長野市の「雪事情」とは?【地域ごとに違う雪の量】

自然・気候

こちらでは、長野県の県庁所在地である「長野市」について、その「雪」事情(降る・積もる時期や量など)について、地域ごとの傾向なども含めて解説していきます。なお、解説内容は全て「過去の一般的な傾向」です。

長野地方気象台の「雪」データを見る

長野市の雪について、最も基本的な情報としては気象庁が長野地方気象台で観測している雪に関するデータを確認しておく必要があります。

降雪量最深積雪降雪日数
11月1cm1cm3.6日
12月30cm16cm19.0日
1月63cm26cm24.0日
2月50cm23cm20.1日
3月17cm8cm15.6日
4月2cm1cm3.2日
年間合計163cm33cm85.6日
気象庁の平年データ(2020年まで)による
積雪記録
1位80cm
(1946年12月11日)
2位71cm
(1945年2月26日)
3位70cm
(2014年2月16日)
4位60cm
(1963年1月8日)
5位58cm
(1936年2月5日)
過去の積雪記録(5位まで)

観測を行っている長野地方気象台は、長野市箱清水1丁目に位置し、長野駅周辺の都心部と比べ少しだけ標高が高いほか、やや北側に位置し、山からの距離も近くなっています。

後述する通り、長野市では市内の北寄りほど日本海側からの雪雲が入りやすい環境にありますので、一般的に考えた場合、市街地一帯では「比較的雪が積もりやすい」条件で観測が行われた上でのデータと考えることが出来るでしょう。

いつから降る・積もる?

長野市内で雪が降る・積もる時期を考えた場合、地域により差はありますが、市街地では概ね12月~3月に比較的「雪の頻度」が多くなっています。また、過去のまれな事例を含めて考えた場合、11月~4月までが雪が積もる・降ることがあるシーズンと言えます。

なお、10月の雪は2002年10月末に山間部で降ったことや、5月の雪は1991年5月に唯一長野市街地で観測されたケースがありますが、長期的な傾向として見た場合、ほぼ起こったことがない現象と言えます。

雪の大まかな傾向(長野市中心部を基準とした場合)
11月・舞う程度のケースは毎年のようにある
・積雪は一部山間部を除きかなりまれ
12月・雪が舞ったりすることはごく一般的
・積雪も一般的で、多い年は複数回市街地でも10cm以上の雪が積もる
・雪は大半が「冬型の気圧配置」による
1月・「降る」だけであれば毎日のように観測される時期
・雪が「積もる」ケースもごく一般的
・寒い年はまとまった雪が何度も積もる場合あり
・「南岸低気圧」による雪も増加傾向
2月・「降る」だけであれば毎日のように観測される時期
・雪が「積もる」ケースもごく一般的
・寒い年はまとまった雪が何度も積もる場合あり
・「南岸低気圧」による大雪も比較的見られやすい
3月・雪の頻度は減る
・但し、年によっては複数回積もる場合あり
・「南岸低気圧」による雪の頻度が相対的に増える
4月・舞う程度のケースは毎年のようにある
・積雪は一部山間部を除きかなりまれ
気象庁の平年データ(2020年まで)による

地域ごとに考えた場合も、その傾向は同じですが、戸隠・鬼無里地区をはじめ山間部の標高が高い地域では11月・4月に雪が降る・積もる頻度が市街地と比べ多い傾向にあるため、「雪のシーズン」がより長いと言えるでしょう。

長野市内は市街地であっても標高は400m前後の場所が多く、東京などと比べると「標高が高い」地域です。標高が高ければ一般的に気温は下がる傾向にありますので、「何かが降る」際に「雪」で降る可能性が高くなります。

そのため、秋の後半や春の前半など、平地では余り雪が降らない時期も含め、場合によっては雪が降る・積もることがあるという点を念頭に置く必要があると言えるでしょう。

どのくらい降る・積もる?地域ごとの傾向は?

長野市内で雪が積もる場合の「量」について考えた場合、降る「時期」も重要ですが、とりわけ市内の「地域ごとの差」がかなり大きくなると言えます。

あくまでも一般的な傾向として、地域ごとの「雪の量」の傾向、差をまとめた場合、下記のような形になります。

なお、これら傾向は過去の全ての事例で同じとは限りません。その時の気象状況により雪の量が「逆転」する場合もありますので、その点はご留意下さい。

長野市街地周辺(長野管区)・市街地一帯は、概ね浅川や若槻など北側ほど雪が増えやすい
・逆に安茂里や芹田など南側ほど雪は減りやすい傾向
・長野市中心部は山間部よりは大幅に雪が少ないものの、市内で最も少ない訳ではない
・小田切、芋井、浅川、若槻方面などの山間部では雪の量が一気に増える傾向
篠ノ井・川中島・更北地区・平地の場合長野市中心部より雪が少ない傾向
・あくまでも長野市中心部との比較のため「積もらない」訳ではない
松代地区・平地の場合長野市内では特に雪が少ない傾向
・日本海側からの雪雲が入りにくい地域
・あくまでも長野市内での比較のため「積もらない」訳ではない
若穂地区・平地の場合雪が特別に多い地域ではない
・但し、松代方面など市内のより南側よりは雪が多い場合あり
豊野地区・積雪は長野市街地中心部より多い傾向
・日本海側寄りのため雪雲が入りやすい
戸隠・鬼無里地区・市内で最も雪が多い「豪雪地」
・日本海側からの雪雲が次々に入りやすい環境
・市街地とは比べ物にならない「メートル単位」の雪が積もる場合あり
信州新町・中条七二会地区・市街地と比べ雪が多い場合あり
・標高が高い地域では積雪がかなり多い傾向
・但し、戸隠方面ほどの雪ではない
大岡・信更地区・気温がかなり低く、雪が降れば積もりやすい
・戸隠方面と比べると、日本海側からの雪雲は入りにくい
長野市の大まかな範囲・雪の量のイメージ図
出典:地理院地図(一部当サイトにより作図)

雪は気温の低さも大きな要因ですが、長野市の場合「日本海側からの雪雲」が入りやすい場所かどうか。がそれ以上に大きな要因となっています。

市内では概ね「北」か「西」へ行くほどに、日本海側からの雪雲が入りやすい環境にあり、逆に「南」や「東」側はその影響を比較的受けにくい傾向です。

そのため、必ずしも「長野市中心部(都心部)」が最も雪が少ない訳ではなく、より南側に位置する松代方面の市街地の方が、より雪が少なくなっているケースも多々見られます。

なお、平地・市街地ではなく山間部の場合は状況は大きく異なります。例えば市内で最も南東側にあたるエリアは菅平高原へ向かう道路が通っていますが、標高が高くなるにつれて雪の量はどんどん増えるため、冬場は通行止めとなっている区間があります。

雪が降るパターン(気圧配置)は?

長野市で雪が降る・積もる条件となる気圧配置は、通常「冬型の気圧配置」・「南岸低気圧」の2種類です。まれにこれ以外のケースもありますが、ほぼこのどちらかに該当する形となっています。

冬型の気圧配置・市内の北側、西側ほど雪雲が入りやすい
・北寄りの風が特に強いような場合に、長野市街地でも大雪となる
・風向きによっては山地も含め「全く降らない」ようなケースあり
・市中心部の「大雪」事例は、南岸低気圧よりも冬型の気圧配置の方がやや多い
南岸低気圧・寒気があって低気圧が発達するようなケースでは、大雪をもたらしやすい
・2014年の大雪など、まれに記録的な積雪をもたらす
・東京などは雨でも長野では雪のケースも多い
・但し、標高の関係上、長野で雨やみぞれで松本が雪のケースも
・太平洋側から離れているため「雪雲」が届かないケースも多い

長野市の気象台のある中心市街地周辺で見た場合、雪が降る・積もるケースは「冬型の気圧配置」による部分が大きくなっています。

長野市街地で大雪が降った日の天気図の一例(2016年1月20日)
出典:気象庁「日々の天気図」(https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/hibiten/index.html)

冬型の気圧配置は「風向き」・「風の強さ」さえ条件が合えば寒気が流れ込むたびに雪を降らせやすいため、冬の間に何度も(10回程度では済まないくらいに)積雪をもたらすことが多くなっています。

一方で、南岸低気圧はそう何度も繰り返し通過するケースは多くなく、一冬に多くて数回程度雪をもたらしますが、影響をあまり受けない年もあります。長野は緯度的にやや北側に位置するため、仮に甲府や東京で何かが降っていても、長野までその雲が掛からないケースも多くなっています。

なお、市内でも「冬型の気圧配置」による雪は北側または西側ほど多いため、逆に松代など南側の地域は、相対的に「南岸低気圧」による雪のイメージが大きくなりやすいかもしれません。

ポイント・まとめ

【長野地方気象台の雪データ】
年間平均降雪量「163cm」・年間平均最深積雪「33cm」・年間平均降雪日数「85.6日」
【降る時期】
12月~3月に一般的・11月や4月にも見られる場合あり
【降る量】
地域差大・戸隠など北西側の山間部は豪雪地・市街地は「北ほど多く南ほど少ない」傾向
【降る気圧配置】
冬型の気圧配置と南岸低気圧が基本・市内の北側ほど冬型の気圧配置の影響大