こちらでは、長野県の気候について、4月に雪が降る・積もるようなことはあり得るのか?というテーマについて、考察・解説していきたいと思います。
なお、解説する内容は全て「過去の(これまでの)傾向」です。今後の状況について解説するものではありませんので、その点はご留意下さい。
降る・積もることは「あり得る」地域
長野県における「4月の雪」。これについては、端的に結論から言えば「降る・積もることはあり得る」地域と言えます。
後述していくように、その「程度」にはかなり地域差があり、県内でも南北・標高の高さなどによって、雪となる頻度には大きな違いが生じます。
長野県内の10の地域区分ごとに、雪の「過去の大まかな傾向」をまとめると、下記のような状況となります。なお、あくまでも最も一般的・基本的な傾向を示したものに過ぎませんので、その点はご留意下さい。
地域 | 「4月の雪」に関する過去の傾向・特徴 |
---|---|
北信 | ・そもそも冬場の雪が多いため、雪がまだ「残っている」場合あり ・4月に入ってからまとまって積もるケースも |
長野 | ・長野市街地に「残雪」は通常ない ・但し山間部は冬場の雪が残りやすい ・4月に入ってからまれに積もるケースあり、但し積もらない年も多い |
北アルプス | ・地域によって冬場の雪が残っている場合あり ・4月に入ってからまとまって積もるケースも |
松本 | ・市街地に残雪はない(上高地方面などは例外) ・4月の積雪もまれにあり、但し頻度は少なく積もらない年が圧倒的に多い |
上田 | ・市街地に残雪はない ・4月の積雪となる頻度は長野市と同じか、わずかに多い程度 |
佐久 | ・市街地に残雪は通常ない ・軽井沢方面などへ行くと、4月に積雪となる頻度がやや多くなる(毎年ではない) |
諏訪 | ・市街地に残雪はない ・4月の積雪となる頻度は松本並みで、積もらない年の方が圧倒的に多い |
上伊那 | ・伊那谷沿いに残雪は見られない ・4月の積雪は極めてまれにある一方、県内でも可能性が低い |
木曽 | ・木曽谷沿いに残雪は見られない ・4月の積雪は極めてまれにある一方、県内でも可能性が低い |
南信州 | ・伊那谷沿いに残雪は見られない ・4月の積雪は基本的にほぼない |
大まかに言えば長野県内では「北へ行くほど」4月に雪が積もりやすい傾向で、「南へいくほど」4月に雪が積もりにくい、比較的はっきりした傾向が見られます。また、平地や市街地では、毎年積もるとは言えず、むしろ積もらない年の方が多い傾向が見られます。
但し、これはあくまでも市街地(平地)を基準としたものですので、例えば長野県内の南部でも、標高が高い山間部であれば、積雪の頻度はやや多くなっていると言えます。
また、「積もる」ケースではなく「降る(舞う)」だけのケースで見た場合、積雪がほぼない飯田市でも4月の降雪が観測されたことがある(毎年平均1日以上はあるデータ)ため、事実上県内の全域で4月に「雪が降ったことがある(降るだけを含む)」状況にはあると言えるでしょう。
長野・松本市の「4月の雪」をデータから見る
長野県内の「4月の雪」は地域差が大きく、市街地では積もらない年の方が多い状況ですが、県内の主要都市である長野市・松本市で見た場合、4月に雪が積もる頻度はどのくらいで見られるのでしょうか?
積雪となった年数 | 平成以降の積雪事例 | |
---|---|---|
長野市 | 1989年以降合計「13年」 | 2018年:最大0cm(ごくうっすら) 2016年:最大0cm(ごくうっすら) 2013年:最大4cm 2012年:最大1cm 2010年:最大7cm 2009年:最大0cm(ごくうっすら) 2008年:最大6cm 2003年:最大5cm 2001年:最大0cm(ごくうっすら) 1998年:最大9cm 1996年:最大6cm 1993年:最大2cm 1990年:最大8cm |
松本市 | 1989年以降合計「7年」 | 2013年:最大4cm 2010年:最大7cm 2005年:最大1cm 2004年:最大1cm 2003年:最大5cm 2001年:最大0cm(ごくうっすら) 1998年:最大13cm |
平成以降に積もった事例を見て行くと、まず言えることは長野市の方が松本市よりも積雪の頻度が多いという点、また長野市であっても「積もらなかった年」の方が多いという点が挙げられます。
すなわち、4月に市街地で「積もるような雪」が毎年降っている訳ではありません。
また、積雪の量についても、積雪が10cmを越えるような事例は松本の1998年の記録を除き基本見られず、数字にならないほどのうっすら~数センチ程度が通常です。
雪が積もればスタッドレスタイヤなどは必要と言えますので、道路交通などへの影響は避けられませんが、頻度としては「東京で冬に雪が積もる」よりも更に少ない程度ですので、4月の雪は一般的な現象とまでは言えないでしょう。
新雪だけではなく「残雪」も
先に「地域ごと」の傾向を解説する中でも示してきましたが、「4月の雪」というのは、降る・積もるという意味での「雪」だけとは限らず、山間部など地域によっては「残っている」という意味での「雪」である場合もあります。
野沢温泉 | 小谷 | 飯山 | 信濃町 | 菅平 | 開田高原 | 白馬 | |
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4月の最多積雪記録 (平成以降) | 188cm | 123cm | 95cm | 61cm | 84cm | 51cm | 48cm |
観測日 | 2006年4月1日 | 2012年4月1日 | 2012年4月1日 | 2012年4月1日 | 2017年4月1日 | 2017年4月1日 | 2005年4月1日 |
長野県内でも特に雪が多い豪雪地の積雪について見た場合、あくまでも「特に多い年の場合」ですが、上記のように4月になっても冬からの積雪が1m以上残っているような事例も過去には見られます。
もちろん暖冬の年など、3月中までに雪が解けるケースも少なくありませんが、その年の冬に降った雪の量や、春先の気温の状況などに応じ、県内の北部(新潟県寄りの地域)または標高が高い地域(概ね1,000m以上)では、4月の「残雪」が見られる場合がある。という点は確認しておいてもよいでしょう。
ポイント・まとめ
・長野県内は、4月に雪が降る、積もることは過去の事例から見ると「あり得る」地域です。
・積もる頻度は市街地の場合県の北側ほど多く、南側ほど少ない傾向が見られます。
・但し、標高の差によっても雪の頻度は変化するため、南部でも積雪がないとは言い切れません。
・長野市と松本市の比較では、長野市の方が4月に積雪となる頻度は多い傾向です。
・県の北部や標高の高い山地では、冬に積もった雪が「残雪」として4月まで残るケースもあります。