冬型の気圧配置(西高東低)とは何か?

自然・気候

日本の冬の気候において、最も典型的な気圧配置とされる「冬型の気圧配置」。

冬型の気圧配置は「雪」・「寒さ」・「乾燥」・「風」など、冬の天気で最も重要な要素を決定づける重要な存在ですが、結局のところ、一体どういった存在(気圧配置)なのでしょうか?

こちらでは、冬型の気圧配置に関する基本的な知識について、様々な角度からなるべく簡単に解説していきます。

冬型の気圧配置の「定義」

典型的な「冬型の気圧配置」の一例(2021年2月18日の天気図)
出典:気象庁「日々の天気図」(https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/hibiten/index.html)
※トリミングの上利用

一般に広く「冬型の気圧配置」と呼ばれている気圧配置は、その定義・言葉の意味としては、概ね以下のような条件を満たす気圧配置のことを指します。

気圧配置の形「西高東低」と呼ばれる、西に高気圧・東に低気圧の形になること
等圧線の間隔ある程度「縦縞」に等圧線が込み合った形となること
寒気の存在シベリア方面から一定程度冷たい空気が入ること

特に、「西高東低」という西側に高気圧、東側に低気圧という気圧配置は冬型の気圧配置の「基本中の基本」であり、冬型の気圧配置と呼ばずに「西高東低」とだけ呼ぶケースも多く見られます。

また、いくら西側に高気圧・東側に低気圧といっても、春や秋に見られるように、特に急激に寒くなる訳でもなく、天気図を見ても必ずしも「等圧線」が込み入っていないような場合、それを「冬型の気圧配置」と呼ぶことは通常ありません。

なお、シベリアからの「寒気」については、冬型の気圧配置の「条件」というよりは、天気図上で「冬型の気圧配置」とはっきり呼べるような西高東低の気圧配置になった場合は、寒気は「当たり前のもの」として流れ込んでくるケースがほとんどです。

西に高気圧・東に低気圧がある状況では、北~北西方向などからの空気が入ってきますので、必然的にシベリアの方向からの寒気が入る形となります。

冬型の気圧配置の「時期」

冬型の気圧配置とは、その名の通り「冬」の季節で典型的に見られる気圧配置です。しかしながら、あくまでも「冬型の気圧配置」と言える気圧配置の条件を満たすものであれば、真冬でなくても「冬型の気圧配置」と呼ばれることも多々あります。

どこまでを「冬型の気圧配置」と呼ぶかにもよりますが、高い山なども含めて雪の可能性がある「冬型の気圧配置」を挙げていけば、究極的には9月から5月にかけて、1年間の3分の2程度の期間は「冬型の気圧配置」または「それに類するもの」が生じるケースが見られると言えます(過去の事例に基づく)。

各月ごとの基本的な状況(特徴)は以下の通りです。

時期過去の事例に基づく「冬型の気圧配置」の特徴
9月・北海道では後半に弱い冬型の気圧配置になるケースあり(山地で初冠雪)
10月・北海道では「積雪」をもたらすレベルの冬型の気圧配置となる場合あり
・北陸など本州一帯は、2002年10月のケースなどまれな事例を除き、強い冬型の気圧配置はほぼない
11月・北海道では冬型の気圧配置が基本に
・本州以南も冬型の気圧配置のケースが増える、但し東北を除き「平地」の雪は極めてまれ
12月・冬型の気圧配置が一般的に見られる時期
・海水温が高いため、年によっては1月、2月よりも多くの雪をもたらすケースあり
1月・最も一般的に見られる時期
・寒い年は長期間続く場合あり
2月・最も一般的に見られる時期
・寒い年は長期間続く場合あり
・日本海を低気圧が発達しながら通過(気温上昇)→冬型のパターンが増えて来る傾向
3月・西日本などを中心に冬型の気圧配置が減る
・北日本などではまだ一般的に見られる
・近年3月の温暖化傾向が強いため、冬型に伴う雪の量が急減傾向
4月・冬型の頻度は大幅に減る
・上旬にはまれに本州でも「雪」をもたらす冬型となる場合あり(基本的に山間部か北陸以北)
5月・ほぼ見られない
・北海道ではかなりまれに可能性あり、但し平地の雪はほぼない

冬型の気圧配置の「形・パターン」

西に高気圧・東に低気圧という「冬型の気圧配置」は、より詳細を見ていくと、非常に様々な形態・パターンを持つものでもあります。

例えば、天気図で見える「等圧線」がどの方向に傾いているか・どういう形をしているかによって、吹く風の向きは大きく変わり、結果として「雪雲」が流れ込む場所も全く違う場所となります。

最も一般的な「冬型の気圧配置」の区分としては、以下の「山雪・里雪」の区分があります。

区分主な風向き特徴特に積もる地域
山雪型北~北北西~北西・その名の通り海から離れた山間部や内陸部で雪が多くなりやすいパターン
・等圧線が北~南へ直線的に延びている
・等圧線の間隔が狭い
本州山間部の広範囲など
まれに京都・四日市・名古屋・津なども
里雪型西北西~西~西南西・その名の通り、山ではなく「里」すなわち沿岸部の平地で雪が多くなりやすいパターン
・等圧線の間隔が比較的ゆるやか、または日本海付近で「湾曲」している
・または等圧線が斜め(北西~南東など)を向いている
・上空の高い場所に非常に強い寒気を伴うことが多い
北陸の広い範囲
山陰沿岸
丹後半島
新潟市
など
2017年1月15日(山雪型)の天気図
出典:気象庁「日々の天気図」(https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/hibiten/index.html)
※トリミングの上利用
2018年2月6日(里雪型)の天気図
出典:気象庁「日々の天気図」(https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/hibiten/index.html)
※トリミングの上利用

山雪とは、その名の通り山沿い(内陸)で雪が多くなりやすく、日本海側ではない京都市内など、通常雪が余り積もらない地域で珍しく雪が積もる場合も、山雪型であることが基本です。

里雪とは、逆に沿岸部で雪が多くなりやすいパターンで、金沢・福井・富山などの北陸地方、また香住・丹後半島北部など近畿最北端の地域を中心に集中的な大雪をもたらすことがあります。

なお、絶対的な山雪・絶対的な里雪と言えるものはなく、実際には1回の寒波のうちに山雪型から里雪型へ、里雪型から山雪型への変化を見せるケースも多くなっています。

区別についても厳密には断定できない場合もあり、山雪とも里雪とも言いづらい、中間的な雪の降り方をする気圧配置となることも多く、山雪・里雪の区別は絶対ではなく、あくまでも一般的な一つの捉え方として見ておくとよいでしょう。

冬型の気圧配置で雪が降る「仕組み」

冬型の気圧配置というものは、日本の上空だけで何かが発生しているものではなく、より広いスケールで発生している大気の現象に伴うものです。

冬型の気圧配置によって日本で「雪が降る」場合、その雪がもたらされるプロセスは、非常に簡単に・大まかにまとめれば下記のような流れとなります(専門的な表現は控えています)。

1シベリアに強い寒気が存在している(シベリア寒気団)
2その寒気が日本列島へ向かって流れ込む
3寒気が流れ込む途中で「日本海」上を通過するため、比較的高い海水温との温度差で「上昇気流」が発生し、急激に雲が発達する
4寒気に一定以上の強さ(一般的に上空1,500mで-6℃以下)がある場合、陸地で雪をもたらす
5山地などがある場合や、違った向きからの雪雲がぶつかる場合、雪雲がより発達し大雪をもたらすケースもある

要するに「シベリアからの寒気(シベリア気団・シベリア高気圧)」と「日本海(海水温が比較的高い)」。この2つの要素が雪をもたらす最大の要因となっています。海というと、なんだか「温暖」なイメージがあるかもしれませんが、温暖な海があるからこそ、冬の日本海では雪雲がどんどん発達する訳なのです。

なお、雪雲はいわゆる「筋状の雲」として、日本海を美しい「一列」の雲の列を築き上げながら日本列島に流れ込むケースも多いですが、必ずしもそうではないケースもあります。

例えば、大陸の側から寒気が吹き出す際に「風の向き」が違った方角を向いてしまった場合、その違う方向へ進む雲が、日本周辺で衝突(ぶつかる)形で、雪雲をより一層発達させることがあります。これはいわゆる「JPCZ(日本海寒気団収束帯)」と呼ばれるものが有名で、場合によっては渦を巻いて小さな低気圧を作りながら北陸~山陰などに直撃し、雷を伴う強い雪・集中的な豪雪をもたらすことがあります。

冬型の気圧配置で「降るもの」

冬型の気圧配置になると、日本海で雲が湧き、発達しながら日本海側の地域に掛かるため、多くのケースで「何かが降る」ことは間違いありません。

一方で、「降るもの」の内容を見て行くと、必ず雪が降る。と決まっている訳ではなく、条件によって様々な気象現象が見られます。

降るもの過去の事例に基づく特徴・傾向
・強い寒気が流れ込んでいる際には雪となる
・気圧配置、雲の発達状況に応じ「降り方」は様々
・山雪型の際の沿岸部など「積もる」雪とは限らず「舞う・降るだけ」のケースも
・標高が高い地域では雪の場合が多い
みぞれ・寒気の程度によっては、雪ではなく雨交じりの「みぞれ」として降るケースも多い
・特に北陸、山陰の沿岸部などはみぞれの場合も多い
・基本は雨の場合にも、「強く降る」場合のみ雪交じりのみぞれとなる場合あり
・秋の冬型の気圧配置など、寒気が弱い場合は単なる雨のケースも多い
・暖冬の年を中心に、真冬の冬型の気圧配置でも雨となるケースあり
・冬型の気圧配置に伴う雨で「大雨注意報」が発令されたことも少なくない
・標高が高い地域では雨の頻度は減る
あられ・積乱雲が発達するような場合などは、氷のつぶである「あられ」として音を立てて降る場合も多い
ひょう・あられは多い一方で、直径5mmを越える「ひょう」はまれな現象

冬型の気圧配置で降ったものを、全て見て行くと「雨」のケースも少なくない状況で、特に気温が高くなりやすい山陰・近畿北部・北陸の平地では、近年は暖冬が多いため「雨の方が多いのでは?」と言えるくらいの状況になる年もあると言えます。

また、みぞれもかなり一般的で、平地であれば寒気の流れ込む状況によって雪~みぞれ~雨と変化し、降ったり止んだりを繰り返すのが、一般的な冬の気象と言えるでしょう。

冬型の気圧配置で降る「雪の量」・「予測」

冬型の気圧配置に伴い「雪」が降る際に、実際に「積もる」量は、ごくうっすら~積雪数mまで、その地域の環境に応じてあらゆるケースが考えられます。

「雪の降り方」に関する最も大きなポイントは、特に山地や気温の低い地域などは、「冬の間何度も大雪が降り、どんどん積雪が増える」可能性がある点です。

下記のデータは、日本海側各地で比較的雪の多い山間部、雪の多い平地のデータですが、背丈を上回るような積雪が一般的な地域もあり、平地であっても50cm~1mの積雪は珍しくない状況となっています。また、山間部の場合広島・鳥取方面など西日本であっても、相当な積雪が観測されていることが分かります。

近年を代表する豪雪時の積雪深(2021年の北陸地方豪雪)
出典:「1月9日(2021年)21時の積雪深」(気象庁ホームページより)

もちろん、温暖化傾向にあるため、「観測史上最多」のデータに見られるような積雪は、特に平地では見られなくなっていることも確かですが、近年でも富山で128cm・高田で249cm(2021年)となったように、集中的な豪雪となるケースは少なくありません。

山間部の観測地点肘折
(山形県)
津南
(新潟県)
藤原
(群馬県)
白川
(岐阜県)
九頭竜
(福井県)
兎和野高原
(兵庫県)
大山
(鳥取県)
八幡
(広島県)
年間最深積雪
(平年値)
323271207177157124186120
観測史上最多積雪445419293297301208302207
単位はcm・気象庁のデータによる
平地の観測地点札幌
(北海道)
青森
(新潟県)
新庄
(群馬県)
高田
(岐阜県)
富山
(富山県)
福井
(福井県)
豊岡
(兵庫県)
鳥取
(鳥取県)
年間最深積雪
(平年値)
971011289651484537
観測史上最多積雪169209236377208213186129
単位はcm・気象庁のデータによる

日本で「雪」をもたらすもう一つの大きな要因である「南岸低気圧」の場合、通常繰り返し何度も来襲するケースは多くなく、2014年のように1日で1m(山梨県内)という豪雪もあったとはいえ、「南岸低気圧だけで積雪2m以上」といったような観測記録は存在しません。

しかしながら、冬型の気圧配置であれば、寒い年であれば強烈な寒波が何度も来襲し、その都度どんどん雪を降らせるため、積雪は多ければ3~4m以上といったとてつもない量になっていきます。

なお、天気予報という観点から見ると、予報の状況について具体的に言及することは適切ではありませんが、一般論として見た場合、冬型の気圧配置による雪は「南岸低気圧」と比べると早い段階から注意・警戒が呼びかけられやすく、「大雪予報」が広い意味で当たる確率・精度(どこかで大雪となるという意味で見た場合)も比較的高いと言えます。

これは、南岸低気圧のように比較的狭い地域内でのわずかな気温差、わずかなルートの違いが全く違う天候を引き起こすというよりは、シベリアからの寒気が一斉に流れ込む「冬型の気圧配置」自体がよりスケールの大きな現象であることが一つの要因と考えられます。

但し、強い雪雲の塊(JPCZ)がどこで発生するかという、より詳細なスケールの予測はやはり難しく、集中豪雪の発生状況は「その時になってみないと分からない」側面があることも確かと言えます。

冬型の気圧配置と「地域」

冬型の気圧配置は、非常に広い範囲に天候面で影響を与える存在です。

一般的な影響としての「雪」に留まらず、関東の冬の「乾燥」や、沖縄・南西諸島の冬の「日照不足」も、結局は冬型の気圧配置が最大の要因となっており、国内のほぼ全ての地域において、様々な形で影響を及ぼしています。

各地方ごとの「冬型の気圧配置」がもたらす天候の特徴などは、大まかにまとめれば下記の通りです。

地方冬型の気圧配置がもたらす影響
北海道・札幌周辺など日本海側は雪が多い
・帯広や釧路など太平洋側には晴天と乾燥をもたらす
・一部地域では雲が掛かり続け「日照時間」がほぼゼロに近づくことも
東北・日本海側は雪が多い
・特に山形県の内陸部などは非常に雪が多い傾向
・太平洋側には晴天と乾燥の要因、但し仙台でもうっすら~数センチ程度の雪は一般的
関東甲信越・新潟県内は上越方面や山間部を中心に「豪雪」傾向
・長野県、群馬県は北端部ではかなり雪が多く、南へ行くほど晴れと乾燥をもたらす
・首都圏など関東の大半の地域、山梨県では「晴れ」と「乾燥」の最大の要因
東海・岐阜県北部はかなり雪が多い
・太平洋側では晴れと乾燥の要因
・風向きによっては岐阜市、名古屋市、四日市市などで積雪のケースも
北陸・全域で雪が多い
・温暖化傾向もあり、平地の雪は特に金沢など海沿いで減少傾向
近畿・北部は雪が比較的多い
・北部は風向きによる雪の量の差が大きい(西風では一部を除き全く降らない)
・京阪神などは乾燥の要因、但し首都圏ほどは晴れず、京都では時折積雪も見られる
・南部の山間部でも雪の場合あり
中国・山陰は東側ほど雪が多い、山地は島根西部や広島県内も含め豪雪地
・山陽側では晴れと乾燥の要因、但し広島市では雪が積もることも
四国・久万高原や徳島県の内陸部などではまとまった雪をもたらす場合も
・それ以外の多くの地域では晴れと乾燥の要因
九州・福岡など日本海、東シナ海側では晴れ間が少なくなる要因
・強烈な寒波が入る際にまれに積雪
・宮崎など太平洋側では晴れと乾燥の要因に
沖縄・南西諸島・低い雲が広がる要因となり、晴れ間が少なくなる
・雪は過去に「名護・久米島・名瀬」でみぞれの観測あり

冬型の気圧配置=雪というイメージも間違いではありませんが、日本海側で雪を降らせた後は乾いた風を太平洋側にもたらすことも含め、冬型の気圧配置がもたらす気象状況と言えますので、地域によって様々な傾向があることを知っておくことが重要です。

冬型の気圧配置による「過去の大雪」

冬型の気圧配置による雪は、過去には数えきれないほどの「大雪」を日本海側を中心とする地域にもたらしてきました。

大雪の事例は余りにも多く、南岸低気圧による大雪事例と比べてもかなり多いため、一つ一つを解説していくと途方もない文章量となり現実的ではありません。

記録がしっかり残るような時代(昭和の戦後)以降で見た場合、特に歴史に名を刻んだような豪雪は、一例としては下記のような事例が挙げられます。

平成18年豪雪・気象庁が「命名」した公式的な豪雪災害
・12月に極端に雪が多かったことが特徴、1月以降は比較的穏やかな冬に
・山雪型の傾向が強く、新潟や岐阜の山間部などで記録的な豪雪に
【主な積雪記録】小樽172cm・盛岡76cm・津南416cm・湯沢358cm・白川297cmなど
昭和61年の豪雪・他の豪雪ほどの知名度はないものの、広い範囲で雪の量が多い冬に
・特に上越では戦後最多の記録的豪雪に
・北陸の3県庁所在地の全てで積雪1m以上となった「最後の冬(2022年現在)」
【主な積雪記録】高田324cm・富山117cm・金沢113cm・福井127cm
五六豪雪・12月末に極端な豪雪となり、その後も大雪と寒さが継続
・38豪雪の際と比べ、豪雪となった範囲が広かったことが特徴
【主な積雪記録】山形113cm・富山160cm・福井196cm・敦賀196cm・高山128cm・豊岡102cm
昭和52年豪雪・極端な低温が続き、冬の間何度も大雪をもたらす寒波が襲来
・山陰~近畿北部~北陸~青森にかけて、比較的「満遍なく」豪雪に
【主な積雪記録】青森195cm・富山136cm・金沢126cm・福井147cm・豊岡140cm・鳥取105cm
昭和38年1月豪雪・北陸、近畿北部、中国地方の一部などで集中的な豪雪に
・「同じ風向き(里雪)」が長期間継続
・九州でも記録的な大雪が観測
・風向きの影響で、日本海側でも積雪がさほど増えなかった地点も多い
【主な積雪記録】富山186cm・金沢181cm・福井213cm・阿久根(鹿児島)38cmなど

なお、日本海側全体で見た場合、必ずしも雪が多くない冬であっても、ある一部の地域だけ集中的な豪雪になった場合、それが報道されることにより「雪の多い年」というイメージが持たれやすい傾向があります。

そのため、近年は2019年・2020年といった極端な暖冬となった年を除き、2015年(京都市)・2016年(九州)・2017年(鳥取や近畿中部)・2021年(富山県を中心とした北陸・上越地域)・2022年(札幌・本州山間部・滋賀県北部など)など、「どこかで」ほぼ毎年記録的な「豪雪・大雪」が発生しているため、毎年雪が多くなっているようなイメージがあることも確かです。

50年に1度の大雪というものは、全国のどこか1か所でもそうなれば「50年に1度」である訳ですので、可能性としては毎年「50年に1度の大雪」が日本国内で起こってもおかしくはないということになります。

大雪・豪雪という現象は、一部の地域における現象なのか、それとも日本全体、かなり広い範囲で起こった現象なのかは、ある程度区別して考える必要があるでしょう。

ポイント・まとめ

【定義】
「西高東低(西に高気圧・東に低気圧)」の気圧配置
◇等圧線が比較的込み合う・シベリアからの寒気が流れ込む場合にそう呼ばれる
【時期】
真冬が最も多い・北海道では9月や10月、4月以降にも見られる・比較的幅広い期間で見られる気圧配置
【形・パターン】
「山雪型」「里雪型」の2区分が典型・実際には中間的な形もあるなど様々
【雪が降る仕組み】
シベリアからの強い寒気と「日本海」の相互作用・温暖な海水温の影響で上昇気流、雪雲が発生
◇JPCZ(日本海寒気団収束帯)と呼ばれる強い雪雲の帯が掛かる場合もあり
【降るもの】
◇雪のみならず雨やみぞれも多い・氷の粒「あられ」も一般的
【雪の量】
「積もらない・うっすら」から「積雪数m」まであらゆるケースあり
◇山間部などは繰り返し大雪となりやすく「南岸低気圧」のスケールとは全く違う積雪となる場合あり
【地域】
雪が多いのは日本海側太平洋側では「晴れ・乾燥」の要因など全国的に「何らかの影響」を与える
【過去の大雪・豪雪】
昭和38年1月豪雪・五六豪雪・平成18年豪雪などが典型