雪の降る「強さ」の限界は?

自然・気候

雪の降り方は、弱い雪・強い雪など様々な状況がありますが、「降る強さ」はどのくらいまで「強く」なることがあるのでしょうか?

通常は1時間10mm未満程度

雲が発達して何かを降らせる上でのメカニズム・要因は様々な状況が関係していますが、基本的に「暖かく湿った空気」の存在や「温度差」などが重要となっています。雪が降るという現象は、基本的に冬を中心とした期間に発生しますが、基本的に冬場の風は北側から吹きますので、例えば梅雨時・台風シーズンのように太平洋上からどんどん暖かく湿った空気が入る状況にはなく、「冬型の気圧配置」の場合は日本海の海水温とシベリアからの寒気の「温度差」で雲が発達します。

気温が低いと大気が含むことが出来る水蒸気量が減りますので、上記のような条件下では夏のゲリラ豪雨ほどの雲の発達規模には至らず、降水量では1時間2〜5mm程度、状況によっては5mmをやや上回る程度(通常10mm未満)の降水量で降るようなケースが大半を占めます。

但し、雪の場合1時間5mm程度であっても気温が低ければ5cm以上積雪を増加させますので、十分に「強い雪」と言えます。例えば、北海道など寒冷地では1時間3mm程度の降水量で、10cm以上積雪が増えたことがあります。影響の生じ方が異なるため、降る勢いについて雨と同様に比較することはできません。

まれに1時間10mm以上

冬型の気圧配置の際に、異なる風向きの風がぶつかって発生する「収束帯」上(JPCZ=日本海寒帯気団ん収束帯など)では、冬場では突出した規模の積乱雲が発達する場合があります。

また、地形上の要因で特に新潟県上越地方周辺を中心に雲が一気に発達する場合があるほか、北海道の太平洋側を中心に発達した低気圧の影響で降水強度がかなり強い雲が掛かる場合もあります。

こういった条件下においては、降水量が1時間10mm以上となる場合が一部で見られ、かなり強い雪として降ることもあります。但し、そういったケースでは「あられ」を含んでいる場合が目立つほか、気温はやや高めのケースが多いため、非常に湿った重い雪で降ったり、みぞれとして降る場合も少なくありません、結果として降る強さほどは積雪が増加しない場合があります。

過去最も強く降った「雪」とは?

過去最も勢いよく降った雪の記録としては、北海道十勝地方の「広尾」において2002年1月22日の午前2〜3時にかけて低気圧通過に伴う発達した雲が掛かり「41.5mm」の雪(厳密には2時からの15分間はみぞれ、その後は雪として記録)が降った観測記録があります。数字としてはかなり異常な降水強度であり、夏の雨に換算しても水はけの悪い場所では影響が生じるような水準で、類似する記録は存在しません。

この時は1時間で6cmの降雪量が観測されており、気温が高め(概ね1℃程度)のため、降水量に対する降雪量はさほど多くありません。

いくら強く降ったとしても、それが水分を多く含む湿った重い雪である場合、また気温が雪が積もりにくい気温の場合、積雪の増加量は乾いた雪が比較的少ない降水量で降った場合を下回る場合があります。