京都市営地下鉄の運賃は高い?他都市の地下鉄の運賃と比較する

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「京都市交通局」により市バスに加えて2路線の地下鉄(京都市営地下鉄)も運行されている京都のまち。

京都の地下鉄については、その運賃は割高感のあるイメージが持たれている傾向があります。こちらの記事では、京都市営地下鉄の運賃についての「基礎知識」他都市の地下鉄運賃との比較などから解説していきます。

京都市営地下鉄の運賃表

京都市営地下鉄の運賃額は、ご乗車になる距離に応じて下記の通りです。

区数・キロ程大人運賃子ども運賃主な区間(京都駅からの場合)
【1区】初乗り(3kmまで)220円110円京都駅~五条駅・四条駅・烏丸御池駅
京都駅~九条駅・十条駅・くいな橋駅
【2区】3~7km260円130円京都駅~丸太町駅・今出川駅・鞍馬口駅・北大路駅
京都駅~竹田駅
京都駅~京都市役所前駅・東山駅・蹴上駅
京都駅~二条城前駅・二条駅・西大路御池駅・太秦天神川駅
【3区】7~11km290円150円京都駅~北山駅・松ヶ崎駅・国際会館駅
京都駅~御陵駅・山科駅・東野駅
【4区】11~15km330円170円京都駅~椥辻駅・小野駅・醍醐駅
【5区】15kmを上回る区間360円180円京都駅~石田駅・六地蔵駅

京都市営地下鉄は「高い」イメージがあるかもしれませんが、京都駅からの場合山科区の一部地域を除き、大半の駅へ300円以内でのアクセスが可能です。

1日券などお得なきっぷをご利用の場合を除き、運賃は「ICカード乗車券(全国の主な交通系ICカードが利用可能)」または現金で「きっぷ」を買ってお支払い頂く形となります。

主な割引運賃・制度・お得なきっぷは以下の通りです。

割引額・価格
子ども(6~12歳)半額(10円未満は切り上げ)
幼児(1〜6歳未満)無料(2人まで・保護者同伴時は人数問わず)
乳児(1歳未満)無料
身体障害者・知的障害者半額(10円未満は切り上げ)
京都市敬老・福祉乗車証利用者無料(敬老乗車証は交付時の負担金などあり)
お得な乗車券地下鉄1日券:800円
地下鉄・バス1日券:1,100円
京都地下鉄・嵐電1dayチケット:1,300円
地下鉄回数券 など

他都市と比較した場合は?本当に運賃は高い?

距離別の運賃比較(各地下鉄事業者)

少しわかりにくいかもしれませんが、日本国内を走る全ての地下鉄事業者の運賃(大人)を見て見ると、下記の通りとなります。

乗車距離京都大阪神戸名古屋福岡東京
(メトロ)
東京
(都営)
仙台札幌
1km220円190円210円210円210円180円180円210円210円
3km220円190円210円210円210円180円180円210円210円
5km260円240円240円240円260円180円220円250円250円
10km290円290円280円270円300円210円280円340円290円
15km330円340円350円310円340円260円280円該当なし330円
20km360円390円410円340円380円300円330円該当なし380円
2023年4月1日時点の運賃
該当なし=当該距離を利用する区間がない場合
黄色下線=当該距離で最も高い運賃額

◆京都市営地下鉄の運賃

キロ程大人運賃
初乗り(3kmまで)220円
3~7km260円
7~11km290円
11~15km330円
15km~360円

◆大阪メトロの運賃

キロ程大人運賃
初乗り(3kmまで)190円
3~7km240円
7~13km290円
13~19km340円
19km~390円

◆神戸市営地下鉄の運賃

キロ程大人運賃
初乗り(3kmまで)210円
3~7km240円
7~10km280円
10~13km310円
13~16km350円
16~19km380円
19~23km410円
23~27km440円
27km~470円

◆名古屋市営地下鉄の運賃

キロ程大人運賃
初乗り(3kmまで)210円
3~7km240円
7~11km270円
11~15km310円
15km~340円

◆福岡市営地下鉄の運賃

キロ程大人運賃
初乗り(3kmまで)210円
3~7km260円
7~11km300円
11~15km340円
15~19km360円
19km~380円

◆東京メトロの運賃

キロ程大人運賃
初乗り(6kmまで)180円
6~11km210円
11~19km260円
19~27km300円
27km~330円

◆都営地下鉄の運賃

キロ程大人運賃
初乗り(4kmまで)180円
4~9km220円
9~15km280円
15~21km330円
21~27km380円
27km~430円

◆仙台市営地下鉄の運賃

キロ程大人運賃
初乗り(3kmまで)210円
3~6km250円
6~9km310円
9~12km340円
12km~370円

◆札幌市営地下鉄の運賃

キロ程大人運賃
初乗り(3kmまで)210円
3~7km250円
7~11km290円
11~15km330円
15~19km360円
19km~380円

黄色で示した部分が、その距離で最も運賃額が高いケースを示していますが、京都市営地下鉄は1~5kmで最も高い一方、10km以上などの区間では必ずしも最も高い運賃ではないことが分かります。

初乗り運賃が日本一高い地下鉄

京都市営地下鉄は「初乗り運賃が日本一高い地下鉄」です。220円の初乗り運賃は大阪より30円、東京よりは40円高くなっており、バスの運賃に近いような料金設定となっています。

一般的にも言われている通り、京都市は地下鉄路線の建設費(特に東西線)が埋蔵文化財の状況や建設時期(バブル期周辺)などの要因が重なりかなり高額となり、結果としてそれが運賃に反映されている側面があります。

地下鉄でのご利用は、京都駅~四条駅など比較的短い距離の移動が最も多くなっており、「ボリュームゾーン」である初乗り運賃を高めに設定することで、収益性を改善しやすい側面があります。

平成初期の初乗り運賃は160円でしたが、現在は220円とこれまでの値上げ幅は消費増税分よりも明らかに大きく、こういった状況が初乗りが日本一高い地下鉄という結果をもたらしています。

また、初乗りの次にあたる「2区」運賃については、単独ではありませんが、福岡市営地下鉄と同じ260円でこれも最も高額となっています。

近距離以外は大きな差はない

初乗りが日本一高い京都市営地下鉄ですが、2022年現在の運賃で見ると、10km以上など比較的距離のある区間では、必ずしも突出して目立った高額運賃ではありません。

利用する方はそれほど多くはありませんが、20kmを超える六地蔵~国際会館間の運賃は、同じ距離で大阪メトロ・神戸市営地下鉄を利用するケースと比べむしろ1割前後安くなっているなど、逆転現象すら見られます。

先述した通り、京都の場合地下鉄利用は長い距離よりも「短めの距離に集中」している傾向があり、初乗り運賃・2区の運賃を高めに設定しておく代わりに、それ以外の距離がやや長い区間はそれほど高額な運賃とせずに、全体的な割高なイメージを抑えている側面があると言えるでしょう。

今後の「値上げ」は?

「初乗りで高い」一方「距離が長くなると特に割高ではない」特徴を持つ京都市営地下鉄ですが、京都市営地下鉄の経営見通し(京都市交通局市バス・地下鉄事業経営ビジョン)の中では、当初は今後7%程度の値上げが実施される見込みとなっていました。

しかしながら、国の財政措置やコストカット等の施策により、2023年1月に「値上げ回避の見込み」が京都市により公表されており、少なくとも短期間の間で値上げが実施される可能性はなくなったと言えます。

値上げを見送ったことで、短距離以外の区間でも「日本で最も高い地下鉄」となるような事態は当面回避されました。

一方で、京都市営地下鉄は経営状態は他の地下鉄事業者と比べかなり厳しい状況がコロナ前から続いていたため、コロナ禍を受けて対応する「余力」が極めて限られています。また、京都市の財政状況が厳しいということも一般的に知られている通りで、交通事業に対し財政支出を行う行政上の「余力」も乏しいため、国の財政措置などの外部的要因による財務指標の見込み改善が「運賃改定回避」に寄与したものの、今後も「運賃収入の増加」が喫緊の課題とされている点に変わりはありません。

なお、他の地下鉄事業者は、仙台市営地下鉄・名古屋市営地下鉄など厳しい経営状況がある事業者もある一方、例えば大阪メトロ・東京メトロなどはコロナ禍でも収支の黒字化を2022年時点で達成していたりするケースも見られます。

各地下鉄事業者の財務体質はかなり差があるため、一概に言うことは出来ませんが、運賃値上げを回避したものの、京都市営地下鉄の経営環境が特に厳しい状況は同様です。

京都市営地下鉄の運賃【まとめ】

京都市営地下鉄の初乗り運賃は220円です。運賃額は220円~360円まで5区分あり、距離により運賃額は異なります。

各都市の地下鉄と運賃を比較すると「初乗り」は全ての事業者の中で最も高い運賃で、「2区」運賃は福岡と並ぶ最も高い運賃となっています。但し、距離が長めの区間ほど割高感はなくなり、最も長い区間で乗る場合は大阪・神戸などと比べても割安な運賃のため、全体的に高いとは言えません。

京都市営地下鉄はコロナ禍・経営難・市の財政問題などもあり、今後の値上げは事実上不可避とされていましたが、2023年に国の財政措置などにより値上げ回避が発表されています。値上げがなされた場合、他都市でも同様の値上げがなされるようなケースを除き、初乗り以外も含め京都市営地下鉄の運賃の高さがより際立つ可能性がありましたが、当面そのような状況になる可能性はなくなったと言えるでしょう。