曇っているのに「日差しがある」状態とは?【気象現象を詳しく見る】

自然・気候

曇りという天気は、生活する上での体感としては「どんよりした空」・「晴れていない」・「太陽が見えない」といったイメージが基本です。

一方で、気象現象の「定義」として詳しく見た場合、実際のところ「曇り」であるにも関わらず「太陽が見えている=日差しがある」という状態もゼロではありません。そういった状態は「生活実感」とは異なるものと言えます。

こちらでは、そのようなケースがどのような状況で生じるかなどについて、基本を解説していきます。

薄曇りでは日が差しやすい

薄曇り上層雲(巻雲・巻層雲・巻積雲)の割合が大きい曇り
曇り薄曇りを除く全ての曇り

曇りには気象観測上の区分としては「薄曇り」と「曇り」の2種類があります。薄曇りとは、上空高い場所に広がる上層雲の割合が、それ以外の高さにある雲よりも多いケースを差します。

上層雲は、氷の粒で出来た基本的には「薄い」雲であり、太陽・青空を完全には隠さない・遮らない場合が目立ちます。例えば、太陽に「暈(かさ)」が見られるケースは、巻層雲と呼ばれる雲に薄く覆われた薄曇りが多くの条件となっています。

また、薄曇りは「観測」上は「曇り」の一部ですが、「予報」上は「晴れ」の一部として取り扱われており、生活上では薄曇りは「曇り」として捉えるほどの存在ではないケースも多いと言えます。

雲の隙間から日が差す「曇り」も

薄曇りではなく、比較的分厚い雲・低い雲が主体の曇りであっても、日差しが見られるケースはあります。

曇りという気象現象は、「雲量(雲の割合)」が10段階で9・10の場合とされています。9の場合、完全に雲に覆われているのではなく「一部は青空が見えている」という状態ですが、これも「曇り」です。

残った1割くらいの青空からは、状況によってはランダムに「太陽がのぞく」形になり、一時的に日差しを受けることがあります。

曇りの定義は雲量だけで決定されていますので、一瞬日差しが照りつける場合でも、雲量が9以上であれば現象は「曇り」として記録されます。その意味では、曇り予報の際に、雲のすき間から日が差す時間が1割くらいあったとしても、それは必ずしも「予報が外れた」とは言えないことになります。

紫外線量上昇に注意

区分紫外線量
薄曇り快晴時の8〜9割程度
すき間から日差しのある曇り日差しがある瞬間のみ「快晴時」を上回る場合あり

「日差し」に関係する「曇り」は、紫外線量に注意が必要です。

薄いベールのような雲に覆われることが典型の「薄曇り」では、ガードされる紫外線はごくわずかで、一般的な晴れの状況に近い紫外線量となり、特に夏をはじめ紫外線が強い時期には、十分な対策が求められる水準となります。薄曇りが予報の上では「晴れの一部」として扱われているのは、こういった状況に対応したものと言えます。

また、分厚い雲であってもすき間から一時的に日差しがあるような「曇り」のパターンでは、その日差しがあるタイミングに限っては、快晴時の紫外線量を更に上回ることがあります。これは、むしろ「雲が周囲に存在」することで、光の「散乱」が生じやすく、結果として雲のすき間から受ける光のエネルギーが大きくなる(紫外線量も増える)ことが要因です。

あくまでも「雲がほとんど」である以上、「長時間日差しを受ける」ケースは少ないかもしれませんが、青空が見えているような曇り空の場合、紫外線に関しては油断することなく対応するのが無難です。

まとめ

  • 薄曇りの場合、太陽光を遮らない程度の場合が多い(予報区分上は「晴れの一部」)
  • 雲量が9の「曇り」の場合、一部見える青空から太陽がのぞく(日差しを受ける)ケースあり
  • いずれのケースも「紫外線量」には注意が必要