牡丹雪(ぼたん雪)と粉雪の違いを知る【基本をわかりやすく】

自然・気候

雪の性質を表す上で最も頻繁に用いられるキーワードとしては、「牡丹雪」と「粉雪」の2種類があります。こちらでは、それぞれの性質・特徴など基本中の基本と言える内容について、詳しく解説していきます。

牡丹雪とは?

概要

牡丹雪(ぼたん雪)は、降ってくる雪(雪片)の性質を示す言葉の1つであり、その名の通り「牡丹の花」のごとく比較的大きな形で、「ぼたぼた」と降ってくる雪を指します。

通常「粉雪」とは対義語として用いられます。

大きさ

牡丹雪の大きさは、基本的に1cm台程度の場合が多く、かなり大きいサイズでは3cmくらいに達することがあります。ごくまれにそれ以上のサイズも生じる可能性がありますが、極めてまれな現象と言えます。

条件

牡丹雪は、基本的に「湿った重い雪」です。雪片は極端な低温でない場合、実際はある程度の液体の「水」を含んでおり、牡丹雪はそういった水分量が多い雪片が複数「くっついた」形として生じるため、サイズが大きくなります。

気温は0℃程度で降ることが多く、氷点下でも0℃に近い場合はぼたん雪として降るケースがあります。しっかり降り続いている場合、1℃程度になるとみぞれに変わりやすいですが、湿度が低い時に「にわか雪」で降る場合は、より高い気温でも降ることもあります。

気温の状況や大気の状態によっては「牡丹雪」・「みぞれ」・「雨」・「あられ」などが目まぐるしく変化しながら降ることもあります。

特徴・影響

牡丹雪は、水分が多い湿った雪のため、とにかく「くっつきやすい」特徴があります。

すなわち、雪だるまを作ったり、雪合戦の雪玉を作るような場合、非常に「扱いやすい」雪と言えます。一方で、電線・樹木などにびっしりと「着雪」することで、切断・倒木などの雪害(災害)を引き起こすことがあるため、注意が必要な存在です。

くっつきやすい=飛ばされにくいということですので、例えば北日本で見られやすい「地吹雪」などの要因には基本的になりません。

類語

ぼた雪同義、新潟県内など一部地域での方言として用いられる
綿雪概ね同義
玉雪概ね同義
餅雪概ね同義
花弁雪(はなびらゆき)概ね同義
灰雪灰のようにひらひらと舞う雪を指すため、ぼたん雪と似た意味を持つ
太平雪(だびらゆき)
段平雪(だんびらゆき)
概ね「春」に降る雪片の大きな雪を指すことが多い
帷子雪(かたびらゆき)大きな雪片である一方「薄さ」の意味が含まれる

粉雪とは?

概要

粉雪(こなゆき)とは、漢字が意味する通り「粉状の」雪を指す言葉です。降ってくる雪の粒(雪片)、積もった雪(積雪)の両方の性質を表す際に用いられ、カタカナ語では「パウダースノー」と呼ばれます。雪の性質を示す語としては、「粉雪」と「牡丹雪(ぼたんゆき)」が、最も一般的な区分として用いられています。

地域では、気温が低い北日本ほど粉雪で降りやすく、北陸〜山陰の平地など気温が高めの地域ほど、粉雪ではなく「牡丹雪(ぼたん雪)」で降りやすいと言えます。

なお、気象庁などが天気予報を発表する際などには、「粉雪」という表現は通常用いられません。

性質

一般に粉雪と呼ばれるものは、基本的に「乾いた雪」です。乾いた雪とは、気温が低いため雪片に含まれる水分量が少ない、または事実上ない状態を指すものです(目には見えなくても、温度条件によっては雪片は水分を含む)。

風に舞い上げられやすい性質があり、「吹雪・地吹雪」を発生させる要因となっています。また、真冬に発生しやすい、積雪の上面のみが高速で崩れ落ちる「表層雪崩」を発生させる要因でもあります。

なお、積もった後の粉雪は、次第に性質を変化させ、最終的には固く締まった雪に変化することが基本です。気温変化が激しい場合(解けて再度凍るなどを繰り返す場合)、短期間で粉雪の状態から変化する場合もあります。

類語

パウダースノーほぼ同義
細雪ほぼ同義