神戸は「涼しい」って本当?【大阪湾の影響】

自然・気候

港町として全国的な知名度を有する大都市「神戸市」は、その「気候」を見た場合、夏はやや涼しく、冬は温暖な環境とされることが多くなっています。

こちらでは、そのうち「夏」の「涼しさ」をテーマに、そもそも本当に涼しいのか?どのような要因が関係しているのか?といった内容を解説していきます。

神戸は「大阪」と「京都」よりも涼しい

神戸の海沿いにある神戸地方気象台で観測される夏の最高気温は、平均した数値である「平年データ」を見ると、大阪・京都の気象台と比べやや低めです。

地点7月の最高気温平均8月の最高気温平均猛暑日日数真夏日日数
神戸地方気象台30.4℃32.2℃4.7日57.9日
大阪管区気象台31.8℃33.7℃14.5日74.9日
京都地方気象台32.0℃33.7℃19.4日75.8日
いずれも1991〜2020年の気象庁平年値

気温差は概ね1.5℃程度と、それほど目立って大きなものではなく、「涼しい」と言えるかどうかは微妙な所ですが、最高気温35℃以上となる「猛暑日」の日数は少なくなっており、体感的にもある程度の違いがあると言えます。

出典:気象庁ホームページ(2023年8月19日14時の気温図)
地点7月の最低気温平均8月の最低気温平均熱帯夜日数
神戸地方気象台24.7℃26.1℃46.8日
大阪管区気象台24.6℃25.8℃41.5日
京都地方気象台23.6℃24.7℃27.2日
いずれも1991〜2020年の気象庁平年値

但し、昼間の最高気温ではなく朝の最低気温を見ると、神戸は最も高い数字が見られ、最低気温25℃以上である熱帯夜の日数も最も多くなっています。

1日の気温差が大阪・京都と比べ小さいのが神戸の夏の気温の特徴と言えるのです。

やや涼しい理由は「海からの風」

神戸市でやや涼しい傾向が見られる要因は、海から吹く風の影響です。

神戸市は南側を大阪湾に面しており、夏には南寄りの風が市街地に向かって吹くことが多くなります。

海の「海水温」は、陸地と比べ「熱されにくく冷めにくい」ため、夏場であれば27〜30℃程度で安定的に推移する特徴があります。

そのような海水温の影響を受けた「海上の空気」は、風に乗って陸地へ流れ込むと、「昼間は暑くなりにくく、夜間は冷え込みにくい」気温をもたらします。

結果として、夏の神戸では昼間は猛暑の頻度がやや少なくなり、逆に朝晩は気温が高めで熱帯夜が多くなります。

同じ神戸市といっても様々な特徴あり

神戸市は、大阪湾に面した沿岸部、標高が高い六甲山地、市北部や西部の内陸部など、地理的にかなり様々な特徴を持った市域が広がっています。

標高の高さ、海からの距離、風の通り方など、市内でも状況が全く異なる地域がありますので、全ての場所で同じ気温にはなりません。

基本的には「全てのエリア」で大阪・京都と比べればやや涼しい傾向が見られますが、例えば六甲山上のように「避暑地」と言えるような涼しさの場所もあれば、六甲山裏手の北区北神地域の一部のように、南風が「フェーン現象」としてかなりの高温をもたらす場合がある地域もあります。

また、朝晩の気温については標高が高い場所で下がりやすく、鈴蘭台周辺をはじめ北区では熱帯夜になるようなケースが非常に少ない地域もあり、昼間の気温とはまた傾向が異なる場合もあります。

一口に「神戸市」と言っても、多様な環境があるため一概には言えないという点に注意が必要です。

まとめ

神戸市の気温は、近隣の大阪市や京都市と比べ、夏の最高気温は「若干低め」となり、両都市と比較した場合は「やや涼しい場所」と言えます。

但し、神戸でも当たり前のように最高気温は30℃を上回るため、大阪・京都とある程度の「体感差」はあったとしても、六甲山上のような特殊な環境を除き、「涼しい」とはっきりと言い切ることが出来るほどではありません。

気温上昇がやや抑えられる要因としては、南側に大阪湾があり、変化の小さな海水温の影響を受けた風が直接吹き込むことが挙げられます。但し、市内には海沿い・山地・内陸部など様々な環境があり、場所によって状況は異なる場合があります。