降雪・降雪量・積雪深の意味(違い)を知る

自然・気候

雪に関する観測上の概念としては「降雪」や「降雪量」・「積雪深」といったものがあり、それぞれの意味は全く異なりますが、イメージ上混同しやすい存在と言えます。

こちらでは、それぞれの意味する内容(違い)について基本的な内容を解説していきます。

降雪とは?

概要

降雪(こうせつ)とは、「雪が降ること」を指す言葉です。

あくまでも「降る」意味ですので、積もっているかどうかは直接関係はありません。雪が積もっていなくても降っていれば、それは「降雪している」状態となります。

降っている強さも「降雪」という言葉自体には関係ありません。弱い降り方でも強い降り方でも「降雪している」状態であることに変わりありません。

気象庁の用語

気象用語として気象庁などが用いる場合、「降雪」は「雪」と「みぞれ」の両方を含みます。あられ・ひょうは含みません。みぞれを含むため、体感的には雪に見えないような状態であっても、「降雪」として記録される場合があります。雪日数としてカウントされる数字は、みぞれ・雪がわずかに降った日なども含むものです。

降雪量とは?

概要

降雪量は、雪が降り積もった量である「積雪」について、ある時点からの増加分、またはその合計を表す用語です。

積雪の量・積雪の深さという言葉の場合、既に積もっている雪「全体」を指しますが、降雪量として捉える場合は、新規に積もった量を足し合わせていく形になるため、それぞれ異なる概念です。

また、単に降雪という場合は雪が降るだけの状況を広く含むため、やはり降雪量とは異なる意味を持ちます。

気象庁における降雪量

気象庁が「降雪量」の用語を使用する場合、その基本的な意味は「積雪の深さの1時間毎の増加量」を表します。積雪が減った場合・変わらない場合の降雪量は0となります。通常、それらを足し合わして以下のような形で示されることが多くなっています。

3時間降雪量ある3時間の降雪量の合計
6時間降雪量ある6時間の降雪量の合計
12時間降雪量ある12時間の降雪量の合計
24時間降雪量ある24時間の降雪量の合計
48時間降雪量ある48時間の降雪量の合計
72時間降雪量ある72時間の降雪量の合計

通常3・6・12・24時間降雪量が気象情報などでは用いられることが多くなっています。また、降雪量を1ヶ月分合計したものが月間降雪量、年間(年をまたぐ寒候年)合計のものが年間降雪量となります。週間降雪量といった指標は基本的に存在しません。

降雪量の目安

通常、24時間の降雪量が30cm程度になるとかなりの大雪と言えます。東京などでは5cm程度であっても大きな影響が生じやすい状況です。

特に雪が多い地域では24時間降雪量が50cm以上、まれに80〜100cm程度、またはそれ以上に達する場合があります。2010年12月31日には鳥取県の大山アメダスで1日「120cm」の降雪量記録が存在します。また、寒冷地では6時間降雪量が40cm以上、3時間降雪量が20cm以上など、短時間でかなり集中して雪が降る場合もあります。

どのような状況の「雪」を捉えるのかに応じ、目安となる時間の長さは異なります。

積雪深とは?

概要

積雪深(積雪の深さ)は、その時点でそこに積もっている積雪の「深さ(量)」を示す用語です。通常「積雪〜cm」と言いますが、まさにそれが積雪深を示すものです。

原則として、積雪深は積雪計など何らかの観測機器を用いて計測した数字を指します。

降雪量との違い

積雪深と同じく雪の「量」を示す用語としては「降雪量(降雪の深さ)」があります。

降雪量(降雪の深さ)については、積雪深(積雪の深さ)の増加量(気象庁の定義では1時間で増加した積雪の深さ)を指すもので、積雪深のデータが基本となる一方、それとは意味が異なる数字です。

例えば、現在の積雪深が50cmの場合で、1時間前の積雪深が47cmだった場合、降雪量(降雪の深さ)は3cmということになります。

気象庁の観測する積雪深

気象庁は、各気象台や一部の特別地域気象観測所・アメダスにおいて、積雪深(積雪の深さ)を観測しています。気象台を除いては豪雪地帯を中心とした観測地点の配置となっており、西日本〜関東周辺の太平洋側など、雪が少ない地域では積雪を観測している地点は限られます。

現在は「レーザー式の積雪計」で観測が行われており、地面に向けて照射したレーザーの反射状況によって積雪深を計測しています。

ある月、年単位などで最も多く積もった際の積雪深は「最深積雪」と呼ばれ、30年分のデータを平均した数字「平年値」の最深積雪は、その地域で積もる雪の量を知る上での重要な目安となります。各年ごとの最深積雪にはかなりの差が生じる場合があり、特に温暖化傾向によりその傾向は顕著になってきています。