冬になると、多くの地域では雪が少なくとも一度くらいは降ることが多いですが、雪が全く降らない冬というものはあるのでしょうか?
沖縄などはもちろん降らない
当たり前のことですが、沖縄・奄美・小笠原諸島などは、冬に雪が降ることはありません。
厳密に言えば沖縄の名護・奄美大島の名瀬など一部に限り、過去にみぞれなどが観測された事例があるものの、100年に1〜2回あるかないかといった特殊な現象ですので、通常冬に雪が降る地域ではありません。
また、種子島・屋久島・伊豆諸島北部といった地域についても、雪は一部の年にわずかに降る程度で、毎年必ず見られる状況にはありません。
本州・四国・九州でも雪が降らない冬は存在
離島以外の地域、本州・四国・九州地方においても、冬に雪が一度も降らないケースは存在します。
具体的には、宮崎県の平野部・徳島県の南部沿岸部・高知県の東部沿岸部・静岡県の一部などは、そもそも舞う程度も含め、実質的に雪が一度も降ることがない年が存在すると言えます。
これらの地域は、日本海側や東シナ海側からの距離が遠く、気温も高い傾向が強いため、他の地域で雪が降る場合も全く降らずに終わることが大半です。雪が「降った」と体感されることの方が珍しく、温暖化以前に雪とはほぼ無縁な地域です。
東京・大阪などで雪が降らない年は?
東京・名古屋・京都・大阪・神戸・広島・福岡といった太平洋ベルト沿いの大都市では、これまでの観測上、雪が一度も降らなかった年は存在しません。
但し、体感的に雪が降ったとほとんど認識されない年は、例えば2020年冬の一部地域など、温暖化傾向に伴い「大暖冬」が増える中では、出現し始めていると言えます。
人々の「体感」する降雪の有無と、実際の「観測」される降雪の有無に違いが生じる状況は、次項で述べる通り、観測の手法が大きく関係している場合もあります。
自動観測という番狂わせ
雪に関する観測は、現在東京などごく一部を除き「自動観測」による実施です。
自動観測は、「観測」と名乗っていますが、実際は「何かが降った」こと自体は感雨器で観測するものの、その降ったものが「何なのか(雨なのか、みぞれなのか、雪なのか)は具体的には観測しません。代わりに何をするかと言えば、特定の計算式にあてはめて「この温度・湿度なら雨・みぞれ・雪」といった形で自動的に振り分けていきます。
すなわち、計算式上は「雪」とされているケースでも、それが本当に雪なのかは証明出来ません。それを裏付けるように、近年は「初雪を観測」というニュースが流れても、そこで生活している人はなぜか誰も「雪を見ていない」というケースが少なからず生じています。情報の解釈に注意が必要です。
全国規模で雪が降らないことはあり得ない
温暖化の時代になり、雪が降る機会は温暖な地域では明らかに減っている傾向にありますが、「雪が全く降らない冬」が全国のどこでも生じることはまずあり得ません。
どんなに温暖化したと言っても、本州の標高の高い山地では多くの雪が必ず毎年降っており、北日本では平地も含め毎年しっかりとした量の雪が降る場合が目立ちます。
例えば札幌で見てみれば、仮に冬の気温を機械的に6〜7℃くらい温暖化させたシミュレーションをしてみても、それでもなお雪が降る・積もる機会は少し残ります。旭川で見てみれば、なんと機械的に「10℃」温暖化させたシミュレーションでも、やはり雪が降る・積もる機会は少し残ります。