根雪とはどういう状態か?気象庁の定義(基準)を知る【雪が一度消えても根雪?】

自然・気候

雪が積もるという状態は、すぐに解けてしまうものから、かなり長期間残っていくものまで、その「積もり具合」は多種多様です。

こちらでは、積雪が長期間積もる状態を指す用語である「根雪」について、気象庁が定めている定義(根雪とみなす基準)なども含め、基本的な状況を解説していきます。

言葉としては様々な形で用いられる

根雪という言葉は、基本的に「雪が長期間積もった状態が続く」ケースで広く使用されています。

例えば登山の世界では「根雪あり」といった表現が特に頻繁に用いられますが、ここで言う「根雪」は、体感的に長期間雪が積もっている状況を示すものですので、どれだけの期間雪が積もっているかを厳密に区分して使用している訳ではありません。

また、積もっている場所についても区切りなどはなく、山地・都市部などを問わず、積雪が長期間ある場合は「根雪」という言葉が用いられます。

気象庁による根雪の定義

基本条件積雪が「30日以上」継続した場合
追加的条件【10日以上積雪継続時】
一度積雪が消えてもその後再度「10日以上積雪」の場合「積雪継続」とみなす
雪が途中で消える期間は「5日間以内」までは不問
上記を繰り返し30日以上の条件を満たした場合「根雪」

気象庁による「根雪」の定義は、言語上の定義と比べより広い意味を含みます。

上記の通り、30日以上雪が積もる状況が基本的な条件ですが、10日以上雪が積もる期間があれば、その後一度雪が消えても、5日間までの無積雪期間の後、再度10日以上雪が積もる場合は「根雪」の期間として換算されます。

根雪とみなす例・12月15日〜1月15日まで積雪
・12月15日〜12月31日に積雪、その後1月3日〜1月20日まで積雪
・12月15日〜12月25日に積雪、その後12月29日〜1月10日、1月14日〜1月25日に積雪
根雪とみなさない例・12月15日〜1月12日まで積雪
・12月15日〜1月12日まで積雪、その後1月18日〜2月15日まで積雪

こういったケースは、体感的には必ずしも「根雪」とは感じない場合も含まれます。とりわけ極端な寒冷地ではない北陸の平地などでは、途中で雪が一時的に消える「根雪」となるパターンとなりやすく、一般的には「積もって解けて」と認識される場合でも、気象庁の統計上は「根雪」としてカウントされている場合があります。

一方で、30日近い積雪が5日以上の間を開けて2回続く場合は「根雪」にはなりませんので、実質的には雪が積もっている期間が長めのケースで「根雪」とならず、途切れ途切れのケースで「根雪」とみなされるケースがあります。

雪が少なくても根雪になる?

根雪は多くの場合大量の雪が積もるケースで見られやすいですが、気温が非常に低い地域では、積雪が少ない場合でも根雪となるケースがあります。

このようなケースが見られやすいのは、北海道の太平洋側や、本州の標高が高い山岳地帯の一部(奥日光など)で、数cm〜10cm台程度の積雪が1ヶ月以上に渡って続くことがあります。

根雪というと、50cm以上の積雪・1m以上の積雪がある地域というイメージが強いですが、気温が十分に低ければ雪が解けにくいため、必ずしも大量の積雪が必要とは限りません。特段の大雪というほどではない雪が降った後、-10℃台などの冷え込みが長期間続けば、その雪は1ヶ月以上残るケースもあります。

大雪になっても根雪にならない?

逆に、かなりの大雪・ドカ雪となる場合であっても、積もった後に比較的温暖な状況が続く場合、根雪にはならない場合があります。

典型的な事例としては、2017年の鳥取市などの豪雪が挙げられますが。こちらは鳥取の気象台で最大91cmという記録的な積雪となったものの、その後最高気温が10℃以上になる日もあるなど気温が高めで推移したため、91cmを観測した10日後には積雪がゼロになっています。

このようなケースは北日本・東日本など気温が低い地域ではほぼ見られませんが、山陰〜近畿北部〜北陸の一部など冬の気温が必ずしも「極寒」とは言えないような地域では時に生じる場合があります。大雪〜雪解けの「サイクル」がかなり早くなり、足元が悪くなりやすいため注意が必要です。

根雪日数はどのくらい?

都市根雪初日(1cm以上・平年)根雪終日(1cm以上・平年)
旭川11月24日4月7日
札幌12月6日4月2日
函館12月19日3月10日
青森12月14日3月23日
秋田12月25日
※一部根雪にならなかった年あり
3月3日
※一部根雪にならなかった年あり
盛岡12月30日
※一部根雪にならなかった年あり
2月26日
※一部根雪にならなかった年あり
高田(新潟)12月30日
※一部根雪にならなかった年あり
3月13日
※一部根雪にならなかった年あり

根雪という現象は「雪が多く降る地域」であっても、都市部の場合はかなり気温が低い地域を除いては、毎年見られる訳ではありません。

全ての年で必ず根雪となっている主な都市は、旭川・札幌・小樽・青森市など気温が低く雪が多い北日本の一部の都市に限られます。根雪の期間は12月から長い年は4月に入る時期に及ぶこともあり、雪に長期間覆われます。

一方で、新潟・富山・金沢・福井市などは雪が降ることが一般的ですが、根雪となった年はあくまでも全ての年ではなく、一部に留まります。秋田・盛岡市など緯度が高い都市であっても、根雪にはならなかった年が存在します。

舞鶴・鳥取市など近畿北部・山陰方面まで行くと、根雪の頻度は日本海側であっても大幅に少なくなり、かなりまれな現象となります。但し、山地については西日本など比較的緯度の低い地域であっても、例えば中国山地沿いや滋賀県・兵庫県北部の山間部など、根雪が一般的な地域が見られます。

ポイント・まとめ

  • 一般的には雪が長期間積もる場合を広く「根雪」と呼ぶ
  • 気象庁の定義では「30日以上積雪継続」が基本の条件
  • 「10日間以上の積雪」が途中5日間以内の無積雪期間を挟み、「合計30日以上」となる場合気象庁の「根雪」定義に当てはまる
  • 寒冷地では少ない雪でも根雪となる場合あり
  • 温暖な地域では一時的に豪雪、大雪となっても、根雪とならない場合あり
  • 毎年根雪となる都市は北日本エリアの一部のみ、北陸や新潟方面の都市は根雪にならない場合も多い