風雪注意報・暴風雪警報の基本を知る

自然・気候

雪に関する注意報・警報としては、大雪に関するものに加え「風を伴う雪」を対象とする「風雪注意報」・「暴風雪警報」があります。

これらは、特定の基準を満たした場合などに発表され、地域ごとにその発表される頻度には差が見られます。

こちらでは、風雪注意報・暴風雪警報に関する基本的な知識を解説していきます。

風雪注意報とは?

概要

風雪注意報は、気象庁が発表する気象注意報の一種であり、気象庁においては「雪を伴う強風により災害が発生するおそれがあると予想したとき」に発表するものとされています。

こちらでは、風そのものによる影響のみならず、風により舞い上げられた雪による視界不良(吹雪)についても注意を呼びかける内容に含まれます。

より重大な現象と予想される場合は暴風雪警報が発表されます。なお、大雪になると予想される場合、別途大雪注意報・警報が発表されます。風雪注意報は「雪の積もる量」は取り扱う対象に含まれていません。

基準

風雪注意報は、発表する上での「数値基準」が存在し、それに応じて発表されます。基準は地域ごとに設定されており、陸上・海上で基準が異なる場合もあります。

都市基準
札幌市風速11m/s以上・雪による視程障害を伴う
札幌地方気象台の風速を目安にする場合13m/s以上
仙台市(東部)【陸上】風速13m/s以上・雪を伴う
【海上】風速15m/s以上・雪を伴う
新潟市風速15m/s以上・雪を伴う
厳密には夏の基準(陸上:風速12m/s以上・海上は同様)もあり
金沢市【陸上】風速12m/s以上・雪を伴う
【海上】風速15m/s以上・雪を伴う
札幌地方気象台の風速を目安にする場合15m/s以上
東京23区
※発令は区ごと
風速13m/s以上・雪を伴う
名古屋市【陸上】風速13m/s以上・雪を伴う
【海上】風速16m/s以上・雪を伴う
大阪市【陸上】風速12m/s以上・雪を伴う
【海上】風速15m/s以上・雪を伴う
広島市
※発令は区ごと
【陸上】風速12m/s以上・雪を伴う
【海上】風速15m/s以上・雪を伴う
福岡市風速12m/s以上・雪を伴う

全体的には陸上で12m/sの基準が目立ちます。地吹雪の影響を受けやすい北海道では基準が低めの場合があるなど、必ずしも風が強い地域=基準風速も強い地域とは限りません。

発令頻度

風雪注意報は、西高東低の「冬型の気圧配置」により季節風が強く吹き雪も多い地域、また地吹雪の可能性が高い地域、すなわち日本海側・北日本で発令される頻度が多くなっています。

太平洋側などの場合、風が比較的強い場合はありますが、雪を伴わないことが多いため、日本海側では風雪注意報でも、太平洋側では強風注意報の場合が多くなっています。但し、特に強い寒波の場合などは、太平洋側の地域も含めかなり広い範囲で風雪注意報が発令されることがあります。

暴風雪警報とは?

概要

暴風雪警報は、気象庁が発表する気象警報の一種であり、気象庁においては「雪を伴う暴風により重大な災害が発生するおそれがあると予想したとき」に発表するものとされており、暴風による重大な災害・暴風で雪が舞って視界が遮られることによる重大な災害に警戒を呼びかけるものです。

暴風雪警報自体は「大雪」を対象としたものではなく、大雪も同時に予想される場合は大雪警報等と同時に発表されます。

更に重大な現象が生じると予想される場合は暴風雪特別警報が発表されますが、これまでに発令されたことはありません(2023年現在)。

基準

暴風雪警報は、発表する上での「数値基準」が存在し、それに応じて発表されます。必ずしも雪が降りやすい地域の基準の方が厳格という訳ではありません。

都市基準(下記の気象状況が予測される状態)
札幌市平均風速16m/s・雪による視程障害を伴う
※気象台の風速を基準とする場合は18m/s
仙台市(東部)【陸上】平均風速18m/s・雪を伴う
【海上】平均風速20m/s・雪を伴う
新潟市【陸上】平均風速20m/s・雪を伴う
【海上】平均風速25m/s・雪を伴う
金沢市【陸上】平均風速20m/s・雪を伴う
【海上】平均風速25m/s・雪を伴う
東京23区
※発令は区ごと
平均風速25m/s・雪を伴う
名古屋市【陸上】平均風速20m/s・雪を伴う
【海上】平均風速23m/s・雪を伴う
大阪市【陸上】平均風速20m/s・雪を伴う
【海上】平均風速25m/s・雪を伴う
広島市
※発令は区ごと
【陸上】平均風速20m/s・雪を伴う
【海上】平均風速25m/s・雪を伴う
福岡市平均風速20m/s・雪を伴う

発令頻度

暴風雪警報の発令頻度は、多い地域が北日本の沿岸部に偏っています。北日本の場合「乾いた雪」が降り積もりやすく、より「湿った雪」となる地域と比べ、「吹雪・地吹雪」となりやすく、発令基準も比較的低めの風速に設定されている場合があり、同じシーズンに何度も発令されることもあります。とりわけ北海道〜山形県にかけての日本海側でかなり多くなっています。

非常に強い冬型の気圧配置となる場合は、主に海に面する地域では北日本以外でも発表される場合があります。例えば、新潟県内の一部では比較的発令されやすいほか、イメージされにくい場所としては、九州でもまれに暴風雪警報が発令されます。

但し、関東〜近畿の一部をはじめ温暖な太平洋側の地域では、発令されることはかなりまれか、長期に渡り全くないケースも少なくありません。例えば、東京都内や大阪府内で発令されたケースは、近年一切ありません。

まとめ

  • 風雪注意報、暴風雪警報は地域ごとの基準に従い発表(同時に発表されるケースはなし)
  • 風雪注意報よりも暴風雪警報「より重大」な状況への警戒を呼びかける
  • 発表の頻度は地域差が極めて大きく、雪が多い地域、北日本ほど多い