鉄道の中でも「新幹線」は、降雪・積雪時にも安定運行が確保されやすく「雪に強い」象徴的な交通機関となっています。新幹線はどうしてこれほど「雪に強い」存在となっているのでしょうか?
徹底した「雪対策」
新幹線では、徹底した「雪対策」を講じて雪による運行への支障、トラブルを防いでいます。
スプリンクラー・融雪装置などに留まらず、高架橋の形状など土木構築物のレベルから雪への備えが考慮されており、東海道新幹線では、センサーやカメラなど遠隔で状況を把握するための装置が充実しているなど、路線の環境に応じ様々な雪対策が講じられています。また、一部では人海戦術を用いるケースもあります。
記録的な大雪などでは、何らかの運行への支障が発生する場合はありますが、これらの徹底した対策によって、在来線と比べ圧倒的に雪に強くなっています。
相応の設備投資
雪対策を講じる上では、相応の「費用」が掛かります。一例として、JR北海道は「雪対策」への費用が鉄道事業の高コスト構造をもたらしている側面があるなど、雪への備えへは相応の設備投資・人件費が必要です。
新幹線の雪対策は、駅や線路の構造上、「人海戦術」という意味では在来線と比べスマートな存在ですが、各種の装置・最新技術などを駆使して対応しているという点において、物理的な面でかなりの設備投資が行われています。
状況によっては、1年で数十億円単位の設備投資が行われているケースもあるなど、経営上一定の意味を持つ水準の設備投資が行われているからこそ、雪に強い路線環境が維持されています。
在来線と差が生じる理由は?
新幹線と在来線の「雪への強さ」が異なる要因は、経済的要因・路線環境が持つ要因の大きく2つに分けられます。
要素 | 在来線の特徴 |
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経済的要因 | ・収益性が低い路線への対策は優先順位として後になる ・新幹線よりも収益性が高い「雪の多い地域の在来線」はない |
路線環境 | ・高規格な路線環境ではなく、全ての状況には対処しづらい ・運行区間、乗り入れ状況などがより複雑 ・小規模な駅などの乗客の乗降も考慮する必要性 |
現実問題として、様々な路線の収益性に応じ、設備投資の額・重点対象となる状況は変化します。在来線と比べ新幹線は、経営上の位置づけが現実的に「上」であることは周知の通りです。また、在来線は新幹線のような「高規格」な造りには必ずしもなっておらず、雪対策を講じたとしても「人海戦術」に依存しやすいため、なかなか完全な状態にはなりづらい環境上の特性があります。