気象庁は、全国各地の多数の観測地点で「気温」を観測しています。
こちらでは、その中でも特に「冬の冷え込み」が厳しい観測地点について、各地方ごとに「最も寒い」と言える場所(1・2月の平均最低気温が最も低い水準の地点)を一覧で見ていきます。
なお、こちらでは「観測地点」の状況を見ていきます。観測がされていない場所では、より低い気温となっている可能性もありますので、その点はご留意下さい。
北海道
地点名 | 1月の平年最低気温 | 2月の平年最低気温 | 観測史上最低気温 |
---|---|---|---|
陸別アメダス | -19.6℃ | -18.8℃ | -33.2℃ (2000/1/27) |
標高:210m
北海道のみならず全国で最も冷え込みが厳しい観測地点は、十勝地方の陸別町に位置する陸別アメダスです。
平年(平均)の最低気温は-20℃近くに達しており、時折-25℃未満、場合によっては-30℃台に達することもあり、極端な冷え込みが当たり前の地域です。
なお、これに匹敵するような冷え込みとなる観測地点はその他にも多く、例えば足寄・占冠・江丹別・朱鞠内など、-30℃前後の冷え込みとなるようなことはその他でも一般的です。
東北
地点名 | 1月の平年最低気温 | 2月の平年最低気温 | 観測史上最低気温 |
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薮川アメダス(岩手県) | -13.2℃ | -13.0℃ | -27.6℃ (1988/2/17) |
標高:680m
東北地方で最も気温が低い観測地点は、岩手県盛岡市の山間部に位置する「薮川アメダス」です。
こちらは標高が高い場所である一方、斜面ではなくやや平坦な土地となっているため、放射冷却が非常に強まりやすく、北海道並みの極寒の地となっています。
平年の最低気温は-13℃台と旭川より低く、毎年のように-20℃台の冷え込みを観測しているなど、本州では長野県の一部と同様に最も寒い地域となっています。
関東甲信
地点名 | 1月の平年最低気温 | 2月の平年最低気温 | 観測史上最低気温 |
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菅平アメダス(長野県) | -13.0℃ | -12.6℃ | -29.2℃ (2012/2/19) |
標高:1253m
関東甲信地方の観測地点で最も気温が低い観測地点は、長野県上田市の山間部に位置する「菅平」アメダスです。
こちらは、上述した「薮川」アメダスと比べ緯度は低いものの、標高はより高いこともあり、ほぼ同等の冷え込みが見られ、北海道並みの極寒の地となっています。
菅平エリアは「菅平高原」としてスキーリゾート・避暑地として有名であり、標高1,200m以上の高地である一方、盆地のような平たい地形となっているため、冷たい空気がしっかり溜まりやすく、日本国内でも特に「放射冷却」の効果が強く現れやすい場所として知られています。
-20℃を下回る冷え込みは毎年見られ、過去には-29℃台という、北海道を除く地域では「観測史上最低」の気温を観測した記録もあります。
北陸
地点名 | 1月の平年最低気温 | 2月の平年最低気温 | 観測史上最低気温 |
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津南アメダス(新潟県) | -4.4℃ | -4.8℃ | -16.5℃ (1981/2/27) |
標高:452m
北陸地方は、冬場は雪や雨の天気が続きやすく、晴れて地上が冷やされる「放射冷却」が発生する頻度が少ないことが特徴です。
そのため、晴れる日が多い地方とは異なり、山間部などを含め「極寒の地」と呼べる場所は少なくなっており、気象庁が観測する地点においては、それほど極端な低温傾向となっている場所は存在しません。
最も気温が低めの地点は、観測地点の中で最も標高が高い新潟県津南町の「津南アメダス」です。こちらは、平均の最低気温は-4℃台、晴れるタイミングでは-10℃を下回ることもまれにあり、しっかり寒い地域です。但し、より内陸の長野県側と比べると、冷え込みの程度は抑えられています。
東海
地点名 | 1月の平年最低気温 | 2月の平年最低気温 | 観測史上最低気温 |
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六厩アメダス(岐阜県) | -11.3℃ | -11.4℃ | -25.4℃ (1981/2/28) |
標高:1015m
東海地方で最も気温が低い地点は、岐阜県高山市の「六厩」アメダスです。
こちらは、標高1,000m以上かつ、平坦な地形となっているため、日本国内でも特に「放射冷却」が強まりやすい典型的な特徴を持っています。
緯度の高い地方でないにも関わらず、気温は北海道並みで、時には-20℃未満の強烈な冷え込みとなる場合があります。なお、これより西側の日本国内で、六厩アメダスよりも寒い観測地点は存在しません。
近畿
地点名 | 1月の平年最低気温 | 2月の平年最低気温 | 観測史上最低気温 |
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高野山アメダス(和歌山県) | -4.0℃ | -3.8℃ | -13.4℃ (1981/2/28) |
標高:801m
近畿地方で最も気温が低い観測地点は、和歌山県高野町にある「高野山」アメダスです。
高野山一帯は標高700m以上の高地で、かつやや平たい地形となっている場所があるため、冷え込みは比較的厳しく、一部の年では-10℃以上の気温を観測することもあります。
但し、東海以東の「より寒い観測地点」と比べると、それほど目立った低温傾向ではなく、過去に-15℃を下回る冷え込みも観測されていません。
中国
地点名 | 1月の平年最低気温 | 2月の平年最低気温 | 観測史上最低気温 |
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茶屋アメダス(鳥取県) | -4.5℃ | -4.7℃ | -17.7℃ (2011/2/16) |
標高:490m
中国地方で最も気温が低い観測地点は鳥取県日南町の「茶屋」アメダスです。こちらは、山深い地域の中にある小さな盆地のような地形で、「放射冷却」が非常に強い環境となっています。-5℃未満の冷え込みはごく一般的で、時には-10℃未満となることがあります。
猛烈な寒波の後などには、ごくまれに-15℃未満の気温を観測するケースがあり、近畿地方を含む西日本エリアでは最も低い気温を観測した地点となっています。
四国
地点名 | 1月の平年最低気温 | 2月の平年最低気温 | 観測史上最低気温 |
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久万アメダス(愛媛県) | -2.5℃ | -2.2℃ | -13.6℃ (1983/2/22) |
標高:511m
四国で最も気温が低い観測地点は、愛媛県久万高原町の「久万アメダス」です。こちらは標高500m以上の山に囲まれた小さな盆地のようになった地形であり、「放射冷却」の影響が比較的強い環境となっています。
気温は中国地方の内陸部などと比べれば「南側」ですのでやや高めですが、-5℃未満の冷え込みはそれほど珍しいものではなく、過去にはごくまれに-10℃未満の気温を観測したケースもあります。
九州
地点名 | 1月の平年最低気温 | 2月の平年最低気温 | 観測史上最低気温 |
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南小国アメダス | -2.8℃ | -2.1℃ | -13.8℃ (1984/2/10) |
標高:448m
九州で最も寒いと言える観測地点は、熊本県南小国町にある「南小国」アメダスです。
標高が400m以上と高い一方で比較的なだらかな土地であり、放射冷却が強まりやすいため、九州ながら氷点下の冷え込みが大半となり、過去には-10℃未満の気温を観測したこともあります。
なお、九州地方の「観測史上最低気温」については、こちらの南小国アメダスではなく、北側に離れた大分県の「玖珠アメダス」で-14.7℃の記録が存在します。