「日照時間」とはどういう意味?

自然・気候

こちらでは、気象観測上の区分(概念)である「日照時間」について、その意味する所の「基本」を解説していきます。

日照時間は、基本的にはイコール「晴れ」と結びつけて考えられることが多い存在ですが、厳密に見ていくと、100%そうではないケースなども見られます。

日照時間=夜以外に概ね晴れている時間

日照時間とは、太陽の日差しがある場合を指すものですので、あくまでも太陽が地上で見られる時間帯のみカウントされるものです。気象庁においては、0.1時間単位(1時間=60分の10分の1=6分)で統計上扱われ、年間では1,500〜2,000時間程度のケースが多いと言えます。

晴れという現象は、昼も夜も時間を問わず見られますが、日照時間については「夜以外」の時間帯で「概ね晴れている時間」を指すものです。

観測手法が変更(アメダスでは推定値のみ)

日照時間の観測方法は、近年大きく変更されています。

期間アメダスの観測方法
2021年3月2日以前日照計を用いた観測
2021年3月2日以降気象衛星を用いた推計値

2021年の変更に伴い、各地のアメダスでは観測機器を用いた直接的な日照時間の観測は廃止され、気象衛星を用いてリモートセンシング的な形で「推計値」を算出するという、間接的な方法に変更されています。

この変更では、その観測地点周辺の環境に応じた推計値の算出には限界があるため、特に山間部などでは、従来と比べ日照時間が多く観測される傾向が目立つようになっています。

なお、気象台・特別地域気象観測所については、現在も日照計を用いた直接的な観測が実施されています。

曇りでも日照時間を観測?

日照時間=晴れのイメージが強い存在ですが、実際には「曇り」でも日照時間を観測する可能性はあります。

曇りとは、雲量が概ね9割以上の場合を指すもので、逆に言えば「残り1割程度」の空が「青空」であっても曇りに区分されます。1割程度の青空からは、1割程度の確率で昼間には太陽が姿を見せる可能性がありますので、曇っていても短時間は日照時間を観測することはあり得ます。

また、曇りには「薄曇り」と呼ばれる太陽の光を遮りにくい種類の曇りも存在しますので、この場合は1割とは言わず、快晴時と同じような日照時間を観測する場合もります。

日照なし=曇り以外に雨・雪のケースも多い

日照時間がないという状態は、単に曇っているだけとは限りません。雨や雪などを伴っていることも一般的です。

雨や雪などが降っている場合は、気象現象としては当然ながら「曇り」ではなく「雨」や「雪」(その他みぞれ・あられなど)として記録されます。

日照時間の多い・少ない地域と天気

日本国内には日照時間が多い傾向の地域・少ない傾向の地域が存在します。地点による差が大きいため、地方で分けることは一概には出来ませんが、「日本海側」の地方や「南西諸島」では少なめで、「瀬戸内海側」などで多い傾向があります。

日照時間が多め・少なめとなる場合、その時の気象状況は様々です。

例えば、日本海側の冬場であれば、寒気による雲に覆われる一方、曇りというよりは雪・雨に見舞われる頻度の方が多いくらいの状況となり、悪天候が目立ちます。一方で、南西諸島の冬場については、雲が広がる要因は同様に寒気による影響ですが、単なる曇りの場合も多くなっています。また、高知・静岡などは雨が比較的多い地域ですが、日照時間は決して少ない地域とは言えません。

まとめ

  • 日照時間は「昼間に概ね晴れている時間」
  • 現在の観測方法は多くの地点で「気象衛星を用いた推計値」、機器による観測は気象台など一部のみ
  • 厳密には「曇っていても日照時間を観測」する場合あり(雲のすき間・薄曇り)
  • 日照時間なし=曇りとは限らず、当然ながら雨や雪のケースも多い
  • 日照時間の多い・少ない地域の「天気の特徴」は多様(例:多ければ雨が少ないとは限らない)