北海道の「雪が多い所・少ない所」とは?

自然・気候

北海道内はどこであっても積雪はごく一般的で、豪雪地帯に指定されていない地域はありませんが、地域によって雪が特に多い場所、比較的少ない場所があり、大きな地域差が見られます。

こちらでは、いくつかの指標(テーマ)に基づき、北海道内の「雪が多い所・少ない所」を見ていきます。

当記事内の全ての情報は2023年時点の状況に基づく「過去の一般的な傾向」を解説するものです。実際の状況はその時々の気象条件に応じ様々に変化する場合があります。

道内の主要都市で最も雪が多い所は?

TOP3(市街地の中心部で見た場合)

1位:岩見沢市
2位:小樽市
3位:石狩市

※人口5万人以上の都市に限る

北海道内にある主要都市(人口5万人以上の市街地で比較)で雪が最も多い場所は、空知地方の中心都市である「岩見沢市」です。岩見沢市では過去に2m以上の積雪となったこともあり、札幌・旭川などと比べても雪が増えやすい環境です。

次いで雪が多い主要都市(市街地で見た場合)は順に小樽市・石狩市となっており、基本的に石狩湾に比較的近いエリアで雪が多い特徴が見られます。札幌市の雪も多く、小樽・石狩との差はそれほど大きくありません。

なお、人口5万人を下回る規模が小さな「市」を含めて見た場合、夕張市のようにより雪が多い地域が存在します。また、市街地以外の平地を含めた場合、小樽市よりも石狩市で雪が多くなりやすい傾向があります。

気象庁の観測地点で最も雪が多い所は?

TOP3

1位:朱鞠内アメダス(平年最深積雪235cm)
2位:幌加内アメダス(平年最深積雪195cm)
3位:倶知安アメダス(平年最深積雪183cm)

※データは気象庁の平年データ(1991〜2020年)
※データが不完全な「幌糠」アメダスが幌加内を上回る可能性あり

気象庁が北海道内で観測している地点で見ると、雪が最も多い地点は幌加内町の北部に位置し、湖があることで知られる「朱鞠内」のアメダスとなっています。こちらは、多い年に積雪3mを超えることもあるなど、本州の豪雪地帯(新潟・山形)にも匹敵するような雪の多さが特徴です。

また、同じく幌加内町にある幌加内アメダス(町中心部寄り)も雪が非常に多く、2m以上の積雪となることがあります。

道内の比較的南側では、スキーリゾート「ニセコ」に近い倶知安アメダスも雪がかなり多く、2mを上回る積雪が多くの年で見られます。

なお、データが不完全ですが、留萌市の内陸部に位置する幌糠アメダスも雪が非常に多く、実質的には幌加内を上回る雪となっているため、道内2位に位置づけられる可能性があります。

山地で雪が最も多い所は?

推定の状況

・大雪山系が特に多い(標高が高いため)
・増毛、天塩山地やニセコ連峰、余市岳周辺なども極めて多い
・道内であればどこでも極めて多い点に留意

人が住む場所を考慮せずに「山地」で考えた場合、道内の山地は事実上どこであっても立ち入りが難しいほどの大量の積雪が当たり前の環境です。

但し、標高や日本海側からの雲の入り方などを考慮すると、2000m級の高山地帯を有する大雪山系がとりわけ雪が多いと推定されます。大雪山系の旭岳では9月の初冠雪が一般的で、万年雪が存在することでも知られます。

また、日本海側からの雲がぶつかる増毛山地・天塩山地・ニセコ連峰・余市岳周辺なども雪が極めて多くなっています。

雪が少ない所は?

主なエリア

・日高地方の沿岸部
・胆振地方の一部を除く沿岸部(大岸方面を除く)
・函館市の南東部
・根室市周辺
・釧路市の沿岸部

北海道で雪が少ないエリアは、基本的に「降水量が少ないエリア」または「気温が比較的高いエリア」が当てはまります。

すなわち、降水量がやや多い日本海側や、気温が低い内陸部・オホーツク海に目立って雪が少ない地域はありません。

雪が少なめの地域は太平洋側の沿岸部のみに見られ、とりわけ日高地方の沿岸部は北海道で最も雪が少ない地域(浦河など)となっており、30cm以上積もることが極めてまれな地点があります。

胆振地方や函館市の一部沿岸部も日高地方の沿岸部に次いで雪が少なくなっており、例えば室蘭市街地で50cm以上雪が積もるようなケースはほとんどありません。

根室・釧路市については、平均的には雪が少なめのエリアですが、低気圧が発達する場合などに「ドカ雪」となったケースが過去にあるため、それ以外の「少ない地域」とは状況が異なります。

なお、「少ない」はあくまでも北海道基準での「少ない」ですので、東京や大阪でイメージする「少なさ」ではありません。最も少ない日高地方沿岸部であっても積雪すること自体は一般的です。