兵庫県内にある大きな島であり、玉ねぎその他で全国的な知名度も高い「淡路島」。
こちらでは、淡路島における「雪」という余りなじみのないテーマについて、降る・積もる基本的な傾向などを解説していきます。
情報は全て2022年時点のものであり、その後状況が変化している場合があります。
気象庁による積雪の観測は島内で実施されず
気象庁は、淡路島の各地で降水量などの観測を実施していますが、2023年現在「降雪量・積雪の深さ」に関する観測は実施されていません。
かつては「洲本」で積雪などの観測がありましたが、21世紀に入ってすぐに観測終了となっており、以降の記録がありません。観測されていた時代の記録を見ると、うっすら程度の積雪を観測することは多くの年で見られた一方、5cm以上などまとまった積雪は昭和にさかのぼってもそれほど多くはなく、雪は少なめの環境と言えます。
周辺地域で現在気象庁が積雪を観測している場所は、神戸・和歌山・徳島の各気象台ですが、いずれもそれなりに遠い上淡路島とは環境が異なり、雪雲の入り方なども一致しませんので、それらのデータから島内の状況を推定することは出来ません。
【洲本市街地の場合】月ごとの雪の傾向
以下の傾向は、淡路島の島内で最も規模が大きな「洲本市」の市街地を前提としたものです。島内はどこであっても雪は少な目と言えますが、降るタイミングその他が一致するとは限りませんので、その点は注意が必要です。
12月
・雪が降るケース自体が少なく、「強い冬型の気圧配置」の際に降るケースなど一部に限られます。
・積雪は一度も見られない年が大半で、積もるケースは極めてまれな現象です。
1月
・積雪が一度もない年も一般的です。
・強い冬型の気圧配置の際などに積雪するケース(主にうっすら程度)もあり、その頻度は神戸よりは多いですが、毎年見られる訳ではありません。
2月
・1月と大きな傾向の違いはなく、一度も積雪しない年も一般的です。
・2月に首都圏などに影響を及ぼしやすい「南岸低気圧」による積雪は非常にまれですが、洲本でも2011年、2014年などにある程度の積雪となった事例があります。
3月
・雪は降ること自体が非常にまれです。
・平成以降、3月に積雪したケースは2006年の事例などごくわずかに留まります。
【淡路島】地域による違いはある?
淡路島は、雪は全域で「少ない」傾向で、たとえ山地であっても特段雪がよく降る・積もる環境ではない(平地よりは頻度は増える程度)と言えます。一冬の間に一度も雪が積もらないようなことも十分にありうる環境です。
そのため、目立つような地域差があるとは言えません。
もっとも、ごくまれな「雪」となる場合、冬型の気圧配置のケースでも、南岸低気圧によるケースであっても、島内全域でまんべんなく降るというケースは少なく、例えば洲本・福良で積雪していても、郡家・岩屋では雪がないといった事例もあります。
とりわけ冬型の気圧配置によるまれな雪は、雪雲がピンポイントで掛かることがあり、どちらかと言えばまれな積雪は洲本方面で見られる傾向があるため、全く積もっていない場所と雪化粧している場所に分かれやすいと言えます。
【淡路島】雪が降る要因・パターン
【淡路島】その他知っておきたいポイント
神戸より洲本の雪が少し多い?
淡路島は全域で雪がとても少ない地域ですが、島内でも洲本など南側の地域については、同じ兵庫県内でも神戸市の海沿いと比べると「とても少ない中」での積雪頻度はまだ多いと言えます。
要因としては、播磨灘周辺で海の影響を受けて発生する雲が、淡路島に掛かりやすい一方神戸市内には掛かりにくいことが要因で、淡路島内でも神戸に近い岩屋などは、洲本と比べると雪の頻度はより少ないと言えます。
大阪と比べると?
神戸のみならず、洲本と大阪と比べても「雪の傾向」は同様にわずかに洲本の方が雪の頻度が多いと言えます。大阪は5年単位でまともに(1cm以上の)積雪がないようなこともある地域ですが、洲本では積雪がない年も一般的ですが、大阪ほどの雪の少なさが続くようなことは基本的にありません。
「淡路島へ行く」というと、より温暖な地域へ行くイメージがあるかもしれませんが、どちらも温暖ではあっても、大阪より洲本が更に温暖な地域とは言えません。
播磨灘で雲が発生するケースとは?
強い冬型の気圧配置の際には、日本海だけではなく瀬戸内海一帯・播磨灘でも雲が発生する場合があり、これが洲本など淡路島内に「まれな雪」をもたらすことがあります。
雪雲は「冬型の気圧配置」であれば必ず発生するというものではなく、寒気が非常に強い場合で、日本海で雲の帯や渦を作る「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」の影響を受けるケース・小さな気圧の谷が通過するケースなど一部に限られます。
まれな現象である上予想は必ずしも簡単ではなく、実際に降ってからでないとわからない側面があります。