新幹線の「雪対策」はどうなってるの?

新幹線は「非常に雪に強い」交通機関ですが、その「強さ」を創り上げる上ではどのような「雪対策」が行われているのでしょうか?

排雪装置(スノープラウ)

新幹線が走行中に線路上の雪を「はねのける」ことが可能な基本的な車両側の装備は「排雪装置(スノープラウ)」です。こちらは、北陸新幹線・上越新幹線・東北新幹線・北海道新幹線の車両などに装備されており、それ自体が除雪を行う機能を有しています。

ヒーター(ふさぎ板)

新幹線の走行に関わる機器がある床下部分を覆う「ふさぎ板」と呼ばれる囲いの一部には、雪対策として付着した雪を溶かす「ヒーター」が設置されています。こちらは、JR東日本のみならず、東海道新幹線を走る列車にも装備されており、走行時の抵抗を減らす効果などを有しています。

貯雪式高架橋

スノープラウなどで跳ね飛ばされた線路上の雪は、線路が通る高架橋の上などに残った状態となりますが、こちらは「貯雪式高架橋」という高さを持たせる構造により、大量の雪を高架橋の上に「貯める」ことが可能で、排雪などの増やさずに運行しやすい状況を維持しています。なお、豪雪地の全てではなく、適した区間においてこの方式が採用されています。

開床式高架橋

高架上に雪を貯めるのではなく、地上に排雪しやすい構造としたものが「開床式高架橋」です。こちらは北海道新幹線の青森県内区間で採用されている方式です。

散水消雪装置(スプリンクラー)

散水消雪装置(スプリンクラー)は、雪に水を掛けて解かしてしまうという、最もシンプルな雪対策の1つであり、新幹線の雪対策において特によく知られた設備です。東海道新幹線では雪対策の基本を担う存在で、北陸新幹線・上越新幹線においても特に重要な役割を果たしています。

一方で、寒冷地では噴射した水が凍結することで問題が生じるため、基本的に気温が0℃程度で「湿った雪」が降りやすい地域のみ設置が可能な設備となっています。北海道新幹線・東北新幹線の北側などでは設置がありません。

分岐器融雪・消雪装置(ポイント部分)

雪による鉄道の運行トラブルは、線路の分岐部分(ポイント)の凍結・詰まりなどが在来線では目立ちます。新幹線においては、特に分岐器(ポイント)の融雪・消雪装置には重点が置かれています。装置は電気融雪機が一般的ですが、エアジェット(空気)で吹き飛ばす形式もあります。

台車融雪装置

秋田新幹線においては、車体からの人力による雪落としを行う負担をなくすため、大釜駅に台車融雪装置が設置されており、着雪が多い場合は温水を噴射することで融雪を実施しています。

降雪情報装置

東海道新幹線では、センサーにより現在降っている雪の「雪質」を把握するための「降雪情報装置」を設置しており、これにより乾いた雪・湿った雪の違いを判断し、徐行速度の判断などに活用しています。

リアルタイム監視

東海道新幹線では、車上カメラ・地上カメラを設置することにより、車体への着雪状況をリアルタイムで監視し、把握可能となっています。こちらも降雪情報装置と同様、徐行速度の判断に活用されています。

除雪車

高架上の雪が多くなる場合など、排雪が必要な場合は新幹線においても除雪車が稼働することがあります。但し、昼間時の運用は新幹線の運行障害につながるため、原則として夜間における運用が基本であり、目にする機会が多いものではありません。

人海戦術(雪落とし)

様々な設備をもってしても、雪を取り除くことが出来ない場合(車両への着雪など)は、人海戦術によって除雪作業(雪落とし)を行う場合もあります。