気象庁が発表する天気予報においては、比較的頻繁に「曇り」という予報が登場します。曇りという状態は、言葉の上では晴れておらず、雨や雪にもなっておらず、ただ雲にどんより覆われるような状態を指すものです。
一方で、曇り予報が出た場合に100%ずっとそういった曇り空のみが続くかというと、必ずしもそうではないケースがあります。
こちらでは、曇りという天気予報が意味する状況について、様々な視点から広く見ていきたいと思います。
曇り予報と「晴れ」
曇りという気象現象は、「雲量(空全体に占める雲の割合)」が「9〜10(約9割〜全て覆う状態)」であるケースを指します。
すなわち、曇りと定義される状態は、空の1割程度の範囲で「青空」が見えていても、場合によってはそこから「日差し」を受けている状態も含みます。曇り予報の際に青空・日差しが一時的に見えたとしても、それで予報が外れたとは言えない場合が多くなっています。
また、実際の予報では、「曇り」だけのお天気マークで予報されるケースに加え、「曇り一時・時々晴れ」などの予報となるケースも多く、実態に即した予報が行われています。
概ね曇り続けると予測 | 「曇り」一本の予報 |
晴れる時間が4分の1未満、かつ晴れが途切れず継続 | 「曇り」一時「晴れ」の予報 ※具体的には昼前から夕方まで、などのように時間帯で区切って予報 |
晴れる時間が2分の1未満、かつ晴れが断続的に発生 | 「曇り」時々「晴れ」の予報 |
ある時点から晴れ、曇りに変化する場合 | 「曇り」のち「晴れ」の予報 「晴れ」のち「曇り」の予報 ※具体的には昼前から、などのように時間帯で区切って予報 |
曇り予報と「雨・雪」
曇りの予報の際に、「雨・雪」が降るケースは少なくありません。
これは、予報上における予報文・お天気マークの取り扱いによるものです。具体的には「降水確率20〜40%」の場合、一部の特殊なケースを除き、気象庁のお天気マークは「曇り」や「曇り時々晴れ」などで文章としては状況に応じ「所により雨・雪」といった予報が付加される形になります。
数値予報の計算上、対象となる地域で雨・雪が降る(降水量を観測する)エリアがあると予測されている一方、その雨や雪が降る範囲(確率)が3〜4割程度と予測される場合、あくまでもトータルでの予測は「雨・雪が降らない側」になる可能性が高いため、お天気マークとしては雨・雪が付かない形が多くなります。
しかし、降水確率30%であれば、10回中3回は降水量を観測するような雨や雪に降られることになりますので、体感的な意味では「外れた」イメージを持ってしまうことが多いと言えます。
降水確率10%まで | ・予報文も含め雨・雪に関する記述は通常なし(所により〜など) |
降水確率20・30% | ・状況に応じ「所により雨・雪」といった形の予報文が示されるが、マークには反映されない |
降水確率40% | ・20〜30%台の際と同じようなお天気マークの場合が多め ・「曇り一本」の予報となる割合は増加 ・冬の日本海側の一部など、予想降水量が少ない一方、ほぼ確実に降ると想定される場合は、降水確率40%でも雨、雪マークが表示される場合あり |
降水確率50%以上 | ・どのような場合でも必ず雨、雪マークが登場 ・予報は「曇り時々、一時雨」など様々な形 |
曇り予報と「予報の当たり・外れ」
曇りの予報については、曇りとは異なる現象(体感も含む)が途中で見られるなどして、実際には「外れた」というイメージを持つ方が少なくありません。
但し、先述の通り、日が差すタイミングがあっても、雨や雪が場合によっては降るタイミングがあっても、それは「曇り予報」で示された範囲を逸脱していない場合があります。
お天気マークという存在は、その性質上「わかりやすく可視化」して天気予報を伝える効果は抜群ですが、「予報文」で示されている内容を全て伝えることは出来ず、気象現象の定義を詳しく説明するものでもありません。詳細な予報というものは、マーク・体感する天気と比べより複雑なものです。
そのエリアでどういった気象状況が発生する可能性があるかについては、より細分化された「天気分布予報」なども含めチェックすることがおすすめです。
まとめ
- 曇りマークの予報時に「青空が見える」、「日が差す」ことは予報の範囲内であり得る現象
- 曇りマークの予報時に「雨・雪が降る」ことも予報の範囲内でやはりあり得る現象
- 予報の運用上、降水確率30〜40%程度の場合は「雨・雪マーク」が付かないことが大半
- イメージと違う現象が発生しても「予報が外れた」とは一概には言い難い場合あり