曇りの日が多い地域とは?【梅雨だけではない】

自然・気候

曇りの天気は、日本周辺であればどのような地域でも頻繁に見られるものですが、傾向として考えた場合、季節などに応じて曇りの日が多めの地域、それほど多くはない地域などいくらかの特徴が見られる場合があります。

こちらでは、日本国内で「曇りの日が多い地域」について、具体的な傾向を見ていきたいと思います。

一般的に知られる「梅雨・秋雨」

一般的に「曇り」のイメージと言うと、天気予報などでも頻繁に登場する「梅雨」・「秋雨」というキーワードが連想されることが多いと言えます。

期間梅雨:6〜7月頃
秋雨:8〜9月頃
要因・南北の異なる「気団」のせめぎあい
・梅雨前線は「水蒸気量」の違い、秋雨前線は「気温」の違いによって生じる面が大きい
降水現象・一般的に雨を伴う
・強く、激しく降ることも多いため、「典型的な曇りが続く」という状況とは異なりやすい

確かに、特に西日本では梅雨時に、東日本では秋雨時に「日照時間」が少なくなり天候不順が続きやすい傾向が見られます。

しかしながら、日照時間が「ない」時間はイコール「曇り」とは限りません。むしろ「雨」などが実際に降っているケースも多々見られます。

雨などが降るケースも含めて「雲に覆われている時間」を見るのか、雨や雪が降っておらず「単に曇っているだけの時間」を見るのかは大きな違いです。前線の影響を受けるケースでは、そのうちかなりの割合で雨が降っており、それも強く降っている場合も多いため、一概に「単なる曇りが多い時期」と呼ぶことが適切とは言えない場合がある点に留意が必要です。

冬によく曇る「日本海側」

冬場に「冬型の気圧配置」に伴い寒気が入ることで、日本海上を中心に「筋状の雲」などが発生するため、日本海側は曇り・雪・雨など天候不順が続きやすくなります。

期間・概ね冬の間(特に12月など)
・11月、3月なども日照時間が少なめ
要因・寒気の流入に伴い日本海上で雲が発生(「冬型の気圧配置」による影響)
・専門用語で言うと「ベナール型対流」や「収束帯」に伴う雲の発生
降水現象・雪や雨を伴いやすいため、曇りよりも降水現象メインの場合も多い

但し、後述する南西諸島方面と比べると「雲が発達」しやすいため、曇りではなく「実際に雪・雨が降る」ケースが多くなります。

梅雨時のようなケースと比べると「止み間」が多く、雲の発達が弱まるタイミングなどでは曇り空になりやすいですが、この記事のテーマである「単なる曇り続き」という意味で見た場合、雪や雨のイメージが先行しやすいため、体感的に「曇りが多い」と感じやすいと言えるかは、地域によっては微妙な所かもしれません。

冬によく曇る「南西諸島」

典型的な「曇り」の天気が続きやすいという意味で「日本一」とも言えるのは、冬を中心とした時期(秋の終わり・春の初めも含む場合あり)の「南西諸島」です。

期間・概ね冬の間(特に12月など)
・11月、3月なども日照時間が少なめ
要因・寒気の流入に伴い東シナ海上などで雲が発生(広い意味も含め「冬型の気圧配置」による影響)
・専門用語で言うと「ベナール型対流」による雲の発生
降水現象・時折雨を伴う場合あり
・強い雨ではなく、降っても大半はにわか雨程度

曇り続きになる要因は、後述する「日本海側」の天候不順と同様に、シベリア・中国大陸方面からの寒気の流入に伴い「海上で雲が発生」することが要因です。寒気が流れ込むと、東シナ海上では「びっしり」と雲が敷き詰められたように広がり、晴れ間がほとんどない状況が長期間続きやすくなっています。

夏に曇りやすい「東・北日本太平洋側」

冬ではなく夏を中心とした時期で見た場合、「梅雨」や「秋雨」という要因以外で見ても、東日本〜北日本の太平洋側を中心とした地域は、比較的曇りになりやすい傾向があります。

期間6月〜8月頃
要因・オホーツク海高気圧の影響
・北東からの湿った風が太平洋沿岸部に吹き付け、背の低い雲に覆われる
・梅雨前線、秋雨前線本体とはまた異なる要素
降水現象・霧雨、弱い雨程度をもたらすことが大半
・強い雨などはオホーツク海高気圧のみ以外の要因で降ることが多い

夏の時期には、海水温が低いオホーツク海一帯の特性上、オホーツク海高気圧と呼ばれる高気圧が停滞することが多く、そこから「湿った北東の風」が吹き出すことで、太平洋沿岸部では曇り空が続きやすくなる場合があります。

湿った風は、脊梁山脈(例えば奥羽山脈など)を越えることが難しく、同じ地方でも日本海側の地域では曇り空は広がりにくいことが大きな特徴です。

なお、オホーツク海高気圧の状況は年ごとの差が非常に大きく、毎年必ず曇り続きの天気が見られるとは言えません。

まとめ

  • 梅雨、秋雨は「単なる曇り」以上に「雨が降る」ケースが目立つ点に留意
  • 日本海側の「冬」は「寒気の影響」で曇り、雪、雨などの天候不順傾向が強い
  • 南西諸島の「冬」も「寒気の影響」で曇り続きになりやすい
  • 北日本、東日本太平洋側の「夏」は「オホーツク海高気圧」の影響で曇りやすい場合あり