こちらのページでは、兵庫県の県庁所在地であり全国的に見ても規模が大きな政令指定都市でもある「神戸市」について、余り縁がなさそうな「雪」というテーマから、どのくらい降る・積もる傾向があるのか?といった内容などを解説していきます。
掲載情報は2023年時点のものです。その後の観測状況などにより、データなどが変化していることも考えられますので、その点はご留意下さい。
神戸市「雪に関する基本データ」
観測地点名 | 平年年間降雪量 (cm) | 平年年間最深積雪 (cm) | 平年年間降雪日数 | 過去最大の積雪深 (cm) |
---|---|---|---|---|
神戸 | 1 | 1 | 26.9 | 17(1945/2/25) |
【参考】東京 | 8 | 6 | 8.5 | 46(1883/2/8) |
神戸市内では、神戸地方気象台(神戸市中央区脇浜海岸通1丁目)において降雪・積雪に関する観測が行われています。データは雪が少ないため参考にすることが難しいような数字で、雪が積もらない年が多いため、平年の月間降雪量などは四捨五入すると「ゼロ」となってしまう状況です。
一方で、降雪を観測する日数自体は東京より多く、これは「冬型の気圧配置」の際に、ごく一瞬やみぞれも含めて少しだけ舞う・降るケースが時折あることが要因と言えます。もっとも、その多くは「気づかない」程度のもので、日常的に雪を意識する機会は少ないと言えます。
神戸は港湾都市として非常に重要な存在となってきたため、雪に関する観測の歴史は長く、相応にデータが残る1916年冬から2023年冬までの100年以上の経過を見ていくと、終戦前後まではまとまった雪も一般的に見られた一方、その後大雪の機会はほぼなくなり、平成以降は「1cm以上の雪が一度も積もらない年」が多数を占める状況に変化するなど、雪の減り方が極めて大きくなっています。
2023年1月には久しぶりの積雪「4cm」となり交通などに大きな影響が生じましたが、この「4cm」という数字ですら、平成以降では記録的なレベルの雪となっています。
なお、1999年に観測地点は海から1km程度離れた中山手通から海のすぐそばにあたる脇浜海岸に移転し、海からの温暖な空気の影響が更に大きくなったと推定されるため、近年の雪の少なさはそれらも少しは考慮する必要があるかもしれません。
神戸市「月別の雪事情(市街地の傾向)」
神戸市の三宮など「都心部(海沿いの市街地)」を前提とした月ごとの「雪の傾向」は下記の通りです。
月 | 雪の傾向 |
---|---|
12月 | ・降ることも含めまれ ・舞うケースも含め一度もない年あり ・積雪は極めてまれ ・積雪記録は平成以降では2005年12月22日の4cmが目立つのみで、それ以外は1996年、1995年、1991年にうっすら積もったのみ(2023年現在) |
1月 | ・一度も積雪しない年が多い ・強い冬型の気圧配置の際などに少し雪が舞う程度は見られる ・平成以降5cm以上の積雪記録なし(2023年現在) |
2月 | ・一度も積雪しない年が多い ・強い冬型の気圧配置の際などに少し雪が舞う程度は見られる ・「南岸低気圧」による影響は海沿いでは特に受けにくい ・1990年を最後に5cm以上の積雪記録なし(2023年現在) |
3月 | ・降ることも含めかなりまれ(ほぼ降らない) ・積雪記録は平成以降では1991年、2001年にほんのごくうっすら積もった記録があるのみ(2023年現在) |
神戸市「地域ごとの雪事情」
神戸市の「雪事情」について、市内の地域ごとに見た大まかな傾向は下記の通りです。なお、あくまでも概要であり、個々の気象状況によっては下記の内容に当てはまらない場合もあります。
都心など海沿いの市街地 | ・雪は先述の通り非常に少ない |
西神ニュータウン・学園都市方面などやや内陸側の市街地 | ・雪となる頻度はかなり少ない ・雪が全く積もらない年も一般的 ・都心よりは積雪頻度がわずかに多くても、非常に少ない中での比較に過ぎず雪は珍しい存在 |
北区の市街地 | ・雪が多い地域ではないものの、都心と比べると雪の頻度は多い ・路面凍結しやすいため、道路の状況などは特に注意が必要 ・南岸低気圧通過時に、都心は雨で北区は雪の場合あり ・寒波の際などには国道428号線「平野~水呑」の直線距離4km未満の区間を行き来するだけで、風景が一変する場合あり ・特に筑紫が丘や有馬温泉周辺などは気温が低くなりやすい |
六甲山周辺など山地 | ・標高が高いほど雪の頻度がやや多い ・都心では気温5℃の雨でも、六甲山上ではしっかり積雪した事例も ・一度積もった雪が高い場所では残りやすい(凍結しやすい)一方、六甲山上でも必ずしも根雪が目立つ環境ではない ・六甲山上であっても極端な量の積雪にはなりにくい(20cm以上など) ・暖冬の年は、六甲山上でもほぼ雪が積もらない場合あり ・標高が低い山であれば、雪の頻度は余り増えない |
神戸市の雪事情「ここがポイント」
沿岸部の雪は全国屈指の少なさ
神戸市は沿岸部(都心部などの市街地)では、近年積雪が一度もない年が多く、積雪の頻度・量という意味で見た場合、関西では大阪市などと同様、全国でも屈指の雪の少なさとなっています。
首都圏のような「南岸低気圧」によるまとまった雪は少なく、福岡・広島と比べ「冬型の気圧配置」で積雪となるケースも少ないなど、沿岸部で「雪が降りやすくなる」パターンがほぼないと言えるため、ごくまれな特別なケースを除き、雪が積もらない環境となっています。
海と山の影響
神戸市は、海と山がすぐそばにあり、平地が少ないイメージがある通り、その気候も海と山、両方の影響が大きいものです。
雪に関しては、市内で特段目立って雪が多い場所はありません。
但し、海からの温暖な気流などの影響で気温が高い沿岸部では、ごくまれな大寒波などを除き積雪が見られない一方、山に囲まれ標高も高い北区一帯は、海からの温暖な気流の影響が少なく冷え込みが厳しい特徴を持ち、都心部と比べると雪の頻度はやや多くなっており、同じ市内でも地域差は大きく、風景が一変することも時には見られます。
とりわけ「六甲山上」は言うまでもない環境で、気温差がかなり大きくなるため、地上が雨でも雪となるケースが見られやすいと言えます。
どういった場合に都心で雪が積もる?
神戸の都心部・沿岸部でごくまれな積雪となるケースは、「強い冬型の気圧配置」となった際に、日本海側から入り込む雪雲の帯・塊「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」が瀬戸内側まで消えずに入り込む場合や、変則的な形の冬型の気圧配置(極端なくらい北寄りから雲が入る場合)といった特殊なケースが目立ちます。
雲の入り方・雲の発生状況が重要なため、必ずしも寒気が強ければすなわち雪となる訳ではありません。
首都圏で雪をもたらしやすい存在である「南岸低気圧」については、平成以降神戸都心周辺に影響を及ぼすケースが減っており、21世紀以降(2023年現在)は「南岸低気圧による1cm以上の積雪」が気象台では観測されていません(北区など標高が高い場所では時にしっかり積雪するケースあり)。