広島県第2の都市であり、岡山市~広島市の中間点に位置する「福山市」。
こちらでは、福山市における「雪」というテーマについて、どのくらい雪が降る・積もる地域なのかという観点などから「過去の一般的な傾向」に基づいて解説していきます。
情報は全て2023年時点のものであり、その後状況が変化している場合があります。
気象庁による積雪の観測は実施されず
福山市では、気象庁により平成の半ばまで降雪量・積雪深に関する気象観測が実施されてきましたが、2023年現在は実施されていません。
過去のデータを見ると、まとまった積雪の記録は限定されており、昭和の終わりまでは毎年1cm以上の積雪記録があるものの、平成以降は観測終了までの期間、1cm以上の積雪が見られない年も生じるようになっていました。
なお、周辺地域で最も近い積雪観測地点は岡山地方気象台が該当します。いずれも雪が非常に少ない点は共通していますが、距離は50km以上離れているため、必ずしも同一の状況として参考にすることは出来ません。
【福山市】月ごとの雪の傾向(都心の場合)
以下の傾向は、福山市街地における一般的傾向です。市内で雪が多い場所は存在しませんが、市北部の山地では市街地よりは雪が降る機会が多いため、必ずしも全域に当てはまる傾向とは限らない点に注意が必要です。
12月
・雪が積もらない年が大半を占めます。
・雪が降ることもまれで、強い冬型の気圧配置の際など一部に限られます。
1月
・積雪が一度もない年も一般的です。
・一部の年では積雪となるケースもありますが、5cm以上積もるようなケースは極めてまれです。
・「冬型の気圧配置」で積もる場合は広島市街地の積雪を大幅に下回ることが多くなっています。
2月
・1月と大きな傾向の違いはありません。
・過去には2月を中心に本州に影響を及ぼしやすい「南岸低気圧」の影響で雪が積もったケースもありますが、頻度としては非常に少ないものです。
3月
・雪の機会はほとんどない時期です。
・平成以降3月にしっかり積雪した事例はほぼありません。
【福山市】地域による違いはある?
福山市内には、特段「雪が降りやすい・積もりやすい」場所はありません。
市内の全域が日本海側からの雲が入りづらい環境にあり、広島市内と比べてもと瀬戸内側・太平洋側の気候的な特徴がより強く見られます。
但し、一般論として見れば、標高が高い山地や内陸側では「市街地より」は雪の機会が多いと言えます。とりわけ神石高原町と隣接する地域を中心に気温も大幅に低くなりやすく、九州・四国の南岸を低気圧が通るケース(南岸低気圧)では、市街地で雨、山地で積雪という大きな違いが生じることもあります(頻度はそれほど多くありません)。
【福山市】雪が降る要因・パターン
【福山市】その他知っておきたいポイント
どうして広島市より雪が少ない?
福山市で降る雪が広島市より少ない理由は、「日本海から遠い」ことによります。広島市は瀬戸内側ながら島根県日本海沿岸からの距離が都心まで60km台程度とそれほど遠くないため、「冬型の気圧配置」の際に雪雲が郊外を中心にしっかり流れ込む場合がありますが、福山市街地からは日本海沿岸まで100km以上あり、雲は途中で消えてしまうことがほとんどです。
南岸低気圧によるごくまれな大雪
広島市で大雪となるケースが「冬型の気圧配置」が多いのに対し、福山市は冬型の気圧配置の影響を受けにくいこともあり、ごくまれな大雪は「南岸低気圧」によるケースが目立ちます。
21世紀以降では2008年や2014年に(2023年現在)市街地周辺でもある程度まとまった積雪となった事例があるなど、全く雪の事例がない訳ではありません。
なお、南岸低気圧通過時は郊外の山沿いと市街地など海に近い地域で雪の状況が大きく異なる場合があります。
各地と比べると?
福山市の「雪」は、周辺では岡山市・倉敷市などと余り変わらない状況で非常に少ない傾向を持ちます。また、東京と比較すると雪の降る量などは少ないと言えます。
福山より更に雪が少ない場所は、県庁所在地で見ると大阪市・神戸市・松山市・大分市・宮崎市・静岡市など一部に限られます。
鞆の浦で雪景色は見られる?
福山市で最も知名度の高い観光地の一つ「鞆の浦」は、市街地と同様積雪の機会は非常に少ない環境です。
年によってはうっすら程度など、積雪するケースもゼロではありませんが、その頻度が非常に少ない以上「雪景色となる機会」を「狙って」訪れるようなことはほぼ不可能と言えます。基本的には偶然ごくまれな雪景色を見ることができれば「幸運」といった状況です。