「雲」と「霧」の違いとは?【実は同じもの?】

自然・気候

雲と霧というキーワードは、空模様・天気を表す際には通常「違うキーワード」として扱われますが、その意味を考える場合、「違い」は一体どこにあるのでしょうか?また、共通する点はどのようなものでしょうか?

こちらでは、雲と霧に関して、それぞれを判別する上での「基本」を解説していきます。

現象(物理的な意味)としては「同じ」

雲と霧は、通常「違う現象」として言葉の上では扱われます。しかしながら、物理的な意味で見た場合、発生している現象自体が異なるものとは言えません。むしろ「同じ」です。

雲も霧も、その成分は「雲粒」と呼ばれる空気中の水蒸気が「微細な水滴」になったものです。より具体的に言えば、冷やされるなどして、空気中に含むことが可能な水蒸気量を上回る(過飽和)場合に、「凝結」と呼ばれる現象が発生して、水滴が生じます。それが大量に空気中に浮かんでいるような状況となるため、目に見えるような形で雲・霧として現れます。

雲粒は、上空の特に高い場所や特に寒冷な場所では「微細な氷晶」となる場合もありますが、日本国内の平地で通常見られるものは、水滴による雲粒です。

上空に「浮かんでいる」ものが「雲」

物理的な現象としては実質的に同じでも、一般的には「雲」と「霧」は異なる存在として扱われます。

「雲」については、その定義は大まかに言えば、先述のメカニズムで発生した雲粒の集まりが、目に見える形で上空に浮かんでいる状態を指します。自分が今いる場所ではなく、空に見えるようなものは全て「雲」です。見た目としては多種多様ですが、その人から見て上空にあれば全て「雲」となります。

基本的に、一部の地域を除き「見かける頻度」として見た場合「雲」が圧倒的に多いと言えます。

地表を「覆っている」ものが「霧」

「霧」については、その定義は大まかに言えば、先述のメカニズムで発生した雲粒の集まりが、地表付近を覆っている状態を指します。人の視点で見た場合、今歩いている場所を覆う形になっている場合、それは「霧」です。直接的に「視界不良」をもたらすため、交通などへの影響が大きくなる場合があります。

地表とは低い場所に留まらず、登山中に視界不良になるケースも、その場所を基準にした場合霧に位置づけられます。一方で、周辺が晴れている場合、例えば山麓から見て山頂付近だけが見えなくなっているような場合は、山麓から見た視点ではその霧は「雲」に位置づけられます。

すなわち、見る場所(観測地点)によって同じ現象が「霧」にも「雲」にもなるということです。

気象現象上の区分

曇り上空を覆う雲の雲量が9〜10の場合
薄曇り上記「曇り」のうち上層の雲が下層・中層より多い場合
地表付近を覆い視程が1km未満の場合
濃霧地上で視程約100m、海上で約500m以下の場合の霧

雲は「雲」という名称の気象現象としては存在しません。雲はいわば「登場人物」であり、その量が多く青空が少ない場合「曇り」として扱われますが、雲量が少ない場合には雲があっても晴れ・快晴となる場合もあり、雲から何かが降っている場合はその降るものが気象現象として扱われます。

霧はメカニズムとしては雲と同じ現象である一方、視程低下をもたらすため単独の気象現象として取り扱われます。すぐ近くが見えないような状態をイメージしがちですが、それは「濃霧」であり、実際は1km未満の視程となる場合を広く霧としますので、その地域の環境次第では当てはまるケースがやや多くなる場合があります。なお、気象情報においては「濃霧注意報」や「海上濃霧警報」として、視程低下による影響に注意が呼びかけられる場合もあります。

まとめ

  • 雲、霧は物理的には同じ現象(水蒸気が凝結した雲粒が目に見える程度にまとまる)
  • 雲は「上空に浮かんでいる」もの
  • 霧は「地表付近を覆う」もの
  • 見る場所によって同じものが雲、霧のいずれにも位置づけられる