真夏のシーズンにあたる7・8月は「雪」とは最も縁遠い季節と言えます。一方で、本当に雪が降ったことがないのかと言えば、必ずしも「そう」とは言い切れません。
こちらでは、7・8月における「雪」の存在について「基本」を解説していきます。
7月の事例は?
一般的な観測地点ではなし
7月に降雪・積雪が観測された事例は、人が住む地域など、次項で述べる富士山頂を除く一般的な観測地点では一度もありません。平成以前に遡っても、戦前、大正、明治の観測記録に遡ってもありません。
6月の降雪記録は、網走・根室で上旬の記録が存在しますが、6月中旬以降の雪の記録は存在せず、7月にかけても同様です。
7月は「オホーツク海高気圧」の影響により、北海道〜関東周辺を中心に寒気が流れ込むケースがありますが、山地も含め雪を降らせるほどの寒気ではありません。
富士山頂では雪の記録あり
例外として、標高が3,700m台の富士山頂の観測地点(富士山)では、かつて雪に関する観測が実施されていた時代があり、その時期に7月の降雪を観測しています。
過去に観測されていたデータでは、降雪がない年も一部見られますが、降雪記録がある年、複数の日で降雪を観測している年もあり、雪が降ること自体は多くないものの、時には「ある」と言えます。但し、降るものがしっかり積もるような状況はほぼないため、一時的に舞う・みぞれで降る程度、積もってもごくうっすら程度などの「雪」が多いと言えるでしょう。
なお、雪の状況に関わらず気温はかなり低くなる場合があります。特に悪天候時は体温が下がる危険が高まりますので、7月であっても適切な防寒対策が不可欠です。
8月の事例は?
当然ながら通常降らない時期
8月は真夏であり、近年は最高気温35℃以上の猛暑日が当たり前となり、冬・雪というキーワードとは最も縁遠い地域です。
実際に、過去の気象観測記録において、7月と同様に富士山頂の例外を除き、雪が観測された事例はありません。昭和・大正・明治時代の記録を遡ってみても、現在よりかなり涼しい夏はいくらでも存在しますが、それが雪を降らせるほどの状況にはなっていません。北海道の内陸部であっても雪の記録はありません。
高山地帯の残雪もほぼ解け、一部の万年雪などが見られる程度のみに留まり、雪を目にする機会は登山でも大幅に少なくなります。
富士山頂・大雪山系などで雪の事例あり
但し、標高が3,700m台の富士山頂の観測地点(富士山)では、かつて雪に関する観測が実施されていた時代があり、その時期に8月の降雪を観測しています。
さすがに富士山頂と言えども、8月の雪は「レア」な存在で、一切降雪を観測しなかった年も多いですが、降雪記録がゼロという訳ではなく、実際にしっかり気づくレベルかどうかは別として、ごくまれに降ることはあり得る環境と言えます。なお、2008年8月9日には観測史上最も早い「初冠雪」を観測していますが、これは雪ではなく「ひょう」が積もったものとされており、氷であることに違いはありませんが、「雪」とは異なる気象現象です。
この他、北海道の大雪山系についても、2018年8月17日に積雪した事例があるように、8月から「秋の空気」が入る機会がある場合、雪が降ることがあります。但し、そのようなケースはごく一部の年に限られ、一般的に見られる現象とは言えません。