上昇の度合いなどにより増加が推定される状況は異なるため一概には言えませんが、2℃温暖化するシナリオでは、年間の降雪量が北海道の内陸部で広く増加し、2月など真冬の時期については、札幌などの地域でも降雪量が増加する可能性が示されています。また、4℃温暖化するシナリオでも、上川地方を中心に降雪量が増加する可能性が示されています。
本州は一部山地を中心に部分的に増加の可能性
北海道よりも寒気が流れ込みにくい本州以南の地域については、温暖化による雪の増加は限定されます。
基本的に、本州では年間の降雪量自体はどこであっても減少すると示されていますが、2℃温暖化するシナリオでは、2月など真冬の期間に限っては、降雪量が岐阜県・長野県・新潟県一帯の標高が高い地域を中心に増加する可能性があるとされています。4℃温暖化するシナリオでは、年平均の数字が上昇すると見込まれるケースは基本的にありません。
「10年に1回の大雪」の増加可能性も
年間平均ベースではなく、ごくまれに降る大雪(10年に1回の大雪)を基準とする場合、現在と比べ「ドカ雪」の量が増加する可能性がある地域は上述したようなケースと比べると拡大します。
具体的には、2℃ではなく4℃上昇シナリオでも北海道の内陸部・一部日本海側、また岐阜県・長野県・新潟県の標高の高い場所の比較的広範囲で「ドカ雪」の量が増加する可能性が示されています。増加要因としては、かなりの温暖化=海水温の大幅上昇を引き起こし、結果として雲が発達し降水量が増加することが指摘されています。
10年に1回の大雪の場合、毎年で見た場合多くの年で「現在より少ない雪」であっても、ある年だけ突出して「現在より多く」なれば、「多くなった」ということになりますので、該当する範囲がより広がることになります。
各予測に関する具体的な内容は、気象庁によるシミュレーションで公表されています。