宮城県南部、蔵王連峰の東側に位置し、複数の温泉地やスノーリゾートがあることでも知られる「白石市」及び「蔵王町」。
こちらでは、白石市・蔵王町における「雪事情(雪の降る・積もる傾向など】」を解説していきます。なお、内容は基本的に過去の状況などに基づくものです。
データから見る【白石アメダス】
観測地点名 | 平年年間降雪量 (cm) | 平年年間最深積雪 (cm) | 過去最大の積雪深 (cm) |
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白石 | 109 | 19 | 57(2014/2/15) |
【参考】東京 | 8 | 6 | 46(1883/2/8) |
【参考】仙台 | 59 | 16 | 41(1936/2/9) |
気象庁の平年データ・観測データによる
「白石」年間最深積雪の変化(推移)
白石市・蔵王町一帯では気象庁による雪の観測は、白石市の市街地に近い位置にある「白石アメダス(白石市福岡長袋字湯殿山)」のみで行われています。
白石アメダスで観測されたデータを見ると、東京よりはかなり雪が多く、雪が積もること自体は珍しくない状況ですが、日本海側やより山間部の地域と比べると雪は少なく、目立って雪が積もりやすい地域という訳ではありません。
後述する通り、白石市・蔵王町一帯は雪の量に地域差が極めて大きく、白石アメダスの積雪量を、地域全体の積雪状況の参考にすることは望ましくありません。
【白石市・蔵王町】月ごとの雪の傾向(白石市街地の場合)
以下の傾向は、特記がある場合を除いては雪がそれほど多くはない白石市街地周辺を基準としたものです。蔵王連峰に近い地域などでは、非常に雪が多くなりやすい点に注意が必要です。
11月
・雪が降ることはほぼありません。
・記録に残る1cm以上の積雪事例は1回のみで、極めてイレギュラーな現象となっています。
・蔵王連峰周辺では11月中から積雪が増える場合があり、状況は大きく異なります。
12月
・時折雪が降るような時期に入りますが、晴れる日が非常に多くなっています。
・積雪は多くても数cm程度の場合が多く、一度も積雪しない年も見られます。
・低気圧の影響を受けにくく、まとまった雪となる機会は限られます。
・蔵王連峰周辺では積雪が一気に増え、場所によっては1m以上の積雪となる場合があります。
1月
・12月と比べ雪が降る頻度が増える時期ですが、晴れる日も多い時期です。
・複数回雪が積もる場合が多く、年によっては最大10~20cm以上積もることもあります。
・太平洋を通る低気圧などの影響で、まれにまとまった積雪となる場合があります。
・根雪(1か月以上積雪が続く)となることは基本的にありません。
・蔵王連峰周辺はかなりの豪雪となりやすく、市街地とは全く状況が異なります。
2月
・1月と同様に雪は時折降る場合がありますが、晴れる日が多い時期です。
・複数回雪が積もる場合が多く、年によっては最大10~20cm以上積もることもあります。
・太平洋を通る低気圧などの影響で、まれにまとまった積雪となる場合があります。
・根雪(1か月以上積雪が続く)となることは基本的にありません。
・蔵王連峰周辺はかなりの豪雪となりやすく、市街地とは全く状況が異なります。
3月
・雪が降る頻度は減る時期です。
・積雪は年ごとの差がかなり大きく、全く積もらない年もある一方、まとまった雪の機会がある年んもまれに見られるなど様々です。
・低気圧の影響による雪の割合が増える時期です。
・蔵王連峰周辺は積雪が極めて多く、市街地とは全く状況が異なります。
4月
・雪が降る機会はめったにありません。
・低気圧の影響などで、ごくまれに積雪する場合があります。
・蔵王連峰周辺ではメートル単位の残雪があり、道路除雪が進められる時期となっています。
【白石市・蔵王町】地域ごとの雪の傾向
市内の各地域 | 大まかな雪の傾向 |
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雪が多い場所 | ・蔵王連峰周辺の全域 ・「冬型の気圧配置」で雪がしっかり降りやすい ・標高が特に高い場所では積雪2m以上などもありうる環境 ・多くの地域で「根雪」が基本、エコーライン周辺などは4月以降も雪が残る |
雪がそれなりに降る場所 | ・遠刈田温泉周辺、白石市小原地区など ・「冬型の気圧配置」による雪が比較的降りやすい ・1m前後などの極端な積雪は基本ない ・市街地と比べると雪が積もる頻度、量は明らかに多い地域 |
雪が比較的少ない場所 | ・白石市街地、蔵王町中心部一帯など蔵王連峰周辺から離れた「東側」のエリア ・大河原町、角田市との境界に近い地域ほど雪がより少ない傾向 ・「比較的少ない」は東北基準の少なさ ・概ね雪の量は仙台とは同水準であり「全く積もらない」という意味ではない |
白石市・蔵王町一帯は、「西側」ほど雪が多く、「東側」ほど雪が少ない傾向がはっきりしています。
西側は蔵王連峰一帯にあたり、基本的に西へ行くほど標高が高く気温が一気に下がりやすく、かつ日本海側からの雪雲が入り込みやすいため、同じ自治体でも東西でくっきり雪の状況に違いが生じることが特徴です。
なお、先述の通り「雪が少な目」の場所であっても、それは「東北の雪が多い地域との比較」で見た場合のものであり、首都圏や仙台と比べても白石市街地などの雪はかなり多くなっています。
【白石市・蔵王町】雪が降る要因・パターン
【白石市・蔵王町の雪】その他知っておきたいポイント
雪の情報・道路状況について知りたい場合は?
気象庁が観測する「白石アメダス」の積雪深以外の雪に関するデータを確認したい場合、 宮城県道路管理GISの「積雪深情報」 で蔵王町の観測地点の情報(遠刈田・倉石岳)のデータが公開されています。また、同サイト内では道路規制情報もご確認頂けます。
仙台と比べると?【市街地】
白石市・蔵王町の中心部(市街地)一帯の雪を、宮城県の県都「仙台市」の中心部(都心)と比較をした場合、平均すると白石・蔵王側がやや雪が多いと言え、特に低気圧が通過する際の雪ではその傾向が目立ちますが、状況はケースバイケースであり、時には仙台の方が多く積もるような事例も見られます。
スタッドレスタイヤなどは必須
白石市・蔵王町一帯を車で運転する場合、雪が降る可能性のある時期はスタッドレスタイヤなどの利用が必須です。市街地周辺ではそれほど雪が多くないとは言え、雪が全く積もらない訳ではなく、わずかに西側へ行くだけで積雪が急増しやすい特徴もあるため、ノーマルタイヤの利用は危険が伴うと言えます。
蔵王連峰周辺で雪が多くなるメカニズム
蔵王連峰周辺では、標高が特に高い場所では積雪が2~3m以上に達するケースもあり、宮城県内では特に雪が多い場所の一つとなっています。
雪が多くなる要因としては、日本海側から山形県内の内陸部まで入り込んできた雪雲が、蔵王連峰の斜面にぶつかる影響で多くの雪を降らせることが挙げられ、蔵王連峰で多くの雪が降ってしまう分、風下側の地域は山から吹き下ろす「乾いた風」が吹きやすい特徴も持っています。
蔵王エコーラインの「雪」
蔵王町から山形県側を結び、蔵王連峰を東西に横断する観光道路として知られる「蔵王エコーライン」。こちらは、毎年4月下旬~11月初旬頃のみ通行が可能であり、それ以外の時期は積雪に伴い冬季閉鎖となります。積雪量は吹き溜まりなどでは5m以上になる場合もあり、3月以降行われる除雪作業はまだ早い春の訪れを告げる季節の風物詩の一つとなっています。