こちらでは、気象庁が公表・提供している「雪」に関する各種資料・データのうち、「解析積雪深・解析降雪量」について、その基本的な内容を簡単に解説していきます。
解析積雪深・解析降雪量とは?
気象庁の「解析積雪深・解析降雪量」とは、積雪の状況・降雪量の状況を「1時間ごと」に「5km四方」の単位で「推定」するというものです。
最新の解析積雪深・解析降雪量は、気象庁の公式サイト内「降雪短時間予報」のページで自由にご確認頂くことが可能です。
「解析」という通り、このデータは直接「観測」するものではなく積雪の深さを「推定」したものであり、以下の気象庁による説明の通り、複数の要素を複合的に重ね合わせるような形で計算・算出されるデータとなっています。
解析積雪深は、解析雨量や局地数値予報モデル(LFM)などの降水量、気温、日射量などを積雪変質モデルに与えて積雪の深さを計算した後、アメダスの積雪計の観測値で補正することにより作成されます。積雪変質モデルでは、新たに積もる雪の量、とける雪の量、時間の経過により積雪が沈み込む深さ等を計算することで積雪の深さを求めます。
気象庁|解析積雪深・解析降雪量、降雪短時間予報
なお、「解析降雪量」は、1時間ごとの解析積雪深の「差」から算出されるデータを反映したものとなっています。
解析積雪深・解析降雪量の活用方法
解析積雪深・解析降雪量は、大まかに言えば観測を行っている「積雪計」がない地域・遠い地域であっても、大まかな積雪の状況を把握出来るという点で大きなメリットがあります。
例えば、紀伊山地・四国山地・九州山地・南アルプス周辺といった「積雪の観測が行われていない」ものの、「雪が比較的降りやすい地域」の場合、この解析積雪深・解析降雪量が積雪状況を把握する貴重なツールとなります。
また、雪が少なく積雪計が少ない太平洋側では、まれに積雪となる際には、この解析積雪深・解析降雪量が最も基本的な雪の状況を把握する資料になります。
豪雪地帯についても、山地や標高の高い地域では積雪計がない場所も多いため、雪が特に多い地域の状況を把握する上では重要な資料として用いることが可能です。
解析積雪深・解析降雪量の注意点
解析積雪深・解析降雪量の図表を確認する際には、留意しておかなければならない点もあります。
1点目としては、解析積雪深・解析降雪量は「推定」値ですので、必ずしも実際に観測された「積雪・降雪の深さ」ではないという点です。
実際に、アメダスなどで観測される積雪の深さと、その地域の解析積雪深として表示されるデータに違いが生じるケースも見られます。
2点目は、「5km四方」を単位としているため、その地域内における積雪の状況を詳細に反映している訳ではないという点です。
例えば新潟県の上越地方など、わずかな距離の差・標高の差(1~2km)で、数十cm・場合によっては1m以上積雪が違うようなケースでは、「5km四方」の単位で行う予測には大きな限界があります。
積雪は標高・地形(山の斜面)・海からの距離などにより大きく変化します。解析積雪深は、あくまでも「特定の場所」の積雪状況をそのまま反映したデータではない点には注意が必要です。