岡山県の北部に位置し、ほとんどの地域を山地が占める「新見市」と「真庭市」。
冬場の「雪」は、県内の瀬戸内側と比較すると雪が明らかに多い地域で、市内の一部は「豪雪地帯」となっており、1m以上雪が積もることがある地域も見られます。
気象庁のデータ【豪雪地に観測地点あり】
千屋アメダス | 上長田アメダス | |
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年間降雪量(平年値) | 368cm | 511cm |
年間最深積雪(平年値) | 55cm | 82cm |
過去最大の積雪深 | 97cm(2005/12/24) | 137cm(2011/1/17) |
月間積雪差合計(平年値) | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
千屋アメダス | 1cm | 66cm | 136cm | 124cm | 39cm | 1cm |
上長田アメダス | 2cm | 94cm | 189cm | 169cm | 67cm | 1cm |
月間最深積雪(平年値) | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
千屋アメダス | 1cm | 28cm | 41cm | 43cm | 19cm | 1cm |
上長田アメダス | 1cm | 39cm | 62cm | 73cm | 39cm | 1cm |
年間積雪日数(平年値) | 5cm以上 | 10cm以上 | 20cm以上 | 50cm以上 | 100cm以上 |
千屋アメダス | 52.4日 | 43.1日 | 28.0日 | 5.5日 | 0.0日 |
上長田アメダス | 67.8日 | 60.0日 | 48.0日 | 20.7日 | 1.9日 |
◇千屋アメダスの年間最深積雪の推移(1991年~2023年までのデータに限定)
◇上長田アメダスの年間最深積雪の推移(1991年~2023年までのデータに限定)
- Q千屋・上長田アメダスはどこにある?
- A
2023年現在、千屋アメダスは新見市の北部に位置する千屋地区(標高500m台)、上長田アメダスは真庭市最北端・鳥取県境に近い上長田地区(一般的には「蒜山高原」として知られる地域・標高400m台)にあります。
いずれも両市の市街地よりも北側、鳥取県側に位置するため、雪の量は「かなり多くなりやすい」特徴を持ちます。特に上長田アメダスは日本海からの距離が20km少々のため、その特徴はより顕著です。
- Q雪の量はどう変化している?
- A
気象庁による観測データは、全国的に雪が近年よりも多かったとされる昭和の時代のデータを含んでおらず、一般に雪が減ったとされる平成以降のみのデータであるため、明確な増減は観察されません。
上長田アメダスでは、平成の後半以降にも1m以上の積雪を一部の年で観測しています。
新見・真庭市街地の雪とは?
- Q雪はいつから降る?いつまで降る?
- A
12月中に1回以上は「積もる雪」となる年が多くなっています。また、積もる雪の終わりは2月後半〜3月前半頃のことが多くなっています。
但し、近年は暖冬傾向の年も多いため、12月・3月には全く雪が見られない年もあります。
- Q雪はどのくらい積もる?
- A
年により差は大きくなります。
市街地は数cm〜10cm程度の雪はそれほど珍しくなく、多い年には何度も積もることがあります。
過去には30cm以上と推定される大雪になったこともありますが、ケースとしてはまれで、そのような状況になる年は多くありません。
- Q根雪になる?
- A
市街地では基本的に根雪(1ヶ月など長期間積雪が継続する状態)にはなりません。
但し、市街地より北側などの山間部へ入ると、状況によっては根雪となっている場合があり、運転などに注意が必要です。
- Q新見市街地と真庭市街地ではどちらの雪が多い?
- A
市街地同士の場合目立って大きな差はありません。
過去の降水量などから推定すると、強い冬型の気圧配置の際などは、「真庭市街地」の方が若干積雪が多くなりやすい特徴があると言えますが、絶対的な傾向とまでは言えません。
- Q雪が多い場所なの?
- A
岡山市と比べればかなり雪が見られやすいという意味では「多い」と言えます。
但し、市内北部の山間部と比べると市街地の雪は大幅に少なく、日本海側のように「ドカ雪」が見られることもそう多くないため、市街地は必ずしも「雪国」とまでは言えません。
大まかには「日本海側」らしい特徴と、「瀬戸内側」らしい特徴の「ちょうど境界線付近」にあるという解釈が可能です。
その他ポイント
- Q市内の雪事情に差はある?
- A
かなり大きな差があります。
大まかに言えば(同じ標高であれば)「北側」すなわち鳥取県に近い側ほど「雪がどんどん多くなる」傾向で「豪雪地」となります。先にデータでも見たとおり、蒜山高原周辺など一部の山間部では、積雪が1m以上に達するケースがあります。
豪雪地帯としては、新見市の場合神郷・大佐地域及び合併前の新見市域、真庭市の場合湯原・美甘・川上・八束・中和地域が指定されています。
一方で、市街地よりも更に南側で標高が低い地域などは、市街地と比べてもより雪が少なくなりやすく、10cm程度の積雪でもまれな環境もあります。
同じ新見市内・真庭市内といっても、地域によって・南北によって全く雪の環境は異なりますので、運転する際などには注意が必要です。
- Qどういうケースで大雪になりやすい?
- A
「強い冬型の気圧配置」で雪雲が概ね「北北西方向」などから流れ込むようなケースで、巨大な雲の帯・塊である「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」の影響を受ける場合が多くなっています。
パターンとしては、いわゆる「山雪型」の気圧配置で雪が増えやすい地域です。
また、冬型の気圧配置ではなく太平洋を通る「南岸低気圧」の影響を受ける場合もあり、瀬戸内側の沿岸部で雨の場合も、新見・真庭市は内陸側で気温が低いことから、時に10cm程度〜などまとまった雪となるケースがあります。
- Q気候は日本海側の気候?瀬戸内側の気候?
- A
大まかに見れば、どちらの特徴も持っていると言えます。
市の北部は雪が多いため「日本海側」寄りの気候的特徴を持つと言えますが、市の南側へ行くほど「瀬戸内側」の特徴が強くなっていき、日本海側で見られるような気候的特徴はどんどん薄れていきます。
なお、内陸部であるため、西日本ではかなり気温が低い点も気候の大きな特徴と言えるでしょう。