「蒸発」と「昇華」の違いを「雪」から考える

自然・気候

こちらでは、「雪が降る」という現象との関わりを中心に「蒸発」と「昇華」という区別が難しい場合がある2つの現象を解説していきます。

蒸発とは?

基本

蒸発とは、液体(水)の表面から気化(気体への変化)が発生する現象です。固体(氷)から直接気化する場合は「昇華」と呼び区別します。

様々な気象現象とは切り離せない非常に重要な現象であり、例えば、水蒸気は水が蒸発したものであり、蒸発の状況によっては気温変化をもたらす要因ともなります。

蒸発という現象は、基本的に空気が「乾燥」しているほど発生しやすくなっています。湿度が低いということは、空気中に含むことが可能な水蒸気の量がまだ多いことを意味します。

気化熱

水から水蒸気への蒸発が発生する場合には、気化熱(蒸発熱)と呼ばれる熱エネルギー(潜熱)を使い、周囲から熱を吸収します。熱エネルギーを発生させるのではなく、吸収するため、周囲の温度は低下します。

体が濡れている時に風を受けると非常に冷たく感じたり、夏の暑い日に水まきをすると少し涼しくなったりするのは、この気化熱の働きによるものです。

雪との関わり

雪と「蒸発」という現象の関わりは、雪が降る気温との関係が大きくなっています。乾燥した空気中では蒸発が発生しやすいため、雪が降ってくる場合には雪の粒(雪片)が含んでいる水分が蒸発(氷が直接昇華する場合もあり)しながら降ることになります。

蒸発する際には気化熱の影響で雪片周辺の温度が低下します。そのため、蒸発を伴わない場合と比べ、気温がより高い状態で「地上まで雪として降ってきやすい」条件が生まれます。但し、雪片が小さくあまりに乾燥しているような場合、地上に届くことなく蒸発・昇華してしまうケースもあります。

実際に、湿度が50%未満など低い乾燥した条件で降るにわか雪などは、気温5℃程度、場合によってはそれ以上の気温で降るケースが一部で見られます。逆に、湿度が100%近い場合は、0℃に近い気温でもみぞれ・雨になるケースもあります。

昇華とは?

基本

昇華とは、固体(氷)の表面から、液体(水)を経ずに直接気体(水蒸気)へ変化する現象、またはその逆の現象(気体→固体)を指す用語です。

上空の寒冷な環境などでは、昇華が発生することも多く、気象現象と密接な関わりを持つ重要な現象です。

昇華という現象のうち「固体→気体」への変化は、「固体→液体」に変化する「蒸発」と同じように、基本的に空気が「乾燥」しているほど発生しやすくなっています。

気化熱(昇華熱)

氷から水蒸気への昇華が発生する場合には、気化熱(蒸発熱)と呼ばれる熱エネルギー(潜熱)を使い、周囲から熱を吸収します。熱エネルギーを発生させるのではなく、吸収するため、周囲の温度は低下します。

気象現象ではなく、より身近な例としては「ドライアイス」がわかりやすい例で、固体の状態から白い煙を上げて周囲を冷やしながら、直接気体(二酸化炭素)に昇華する状態が観察されます。これも、気化熱が生じるケースの一例として挙げられます。

雪との関わり

固体→気体雪片(氷晶)が乾燥した空気の中で直接水蒸気に昇華
気体→固体水蒸気から直接雲粒へ変化、それらが更に成長した場合雪片に
・氷点下でも凍らない「過冷却水滴」が関わる場合はまず「凝縮(凝結)」のプロセスを経るため、昇華としては生じない
「樹霜(雪ではない)」、「ダイヤモンドダスト」は地上で目にすることが可能な事例

気体→固体の変化については、上空の非常に寒冷な環境でも凍らない水滴「過冷却水滴」が関わっている場合が多いため、必ずしも昇華が主なプロセスとは言えない場合も多くなっています。但し、上空でなくても「極寒」の場合、水蒸気が直接氷晶に変わる「樹霜」や「ダイヤモンドダスト」が発生することもあります。

特に乾燥した条件下では、降ってくる途中に昇華・蒸発が進み、地上まで降ってこない場合があります。とりわけ脊梁山脈を越えた雪雲が、急激に乾燥状態となる中で消えていくプロセス(群馬県北部・長野県の一部などで多く見られる)では、そういったケースが多く生じると言えるでしょう。