ICOCAで移動できる距離には制限がある?

交通・地理

JR西日本の交通系ICカード「ICOCA」は、京阪神エリアのみならず岡山・広島エリアなど広い範囲でご利用頂ける便利な存在です。一方で、ICOCAを利用する上ではチャージ額、利用範囲、利用可能な距離など一定のルールもありますので、JR西日本の路線であればどこでも、どれだけ長い距離でも乗ることが出来る訳ではありません。

こちらでは、ICOCAを利用する上での「距離」に関するルール(制度)について、基本的な情報をまとめて解説していきます。

情報は2022年時点のものであり、その後状況が変化している場合がありますのでご注意下さい。。

基本ルールとしては「200km未満」

ICOCAで移動する場合の「距離」に関する基本的ルールとしては、通常「200km未満」の区間でICOCA使って乗車できる。というルールがあります。

但し、これらは下記で解説する通り例外となるケースが多いため、必ず200km未満しか使えない。という訳ではありません。

大阪近郊区間は200km以上も可

200km以上の区間であっても、大阪近郊区間と呼ばれるエリアの範囲内であれば、問題なくICOCAがご利用頂けます。

【姫路駅~長浜駅間を「新快速電車」で移動】
・この場合、乗車距離は206.1kmとなり200kmを超えますが、「大阪近郊区間」に含まれるエリアのため、ICOCAがご利用頂けます。

上記の大阪近郊区間のうち、加古川線の西脇市〜谷川間の中間駅についてはICOCAが利用できませんのでご注意下さい。

大阪近郊区間は、京阪神エリア周辺の広い範囲を含んでいます。なお、実際に200kmを超えるのは上記の例のように、兵庫県の西部~滋賀県の北部などごく一部に限られます。

一部特急停車駅利用の場合は200km以上も可

大阪近郊区間以外の「例外」としては、大阪近郊区間内の駅〜特急サンダーバード(金沢より北を除く)・しらさぎ・くろしお・こうのとり・きのさき・はしだて・まいづる・はまかぜの停車駅間の利用、また特急やくもの停車駅間を結ぶ利用であれば、200km以上であってもICOCAがご利用頂けます。

【新大阪駅~新宮駅間を「特急くろしお」で移動】
・この場合、乗車距離は276.8kmとなり200kmを超えますが、新大阪駅は大阪近郊区間内の駅、いずれの駅もくろしお号の停車駅にあたるため、ICOCAがご利用頂けます。

なお、特急やくもについては、近畿エリア(大阪近郊区間)の外にあるため、大阪近郊区間内の要件では利用できません。すなわち、「岡山〜米子」のように特急やくもの停車駅同士では利用できますが、例えば特急やくもの停車駅~大阪近郊区間内の各駅・近畿エリアの特急の停車駅(例:松江~大阪・和歌山)を移動するような場合は、ICOCAは使えません。

使えないケースはどんな場合?

ICOCAが200kmの距離制限で使えないケースは、上記の例外を除くようなケースとなるため、主に「地方」をまたいで利用する場合などになります。

ICOCAが使えない例(1)

【京都駅~岡山駅間を「普通電車」で移動】
・この場合、乗車距離は216.1kmとなり、200kmを超えるためICOCAは使えません。岡山駅のある中国エリアは、大阪近郊区間の範囲内ではありません。

ICOCAが使えない例(2)

【福山駅~出雲市駅間を「普通+特急やくも」で移動】
・この場合、乗車距離は247.2kmとなり、200kmを超えるためICOCAは使えません。福山駅は特急やくもの停車駅ではなく、中国エリアでは200km以上利用時の例外(大阪近郊区間のような制度)はないため、ICOCAは使えません。なお、これが「倉敷〜出雲市」間の場合、いずれも特急やくもの停車駅のため、ICOCAが利用可能です。

ICOCA利用エリア外は距離に関わらず利用不可

ICOCAについては、2023年現在JR西日本の路線では一部を除く山陰エリア全域・北近畿エリアの特急が停車しない駅・山口県内の下関周辺など、「ICOCAエリア」となっていない場所が残っています。

これらのエリアを含む移動をする場合には、ICOCAは距離の長さに関わらず一切利用が出来ません。

例えばICOCAエリアに含まれる米子駅から列車に乗車しても、ICOCAエリアでない倉吉駅・鳥取駅で降りる場合ICOCAが使えませんので、米子駅から「きっぷ」でご乗車頂く必要があります。

ICOCA以外の全国共通の交通系ICカードでも同じルール

ICOCAの「距離」に関するルールは、ICOCAと相互利用が可能な全国共通の交通系ICカード乗車券(Pitapa・Suica・PASMO・TOICA・SUGOCA・manaka・nimoca・Kitaca・はやかけん)でICOCAエリアの電車にご乗車になる場合も、基本的に制度・ルールに違いはありません。

但し、他のICカード乗車券のエリア~ICOCAエリアを「またいだ利用」は出来ません。例えば、JR東海(TOICAエリア)の名古屋駅で乗車し、JR西日本の彦根駅(ICOCAエリア)で降車する場合、距離は200km未満ですが、エリアが違うため「きっぷ」しか使えません。その点は十分ご注意下さい。

ポイント・まとめ

ICOCAで乗る時の「距離制限」はある?

基本的に200km以上の区間はICOCAはご利用頂けません。

但し、大阪近郊区間の駅同士を移動する場合や、大阪近郊区間内の駅〜くろしおなど一部特急停車駅間、中国エリアの特急やくも号の停車駅間を結ぶルートで移動する場合は例外として200km以上でも利用可能です。

なお、一部ローカル線を中心にICOCAが使えないエリアもありますので、その場合は距離に関わらずご利用頂けません。

Suicaなどの他社のICカードを使う場合はどうなる?

全国共通の交通系ICカード乗車券の場合、距離に関するルールは同じです。但し、TOICAエリア~ICOCAエリアなど、他カードのエリアを「またいだ」ICカードの利用は距離が200km未満でも出来ません。