標高の高さと「雪」について知る【気温低下】

自然・気候

気温は、一般的にも広く知られている通り、標高が高くなると低くなることが基本です。

晴れている状況ではなく、何かが「降る」場合、「降るもの」は雨・みぞれ・雪と気温に応じて変化する場合があります。

こちらでは、標高の高さと「雪」というテーマで、ごく基本的な知識をまとめて解説していきます。

地上が雨でも山の上は雪?

平地・都市部が雨でも、山の上は「雪」となっているケースは、ごく一般的な現象です。

山の上で雪になる理由は、地上と比べ気温が低く、0℃程度または氷点下など、雪が積もるような気温となっているためです。

北海道などに留まらず、東北〜中部地方なども含め、高い山では10月などの初冠雪が基本です。

山の上の気候は、平地とは全く異なります。標高が高ければ高いほど気候の違いは大きくなっており、初冠雪の時期を見ても、立山連峰などのように3,000m級の高山地帯は、秋の前半のうちに雪が積もることが一般的になっています。

気温変化の状況は様々

標高が高い場所に進むにつれて、雨が雪に変わりやすくなることに違いありませんが、気温変化の状況は様々ですので、状況に応じ雪へと変化するパターンは大きく異なる場合があります。

パターン気温の下がり方
通常の気温減率100mあたり0.6℃程度
乾燥した環境
上空に強い寒気が入る環境
100mあたり1℃程度など
湿った環境100mあたり0.5℃未満など
地上付近に寒気が溜まっている環境
上空に暖かい空気が入る環境
場合によってはある高さでは「逆転」の場合あり

気温の変化は、その時の大気の状態によって大きく異なります。教科書的な一般論では、100mにつき0.6℃、すなわち1,000mで6℃くらいの気温低下が見られる。ということになりますが、実際の気温はこの基準に当てはまるとは限りません。

実際には、1,000mで10℃くらいの気温差が生じることもありますし、逆に5℃未満の気温差に留まるケースもあります。雨から雪に変わる状況についても、この状況によって「どの高さから雪になるのか」が大きく異なるため、一概には言えませんが、典型的なケースとしては、例えば以下のような状況が起こり得ます。

エリア一つの例(あくまでも一部のケース)
首都圏・平地は雨、箱根は雪
・平地は雨、高尾山上は雪
・平地は雨、筑波山上は雪
・日光駅は雨、奥日光は雪
京阪神・平地は雨、六甲山上は雪
・平地は雨、比叡山上は雪
・平地は雨、金剛山上は雪
・奈良盆地は雨、大和高原一帯は雪

地上は雪で、上空は雨になることはある?

上空では雨が降っていて、地上では雪が降るという現象は生じません。但し、ごくまれに「雪」ではなく「氷の粒」として生じるケース(凍雨)があります。

雪というものは、基本的に細かい「氷の結晶」でできているため、解けて雨になったもの=単なる水滴が再度凍っても、それは「雪」ではなく「氷の粒」となります。どちらも凍っているという点では同じですが、気象現象としては異なる位置づけを持つ存在です。

凍雨は、気象現象としては頻繁に見られるものではありません。冷たい空気と冷たい空気の間に、雪が解けてしまうくらい(0℃以上)の暖かい空気があり、その下の冷たい空気が再度雨を凍らせるような「しっかりした寒気(氷点下)」であり、その寒気の層が厚いという特殊な条件が必要です。

国内では、東北・関東甲信越の山沿いなど本州の標高が高い地域、または北海道で見られるケースが目立ち、関東平野でもごくまれに生じたケースがあります。基本的に、「南岸低気圧」や「三陸沖・北海道沖を通る低気圧」の影響、または「前線の通過」で生じるケースが大半です。かなり冷たい空気が地上付近にしっかり溜まっている必要があるため、寒気が溜まりにくい西日本の海沿いの地域などで見られることはほぼない現象と言えるでしょう。

ポイント・まとめ

高い場所の方が気温が下がるため、地上は雨、山の上は雪という状態は「ごく一般的」です。

標高に応じた気温変化の度合いは様々です。そのため、どの高さで雪になると一概には言えません。その時々の気象状況に応じ変化します。

地上は雪、上空は雨という現象は原則生じませんが、一度解けて雨に変わったものが氷の粒として降る「凍雨」という現象はごくまれに見られます。