JR線「入場券」の基礎知識【料金・制限時間など】

交通・地理

JR線の電車に「乗る」のではなく、JR線の駅構内に「入る」のみのケースでは、列車のきっぷではなく「入場券」が必要です。

こちらでは、JR各社の「入場券」のルール・料金など「基礎知識」をなるべくシンプルにまとめて解説していきます。

入場券はどういったケースで必要?

きっぷ・ICカードで電車に乗ることはあっても、入場券は買ったことがない。という方も多いかもしれません。JR線の「入場券」は、例えば以下のようなケースで利用することになります。

帰省その他での「お見送り」

ご家族・親族・ご友人などが列車でお帰りになる場合、駅の中まで入って「列車の発車」までお見送りをされることがあるかもしれません。こういったケースでは「列車に乗らず駅へ入る」ケースになりますので、基本的に入場券の購入が必要です。

駅ナカ施設のご利用の場合

近年は駅構内にも各種店舗などが増えており、場合によっては駅構内に入ってそれらのお店などを利用したい場合があるかもしれません。こういった場合も、「列車へ乗らず駅へ入る」ケースになりますので、基本的に入場券の購入が必要です。

列車に乗らないから無料である。と考える方もおられるかと思いますが、駅構内というのは外部とは区別されたエリアであり、無料であると乗車以外の目的でも無関係な人が次々に入り混乱をきたすことも考えられます。

様々な施設に「入場料」が必要であるのと同様、駅構内への立ち入りにも「入場券」の購入を必要とすることで、ある程度の秩序を保つ役割を果たしていると考えられます。

入場券の料金【JR各社】

JR各社の「入場券」の料金(発売額)は下記の通りです。会社・駅・区間により若干料金は異なりますが、いずれも初乗り運賃に準ずる安い料金となっています。

大人料金子ども料金
東京電車特定区間内150円70円
大阪電車特定区間内140円70円
JR東海全線
JR東日本(東京特定区間以外)
JR西日本(大阪特定区間以外)
博多駅・小倉駅
150円70円
JR九州全線170円80円
JR四国全線190円90円
JR北海道全線200円100円

なお、入場券の料金は原則この1種類であり、例えば「回数券」や「割引きっぷ」のような仕組みは入場券にはありません。但し、「定期入場券」と呼ばれる毎日のように入場される方向けの特殊な定期券が発売されている駅があります。

入場券はどこで買うの?

JR線の入場券は、基本的にきっぷと同様「駅の自動券売機」でお買い求め下さい。

駅への入り方もきっぷと同じで、基本的に改札口を通って出入りします。駅から出る際にはきっぷが回収されるという点も変わりありません。なお、改札口がない駅の場合は駅員がいる改札がある場合、そこで入場券を見せて出入りしてください。

入場券については、原則としてJR線の全ての駅でルール上は適用されるものです。無人駅であっても、入場券を発売する券売機がある駅であれば入場券をお買い求め頂き、駅構内へ立ち入る形になり、都市部の大きな駅のみだけではなく、地方ローカル線であっても同じ制度上の扱いとなっています。

一方で、余り利用されるケースはないものの、駅員の配置・改札口・入場券を発売する券売機などが一切ないローカル線の無人駅では事実上入場券を購入することが出来ません。また、営業規則の解釈などにより実質的に列車に乗る場合以外は立ち入りが不可となることも考えられるため、特殊なケース(記念入場券)などを除き、必ずしも全国津々浦々、全ての駅に「入場」出来るということにはなりません。

ICカードは「入場券」の代わりになる?

入場券については、ICカード乗車券(Suica・ICOCAその他)でタッチすることで、その代わりになるのは2022年現在「JR東日本」のSuicaエリア内にある駅(一部除く)に限られます。

大阪・名古屋エリアをはじめ、JR西日本・JR東海など他社の区間では駅の規模を問わずICカード乗車券は入場券代わりにはなりません。駅の券売機で紙の入場券をお買い求め下さい。

JR東日本のSuicaエリアで実施されている入場券サービス「タッチでエキナカ」の概要は下記の通りです。

時間同じ駅で2時間以内に入場・出場(出入り)した場合
料金入場券の料金と同額をICカードの残額などから差し引き
使えない駅Suicaエリア以外の全ての駅
簡易Suica改札機のみを設置している駅
新幹線のみ停車する駅・新幹線の改札口(乗り換え改札含む)
私鉄など他社との連絡改札口
他社が管理している駅 など
禁止事項電車の乗車は一切不可(同じ駅に戻る場合も含む)

制限時間あり(一部除く)

JR線の入場券は、JR北海道・JR東日本・JR東海・JR西日本の全駅・JR九州の博多駅及び小倉駅で発売「2時間」の入場時間制限があります。

JR九州の博多・小倉以外の全駅、JR四国の全駅では時間制限がありません。

時間制限は入場からではなく「発売から」2時間である点にご注意下さい。

入場券の時間が超過した場合、窓口・改札などで説明の上追加料金を加算して払うする形となりますが、一般論として鉄道ファンの方が写真を撮影されるようなケースを除き、通常のお見送りなどであれば、駅構内で長時間滞在することは余り多くはないため、そのようなケースになることはまれと言えるでしょう。

その他補足事項

新幹線と在来線の両方が運行されている駅では、乗り換え改札口を通る場合1枚の入場券で両方の駅構内へ立ち入ることが可能です。
例えば、東京駅でJR東日本の在来線・JR東海の東海道新幹線ホーム、京都駅でJR西日本の在来線・JR東海の東海道新幹線ホームの両方へ1枚の入場券でアクセス可能です。

入場券は、時間内であっても「出たり入ったり」を繰り返すことは出来ません。例えば、一度入場してからお腹が空いたので駅の外の飲食店に行って、もう一度入場するようなことは出来ず、その場合2回入場券を買うことになります。

入場券をお持ちの場合で、予定が変わり電車に乗ることになった場合は、基本的に一度駅を出て再度きっぷ・ICカード(入場券ではない)でご利用頂くのが無難です。入場券を持ったまま電車に乗ると状況を説明した上で追加料金を払うことが必要となりますが、その状況(運賃を払ってない)を説明する上でトラブルが生じる可能性も否定できません。

入場券というと、しばしば「記念入場券」としてJR各社が特定の駅・路線の入場券を発売する場合があります。これらは主に「鉄道ファン」向けのものであり、一応利用は可能ですが、通常駅に入場するためではなくコレクション目的で購入されるものとなっています。

JR線「入場券」の基礎知識【まとめ】

JR線の入場券は、列車には乗らず駅構内へ立ち入る際に購入が必要な券です。基本的には各種の「お見送り」や「エキナカ店舗」などの利用に用いられています。

料金は、各社ごとに140~200円(大人)とやや異なりますが、初乗り運賃に準ずるような安い料金となっています。

入場券は、基本的にはきっぷと同様駅の自動券売機でお買い求め頂き、改札口を通してご利用下さい。なお、入場券は都市部の駅のみならず、入場券を売る券売機・窓口などがあればローカル線の駅でも発売されています。

JR東日本のSuicaエリアについては、ICカード乗車券が入場券代わりになる「タッチでエキナカ」が実施されています(一部駅・改札では利用不可)。JR西日本・JR東海など他社ではICカード乗車券は入場券代わりに利用出来ません。

利用時間は、購入~出場まで「2時間」という時間制限JR北海道・東日本・東海・西日本全線、JR九州博多・小倉駅で設定されています。入場からではなくきっぷを買った瞬間から2時間ですのでご注意下さい。