どうして京都市はこんなにも暑いのか?【要因を考える】

自然・気候

日本で最も有名な観光都市と言える「京都市」は、その「気候」を見ていくと、特徴としては「夏にとても暑い」という点が突出したポイントとして挙げられます。

京都の暑さは「日本一」と言われることもあるほどで、最高気温35℃以上の猛暑日はごく一般的です。

こちらでは、京都市の「暑さ」について、その基本的な状況と、その「要因」として考えられる点などについて、まとめて解説していきたいと思います。

情報は2023年時点の基本的な内容です。状況がその後変化する場合も考えられますので、あらかじめご留意下さい。

結局京都はどのくらい暑い?

京都市は、主要な都市として見た場合「日本一暑い都市」です。最高気温35℃以上の猛暑日の平年日数は、大阪・名古屋・東京・福岡などその他の大都市と比べても最も多く、多い年では年間30日以上に達する場合があります。

また、最高気温30℃以上となる真夏日の平年日数で見ても、沖縄・南西諸島という例外はありますが、それ以外の地域の中では最も多い水準となっています。

京都大阪神戸仙台東京名古屋広島福岡那覇
平年「猛暑日日数」19.4日14.5日4.7日0.9日4.8日15.0日8.1日8.1日0.2日
平年「真夏日日数」75.8日74.9日57.9日23.0日52.1日69.7日64.3日60.4日102.5日
出典:気象庁(1991〜2020年の平年データ)

なお、真夏日や猛暑日は近年より増加傾向にあるため、「平年日数」よりも体感的により多く感じやすい傾向があります。

2023年現在、40℃以上の気温を観測した記録はありませんが、38℃以上の最高気温を観測することは近年珍しくなく、「猛暑」を通り越して「酷暑」の地域となっています。

要因1:内陸盆地という暑さの源

出典:地理院地図(色別標高図) 一部作図の上使用・京都市付近の地図

京都市は、市街地・平地のほとんどは「京都盆地」と呼ばれる比較的平坦な土地に広がっており、南側を除いては山に囲まれた地形となっています。

京都に限らず盆地の地形となっている場所は、地上付近が日差しによって熱された後、その熱が溜まりやすい環境(風が吹き抜けにくい)となっているため、気温は総じて高めです。

とりわけ京都市は、後述する通り都市化によるヒートアイランド現象の影響も大きいため、それに「盆地効果」が加わることで、暑さが極端なものとなっています。

日本全国の大都市を全て見ても、京都市ほどの「山に囲まれた盆地」は存在しません。かつて都が置かれる理由となったであろう「地形」は、現代では突出した暑さをもたらす要因として機能しています。

要因2:海から遠い

日本国内の「大都市」として見た場合、海から都心部までの距離が特に離れている都市は「京都市」と「さいたま市」です。人口100万人以上の都市で見ると、福岡・広島・大阪・名古屋・横浜・川崎・東京・仙台はいずれも市内が海に面しており、札幌は直接面してはいないものの、海からそれほど遠い訳ではありません。

京都市の都心部は、最も近い「海」である大阪湾からは、約40〜50km程度離れています。

海からの距離が遠いということは、昼間に海から吹き出す比較的涼しい「海風」の影響が小さい・ないということであり、気温上昇を抑える効果が生じません。

例えば、京阪神エリアであれば「神戸市」は、南側が全て大阪湾に面しており、昼間に南寄りの海風が直接入り込みやすい環境です。そのため、気温は京都と比べある程度抑えられ、猛暑日の日数はかなりの差が見られます(神戸が少ない)。京都の場合、そういった「海の効果」がほぼないため、先述した「盆地効果」も合わさって強烈な暑さとなっているのです。

なお、京都市のすぐ東側にあたる滋賀県内には、大きな水辺である「琵琶湖」が存在しますが、京都市街地とは比叡山などの山地で隔てられており、琵琶湖のもたらす気候面での影響は受けづらい状況です。

要因3:都市化によるヒートアイランド現象

京都市は、市街地が広がる京都盆地一帯は、自然が残されている場所は特段多いとは言えません。巨椋池・大原野方面といった市南部・西部の一部(伏見区・西京区)を除いては、平地はほぼ全域が「市街化・都市化」されており、建物に覆われています。

東京・大阪のような高層ビルこそ見られないものの、一般的なオフィスビル・マンション・工場などは大変多く交通量もかなり多いため、都市化によって「熱が溜まりやすくなる」ことで生じる「ヒートアイランド現象」の影響はかなり大きくなっています。

京都の場合、内陸部ながら夜間の気温もヒートアイランド現象によって下がりにくく、昼間の気温もヒートアイランド現象によって一層上昇してしまっている状況にあるため、都心周辺の場合「いつでも暑い」状況が顕著になっています。

要因4:そもそも温暖化している

京都という場所が持つ要因ではなく、当然のことながら「地球温暖化」に伴う気温上昇も京都の暑さをもたらす大きな要因となっています。

但し、これは京都特有の事情ではないため、京都が他と比べて暑い理由とは言えません。あくまでも「京都特有の暑さ」を「より暑く」する、暑さを加速する要因となっています。

京都は元より国内ではかなり暑い地域であったものが、都市化+地球温暖化という要因がプラスされた結果、極端な暑さ(酷暑)が続きやすい状況となっています。

まとめ

京都市は、日本国内では昼間の気温が平均的に「最も暑い」と言える地域です。

暑さの要因としては「内陸盆地である」・「海から遠い」・「都市化によるヒートアイランド現象」・「地球温暖化の影響」といった点が挙げられ、それらが重なり合った結果、極端な暑さが引き起こされていると言えます。