松山市・愛媛県の「雪事情」とは?

自然・気候

こちらでは、四国地方の愛媛県・その県庁所在地の松山市について、冬の「雪」の降る頻度や量といった「雪事情」を解説しています。

一般に四国は雪が少ない地域とされ、実際に松山市などは非常に雪が珍しい状況ですが、県内でも雪が比較的増えやすい地域もあるなど、全体を見た場合その「雪事情」は様々です。

全国屈指の雪の少なさが特徴の「松山市」

愛媛県の県庁所在地である松山市は、その「雪事情」はシンプルで、積雪がとにかく少ない・まれな傾向がある地域となっています。

松山市のデータ
年降雪日数18.3日
年降雪量1cm
平成以降の冬で
「1cm」以上の雪が積もった回数
8回
気象庁の平年データ・観測データによる
松山市の積雪記録
1位4cm(2012年2月3日)
2位3cm(2004年1月23日)
2位3cm(1988年12月16日)
3位2cm(1996年2月10日)
1989年冬~2022年冬までの期間での「積雪記録」
気象庁の観測データによる

後述する通り、雪雲が伊予灘などから流れ込むことは時折あるため、雪が舞うくらいのことは場合によっては年10回以上見られる一方で、松山市はとにかく「雪が積もりにくい」地域です。

雪が積もることは、1cmにすら満たない「ごくうっすら」を含めてもまれで、毎年雪が積もるような状況ではありません。

特に「大雪」はほぼないと言って良く、平成以降で見た場合、松山地方気象台では「5cm以上」の積雪は一度も観測されていません。

このような状況は、県庁所在地では沖縄の那覇を除いては宮崎市・静岡市以外では見られないもので、「南国」として温暖で雪がほぼ降らないイメージが強い高知市ですら、9cmの積雪を2005年に観測しているため、四国の県庁所在地では最も雪が積もる量が少ないとも言えます。

なお、市内でも久万高原方面へ向かう山間部など、地域によっては雪が積もる頻度は増える場合があります。非常に少ない状況は、あくまでも平地(市街地)を基準に見た場合のものです。

愛媛県に雪雲が流れ込む仕組み

愛媛県内で雪が降る場合、降る要因の大半は「冬型の気圧配置」に伴うもので、「筋状の雲」が県内に掛かることで雪が降る状況が見られます。

愛媛県に入る雪雲のイメージ図
出典:地理院地図(一部当サイトにより作図)

雪雲は、風向きによって動きが異なりますが、「対馬海峡」一帯から「関門海峡」付近を通り抜け、そのまま瀬戸内海(伊予灘)に雲が進んだ場合、陸地にほぼ掛からないまま雪雲が発達し続け、それが愛媛県内に掛かることがあります。

この場合、大洲市~宇和島市周辺では海沿いも含めて雪がまとまって積もるケースがあり、特に2018年には大洲市で20~30cm程度の雪が複数回積もるなど、日本海側以外ではかなり珍しい大雪となりました。

また、気圧配置や湿った気流・寒気の度合いにもよりますが、山口県・広島県側から入った雲(通常強い雲ではない)などが、四国山地周辺で雪雲として「再発達」する形で、久万高原周辺にまとまった雪を降らせるケースもあります。

松山市や東予地方の平地については、関門海峡側からの雪雲が風向きの都合上入りにくく、広島・山口方面から雲が入る場合でも、山にぶつかる前の弱い雲であることが大半で、「冬型の気圧配置」で積雪となるケースはほぼありません。

関東などで雪をもたらす事が多い「南岸低気圧」については、概ね影響を受けにくい地域と言えます。但し、山間部を中心にまれに雪をもたらすことがあり、寒気がやや溜まりやすい東予地域(西条市など)では、2008年・2014年の事例など、まれに平地でも10cm以上の大雪となるケースが見られます。

地域ごとの「雪事情」は?

愛媛県内の地域ごとの「雪事情」について、大まかな傾向を改めてまとめてみると、以下のような形になります(あくまでも「過去の一般的な傾向」です)。

東予地方・平地の積雪はかなりまれな地域
・「冬型の気圧配置」による積雪は県内でも特に少ない
・まれに「南岸低気圧」による大雪(10cm以上)が平地でも見られる
・南岸低気圧による雪は、四国山地に近い場所で多く、今治市では積もりにくい
中予地方・松山市の平地などは先述の通り全国的に見ても「積雪が極めて少ない」地域
・久万高原町など一部山間部では雪が珍しくない環境
・久万高原町ではまれに30cm以上、場合によっては50cm以上の積雪も
・南岸低気圧による雪は、山地を除いてはほぼ見られない
南予地方・積雪は少ない傾向も、県内の平地では最も雪が積もりやすい地域
・大洲市などは条件次第で日本海側以外で最も雪が多くなるケースも
・宇和島など温暖な地域でも、まれに10cm以上の積雪となった事例あり
・雪は基本的に「冬型の気圧配置」による

県内の「雪事情」の差は大きく、距離的にはそれほど遠くない松山市街地と、久万高原町では全く違う光景となっていることも多々あるため、スタッドレスタイヤの使用状況など、アクセスする場所によっては一定の注意が必要な場合があります。

【松山市・愛媛県の雪事情】ポイント・まとめ

松山市全国的に見ても積雪が特に少ない地域で、「大雪」はほとんど見られません。
愛媛県内各地については、雪事情は大きな差が見られ、久万高原町など雪が積もりやすい地域があるほか、南予地域の一部も松山と比べ積雪頻度が多い傾向があります。
・南予地域では、関門海峡~伊予灘を進む雪雲が海からそのまま入るケース、久万高原一帯では四国山地で雪雲が「再発達」するケースなどが見られます。