雪に関する注意報・警報として最も一般的な「大雪注意報・警報」。
これらは、特定の基準を満たした場合などに発表され、地域ごとにその発表される頻度には差が見られます。
こちらでは、大雪注意報・大雪警報に関する基本的な知識を解説していきます。
大雪注意報とは?
概要
大雪注意報は、気象庁が発表する気象注意報の一種であり、気象庁においては「降雪や積雪による住家等の被害や交通障害など、大雪により災害が発生するおそれがあると予想したとき」に発表するものとされています。
より重大な現象と予想される場合は大雪警報が発表されます。
基準
大雪注意報は、発表する上での「数値基準」が存在し、それに応じて発表されます。基準は雪に強い・雪に弱い環境などを考慮し地域ごとに大きく異なり、ある地域の大雪警報の基準が、ある地域の大雪注意報の基準を下回ることもあります。
都市 | 基準(下記の降雪が予測される状態) |
---|---|
札幌市 | 【平地】12時間降雪の深さ20cm 【山地】12時間降雪の深さ30cm |
仙台市(西部) | 12時間降雪の深さ10cm |
新潟市 | 6時間降雪の深さ15cm |
金沢市 | 【平地】12時間降雪の深さ15cm 【山地】12時間降雪の深さ35cm |
東京23区 ※発令は区ごと | 12時間降雪の深さ5cm |
名古屋市 | 12時間降雪の深さ5cm |
大阪市 | 12時間降雪の深さ5cm |
広島市 ※発令は区ごと | 【平地】12時間降雪の深さ10cm 【山地】12時間降雪の深さ25cm |
福岡市 | 【平地】12時間降雪の深さ3cm 【山地】12時間降雪の深さ5cm |
基準は地域により「時間の幅」が異なる場合もあり、全体的には予想される12時間降雪量を目安としている地域が多くなっています。
発令頻度
大雪注意報は、雪が多い日本海側・北日本では発令される頻度は多くなっています。基準がより「厳しい(多い雪の量)」となっている地域の方が発令頻度が多く、基準がより「緩い(少ない雪の量)」となっている地域の方が発令頻度は少ない傾向が見られます。
一方で、京都市のように山地・平地の区別なく発表される地域では、山地の雪が多いため、市街地の体感的な雪の頻度以上に大雪注意報が発表されやすい地域(山地の基準に当てはまれば発表される)も存在します。発令の区分には地域差があるため(例:広島市の場合は区別、京都市の場合は全市共通)、細分化された地域とそうでない地域で、雪の降る程度に大きな差がない場合も、注意報の発令頻度にはかなりの差が生じる場合があります。
大雪警報とは?
概要
大雪警報は、気象庁が発表する気象警報の一種であり、気象庁においては「降雪や積雪による住家等の被害や交通障害など、大雪により重大な災害が発生するおそれがあると予想したとき」に発表するものとされています。
更に重大な現象と予想される場合は大雪特別警報が発表されますが、これまで発令されたことはありません(2023年現在)。
基準
大雪警報は、発表する上での「数値基準」が存在し、それに応じて発表されます。基準は雪に慣れている地域とそうでない地域で大きく異なり、ある地域の大雪警報の基準が、ある地域の大雪注意報の基準を下回ることもあります。
都市 | 基準(下記の降雪が予測される状態) |
---|---|
札幌市 | 【平地】6時間降雪の深さ30cm、または12時間降雪の深さ40cm 【山間部】12時間降雪の深さ50cm |
仙台市(東部) | 12時間降雪の深さ20cm |
新潟市 | 6時間降雪の深さ30cm |
金沢市 | 【平地】12時間降雪の深さ25cm 【山地】12時間降雪の深さ55cm |
東京23区 ※発令は区ごと | 12時間降雪の深さ10cm |
名古屋市 | 12時間降雪の深さ10cm |
大阪市 | 12時間降雪の深さ10cm |
広島市 ※発令は区ごと | 【平地】12時間降雪の深さ20cm 【山地】12時間降雪の深さ45cm |
福岡市 | 【平地】12時間降雪の深さ10cm 【山地】12時間降雪の深さ20cm |
基準は地域により「時間の幅」が異なる場合もあり、全体的には予想される12時間降雪量を目安としている地域が多くなっています。
発令頻度
大雪警報は、大雪注意報と比べ発令の頻度は少なめですが、日本海側・北日本の雪の多い地域では、毎年のように発令されることが多く、雪の影響を受けやすい地域では、一冬で何度も発令される場合があります。
温暖な地域の太平洋側では発令の頻度はかなり少なめで、10年以上に渡り発表されることがない地域も存在します。
なお、発表の頻度には雪の多さ・基準による差のみならず、区域による地域差があります。例えば、広島市であれば区別に発令されますが、京都市の場合区別ではなく「全市」で発令されます。京都市の場合、南部の市街地(平地)と北部の山地で雪の量に極めて大きな差がある一方、山地で大雪と予想される場合でも、「京都市」という括りで警報が発令されます。
ポイント
- 大雪注意報、大雪警報はそれぞれ「地域ごと」の基準に従い発表
- 同時に発表されることはない
- 大雪注意報と比べ、大雪警報は「より重大な現象」への警戒を呼びかけるもので、発表の頻度は下がる