空を見れば、青空があって日差しがあれば「晴れ」、雲に覆われていれば「曇り」という形で、体感的には天気を判断します。
一方で、気象庁が観測を行ったり、天気予報をする際における「晴れ」・「曇り」は、体感と共通する点もある一方、区別する上での明確な基準が設定されているため、体感とのずれが生じる場合もあります。
こちらでは、晴れ・曇りを区別する基準(仕組み)について、基本的な内容を解説していきます。
雲量0〜8が「快晴・晴れ」
曇り・晴れの基本的な区分は「雲量」で決定されます。
雲量とは、文字通り「雲の量」を表す指標で、日本の場合0(雲がほぼ・全くない)〜10(ほぼ全て・完全に雲に覆われる)の10段階で区分されます。2であれば雲の量は2割程度、5であれば5割程度を意味します。
快晴 | 雲量0〜1 |
晴れ | 雲量2〜8 |
晴れは雲量8までを指し、より細かく見た場合0〜1は「快晴」に区分されます。快晴というキーワードは、生活上の用法では「雲ひとつ無い」状態を表すことがほとんどですが、雲量1(1割程度雲に覆われるケース)も観測上は含みます。
雲量9〜10が「曇り」
曇りは、上述した「雲量」が9・10の場合を指します。全て雲に覆われている場合は典型的な曇りですが、雲量9も含むため、必ずしも100%全て雲に覆われている必要はありません。
なお、雨や雪など「何かが降っている」場合については、雲量は別途観測されますが、気象現象としては「曇り」ではなく、当然ながら「降っているもの(雨ならば雨、雪ならば雪、その他みぞれ・あられ・ひょうなども)」に該当します。
夏の夕立や冬のにわか雪など、雲の広がる条件次第では、上空の雲量が8以下でも雨・雪が降ることがありますので、何かが降る=曇りの条件に当てはまる雲量であるとは限りません。
「薄曇り」という区分も
薄曇り | ・雲量9以上で上層雲(巻雲、巻層雲、巻積雲)が主体 ・観測上は曇り、天気予報上は「晴れ」 |
曇り | ・雲量9以上で中層雲、下層雲が主体 ・観測、予報上いずれも「曇り」 |
曇りについては、より厳密には薄く広がり太陽の光なども遮らない場合も多い「上層雲」主体の曇りとなるケースは、薄曇りという区分に当てはめます。
この区分は少しややこしく、観測上は雲量9以上の定義に当てはまるため「曇り」の一部となる一方、天気予報上では日差しを遮らないことも多いため、「晴れ」の一部として扱われます。そのため、晴れ予報で薄曇りとなった場合は、天気予報は当たっているということになります。
気象庁の取り扱いにおいては、このように「観測上」と「予報上」で取り扱いが異なるケースが一部見られます。
雲の多い晴れ?青空と日差しのある曇り?
晴れ・曇りに関しては、雲量の条件のみで厳密に区別されます。雲量8なのか、9なのかが分かれ目ですので、晴れといっても雲量7〜8程度など雲の多い晴れもあれば、3以下など雲の少ない晴れもあります。
また、雲量9の場合雲の割合は9割程度、逆に言えば青空が1割程度となりますので、「青空がある曇り」が区分上はありえます。また、その1割の青空から日差しが差し込めば、「日差しが照りつける曇り」も区分上はありうることになります。
確率論的に見た場合、雲量9の状態が1時間昼間に続く場合、1時間のうち5分少々は日が差すタイミングがあってもおかしくない計算となります。
なお、上述した「薄曇り」の場合、そもそも雲が非常に薄く青空・日差しを完全には覆わないケースが多くなっているため、予報上は「晴れ」の取り扱いとされています。
まとめ
- 雲量0〜1=快晴、雲量2〜8=晴れ、雲量9・10=曇り
- 上層雲主体の曇りは「薄曇り」で、観測上は「曇りの一部」の一方、予報上は「晴れの一部」
- 雲量8、9で区切るため「雲が多い晴れ」や「青空が見える、日が差す曇り」もあり得る