徳島市・徳島市の「雪事情」とは?

自然・気候

こちらでは、四国の東側に位置する徳島県と、その県庁所在地である徳島市について、冬の「雪」がどのくらい降る・積もる傾向があるのかといった「雪事情」を解説していきます。なお、解説する内容は全て「過去の一般的な傾向」です。

徳島県は、太平洋側のため雪が特に多い地域とまでは言えませんが、雪が降りにくい沿岸部と、時折大雪となるケースもある山間部の「雪事情」の差は比較的大きい地域と言えます。

徳島市はごくまれに積もる程度の地域

徳島県の県庁所在地であり、神戸など関西との結びつきが大きいことで知られる「徳島市」は、雪はかなり少ない地域と言えます。

平成以降のデータによる「1cm以上の雪」が積もった回数平成以降の最深積雪雪が全く積もらなかった冬年間降雪日数(平年値)
徳島地方気象台合計18シーズン/35年間10cm(2022年12月23日)合計7シーズン/35年間
(2021年冬・2019年冬・2020年冬・2009年冬・2007年冬・2002年冬・1995年冬)
18.8日
各回数などは「平成以降」の冬、2023年までの状況で見た場合
積雪記録・平年値は気象庁のデータによる

平成以降について、積雪の記録を見た場合、1cm以上の雪が積もった年数は全体の半分で、あとは数字にならないような「ごくうっすら」程度か、雪が一切積もらなかった冬となっています。

とりわけ2019年~2021年冬は、ごくうっすらも含め積雪が一切観測されない期間となり、3年程度に渡って積雪がない期間が続きました。

なお、まとまって降る雪も少ないですが、2022年12月には記録的な大雪として「10cm」の積雪が観測された事例があります。

徳島市は、県内に雪雲が入る際には雲がまとまる側からは離れた位置にある点、海に近く南からの温暖な気流が入りやすく、「南岸低気圧」通過時に雨となりやすい点などがあり、雪が積もりやすい環境ではありません。

但し、徳島市より雪が少ない都市は他に多く、例えば県庁所在地では大阪・神戸・高松・高知・松山・大分・熊本・静岡・宮崎は徳島よりも一層積雪が少ない地域と言えます。

四国の県庁所在地はいずれも雪がかなり少ない特徴を持ちますが、「かなり少ない中」での比較をするのであれば、雪が全く積もらない年があるとしても、徳島はまだ積雪が見られやすいとも言えるのです。

県の西側ほど雪が増える傾向【徳島県で雪が降る仕組み】

徳島県内は、特段「豪雪地域」と呼べるような場所はありませんが、「冬型の気圧配置」になった際に、県の西側では比較的頻繁に雪が降り、積もる場合があります。

出典:地理院地図<海域部は海上保安庁海洋情報部の資料を使用して作成>(一部当サイトにより作図)

県内に入る雪雲の流れとして最も見られやすいルートとしては、例えば上記のようなものがあります(実際の事例はこのパターンに限りません)。

最も雪が降りやすいのは剣山周辺の特に西側、三好市の山間部(東祖谷地区)などで、瀬戸内海方面を通った雲が、四国山地周辺の斜面にぶつかって「再発達」する形で雪を降らせる場合が目立ちます。

また、吉野川沿いのそれほど標高が高くない谷筋でも、阿波池田~穴吹周辺までは時折積雪が見られる地域で、場合によっては10cm以上の積雪が見られます。

雪雲は讃岐山脈周辺で発達するケースもあり、穴吹方面まで大雪になる際や、更に東側、徳島まで雪雲が達する際には、概ねこのパターンとなっています。

徳島県の「大雪」災害としては、2014年12月4日~5日に降った雪が顕著な事例で、この際には、吉野川に比較的近い三好市・東みよし町の山間部を中心に大雪というよりは「集中豪雪」と言える状況になり、標高が高い場所によっては50cm以上、1m近いような積雪となった集落もありました。

また、一般に関東で雪をもたらすことが多いとされる「南岸低気圧」についても、徳島県内の山間部は西日本の中では寒気が入りやすい・溜まりやすい地域と言えるため、時折まとまった雪が積もるケースがあります。

徳島県内各地の「雪事情」は?

徳島県内の各地域について、その「雪事情」を大まかにまとめると、下記のような形になります。

東部・徳島市は先述の通り「かなり雪が少ない地域」
・海沿いは全体的に雪がかなりまれ
・山沿いも徳島市街地ほどではないものの、雪が少な目の地域が多い
・但し、神山町内の一部などはやや積雪の頻度が増える傾向
南部・沿岸部は徳島市以上に雪の頻度が少なく、ほぼ見られない場合も
・寒冷な気候である山間部の「那賀町」内は、積雪が見られやすい地域あり
西部・徳島県内では最も雪が積もりやすい地域
・標高が高い地域を中心には積雪が珍しくない環境
・吉野川沿いも含め、10cm以上の大雪となる場合が見られる
・先述の通り2014年12月には「豪雪」も
・「南岸低気圧」による雪も比較的見られやすい

徳島県内は、基本的に西部では雪が積もりやすい環境で、冬場は徳島市内から車で移動するような際に、西部山間部ではスタッドレスタイヤが必要なケースも多々見られますので、運転する際などにはそういった点には留意が必要です。

それ以外の地域は一部山間部などの例外を除き、雪はかなりまれと言えます。特に県南部の海沿いは、太平洋に直接面している上に、雪雲のまとまる地域から最も遠いため、積雪は「かなり少ない」徳島市以上に珍しい状況です。

徳島市・徳島県の雪事情「ポイント・まとめ」

徳島市は、積雪はかなりまれな地域で、平成以降に10cm以上の雪が積もったこともありません。
・県内では、瀬戸内海側から入る雲が、四国山地や讃岐山脈にぶつかって雪雲として発達するケースが見られます。
雪雲が入りやすい西部は、徳島市と比べ雪の頻度や量はかなり多くなり、過去には大雪というよりも「豪雪」と言えるような事例となったケースもあります。