雪が降る際には「気温」が重要です。ごく一般的な知識として「高い気温」では積もらないか、積もりにくいということは、専門家でなくても広く知られている通りです。
では、、「積もりやすい気温」とは、一体どのくらいの気温となっているのでしょうか?
低ければ低いほど積もりやすい
雪は、気温が低ければ低いほど積もりやすい傾向があります。
積もりやすさの目安としては、「降水量」を「降雪量」で割った数字である「雪水比」がありますが、気温が下がると雪水比が増加し、少ない降水量でより多くの雪が積もるようになります。雪水比は「1」であれば、降水量1mmに対し降雪量1cmを意味し、1以上の場合は降水量に対し降雪量が多い状態、1未満の場合は少ない状態を指します。
その時々の気象状況に応じ、雪水比は大きく変化しますが、例えば気温1℃近いような高めの気温で降る場合、積もらないか積もっても雪水比0.5未満の比較的積もりにくい雪として降ることが多くなっています。逆にマイナスの気温で降る場合、雪水比は多くのケースで1を大きく上回り、雪質など条件によっては、2以上の相当積もりやすい雪として降るケースもあります。
その場の気温だけでなく雪質も重要
雪の積もりやすさは「気温」により大きく左右されますが、実際に観測してみると、気温がマイナスでも雪水比が1を大きく下回ったケースや、その逆で気温がプラスでも雪水比が1を大きく上回ったケースも一部で見られるなど、単純に気温に従って変化するだけではない事例もあります。
雪質としては、基本的に水分を含む量が少ない「乾いた雪」の場合多く積もりやすくなり、水分を含む量が多い「湿った雪」の場合多く積もりにくくなります。乾いた雪が多く積もる要因は、雪の「密度」が小さいため、より少ない重量で、より多くの体積を占めることになるためです。
このような現象は、南岸低気圧通過時などはまれに上空の方が気温が高い層が存在するケース(逆転層)があったりするケースなど、上空の気温が大きく関係しているほか、経験則的には「海から遠い側・山を越えた側」ほど雪水比が高まりやすい特徴が見られる場合もあります。
北海道の「積もる効率」は非常に高い
国内で最も気温が低い「北海道」は、雪が積もる効率は非常に高い環境です。北海道では-5℃未満で雪が降ることは珍しくなく、状況次第では-10℃前後で雪が降ることもあります。
北陸のように湿った重い雪が降りやすい地域では、積もる場合の雪水比は1程度か、状況によっては1を大きく下回るケースも目立ちますが、北海道は寒気が弱い一部のケースを除き、雪水比は1を大きく上回りやすく、旭川などの真冬の雪水比は月間の平均でも2.5以上に達し、アメダス観測地点においては3以上となっているケースもあります。
低すぎると「強く降りにくい」場合あり
もっとも、気温が低すぎる場合は、降る強さ自体はそれほど強くならないケースもあります。
雪雲は、相対的に温暖な海水温の影響で発達する傾向にあるため、平地でも気温が非常に低いような地域では、海水温も低い傾向にあるため、雪雲は発生しても、より温暖な地域ほどには発達しない場合が目立ちます。すなわち、-10℃未満が当たり前の地域だから、雪が必ず多くなると断言は出来ません。むしろ、0℃前後で雪が降りやすい地域の方が、雪が多くなる場合もあります。
例えば、北海道の特に道北地域では、大雪の頻度として見た場合1〜2月よりも12月に明らかに多いケースがあるなど、「気温や海水温が下がり切る前」のシーズンに大量に降る場合が目立ちます。これは、必ずしも上述した「雪水比」が高いということではなく、雪水比が真冬よりは低めの湿り気のある雪であっても、より多くの降水量として「強く降る」ため、結果として大雪になりやすいという意味合いです。