雪が降る「上空の気温(寒気)」の目安とは?

自然・気候

雪が降る上では地上の気温のみならず「上空の気温」が非常に重要です。こちらでは、雪の目安とされる上空の気温について、重要な数字をまとめて解説していきます。

上空1500m付近で-6℃

上空1500m付近(850hPa)の気温が-6℃程度まで下がると、一般に「雪が降る目安の気温」とされています。

但し、平地(海沿い)の場合はこのレベルの寒気では、「かなりしっかり降る(強く降る)」ことがなければ、雪が積もることは多くありません。断続的に降る、弱く降る程度であれば単なる「雨」となり、ある程度の強さで降っても「みぞれ」程度に留まることが少なくありません。但し、少し標高が高い山沿いなどでは、ごく普通に雪が降ることも多くなっています。

あくまでも雪に変わり始めることが増えていく一つの基準と言えるでしょう。

上空1500m付近で-9℃

上空1500m付近(850hPa)の気温が-9℃程度まで下がると、平地(海沿い)でも雪がしっかり降れば積もりやすい状況となります。気温は0℃程度、状況によっては少し氷点下となる場合もあります。

山陰・近畿北部・北陸3県の平地で雪が積もるケースは、このくらいの寒気の場合が比較的目立ちます。

上空1500m付近で-12℃

上空1500m付近(850hPa)の気温が-12℃程度まで下がると、平地(海沿い)かつ強く降らないような程度であっても、すぐに真っ白になるくらいの状況となります。

強く降る場合、気温が氷点下となるため、より高い温度と比べサラサラした雪質で、どんどん積もっていきやすい特徴があります。

東北北部や北海道周辺では、この強さの寒気がごく一般的で、状況に応じて-15℃・-18℃など更に強い寒気に覆われることもあります。

上空5500m付近で-30℃

上空5500m付近(500hPa)で-30℃の寒気は、一般に「雪が降る目安」とされることがあります。

但し、上空の気温と地上付近の気温の状況は完全には相関しません。そのため、雨しか降らない気温であっても、上空には雪の目安となる寒気が入り込むケースも少なからず見られます。そのため、基本的には上空1500m付近の寒気を目安にする必要があります。

上空5500m付近で-36℃

上空5500m付近(500hPa)で-36℃の寒気は、一般に「大雪の目安」とされます。

これについては、比較的実態に即した目安と言え、冬型の気圧配置が強まるケースで実際に雪雲が掛かる場合、-36℃のラインが掛かるエリアではまとまった雪になりやすい傾向があります。

但し、特に春先の時期などは、地上付近の気温が高めでもこの-36℃の寒気が上空に入るケースがあり、そういった場合は平地では雪になりにくいケースもあります。

上空5500m付近で-42℃

上空5500m付近(500hPa)で-42℃の寒気は、時に「豪雪の目安」とされることがあります。

これは基本的に間違っておらず、山陰〜北陸〜東北南部周辺の過去の記録的な「ドカ雪」のケースにおいては、この豪雪の目安となる寒気が関係している場合が見られます。

但し、北海道の真冬の時期には、雪雲が入りにくい条件でもこの寒気に覆われることがあり、そういったケースでは必ずしも大量の雪を降らせる要因にはなりません。

上空3000m付近で-21℃

テレビの気象情報などで用いられることはほぼありませんが、比較的実態に即した目安としては、上空3000m付近(700hPa)で-21℃の寒気が入る場合「大雪」になりやすい特徴が見られます。

とりわけ近年は、500hPaの寒気がそれほど強くないケース(場合によっては-30℃より高い状況)でも、西日本なども含め広く大雪となるケースが見られますが、そういった事例は基本的に全てこの上空3000m付近の寒気がかなり強くなっており、こちらも目安として用いる必要があると言えます。

例外:上空1500m付近で-3℃

通常雪が降る寒気ではありませんが、太平洋側に影響をもたらす「南岸低気圧」については、上空1500m付近に-3℃程度の寒気であっても雪が降ることがあります。

基本的に、この場合「降り出す前の地上付近の冷え込みが強い」ことや、「より下層の気温がそれほど上がらない(例えば上空750m付近など)」といった条件が必要になり、雨・みぞれが降るケースも少なくありません。

南岸低気圧で「確実に雪が降る」上では、やはり「-6℃級」のしっかりした寒気が必要となります。