北海道の道都「札幌市」を象徴する花(樹木)として一般的に知られている「ライラック」。
こちちらでは、その花・樹木としての基礎知識、札幌市内における位置づけや名所・見頃などをまとめて解説していきます。
ライラックの基礎知識
和名 | ムラサキハシドイ |
漢字表記 | 紫丁香花 |
学名 | Syringa vulgaris |
分類 | 植物界-被子植物門-双子葉植物綱-モクセイ目-モクセイ科-ハシドイ属-ライラック(種) |
生育地域・環境 | ・原産地はヨーロッパ南部 ・日本国内では「園芸用」として持ち込まれたものが利用 ・主に北海道、札幌市内で見られる ・一部本州以南でも園芸用として植えられている場合あり ・寒冷地で主に生育する |
構造・特徴 | ・落葉低木 ・樹高1~6m程度 ・小さな花が多数集まって房状(円錐花序)に咲く |
花の色 | 紫色・白色・淡い桃色・淡い紫色・赤色・青色など様々 |
ライラックは、ヨーロッパ原産の落葉低木で、様々な色合いの美しい花を咲かせることから「園芸用」として広く用いられています。
日本国内では元々自生していたものではないため、全てが外来種として持ち込まれたもので、それが札幌では一般的な存在として広く普及した形になっています。
一般に寒冷な環境に適しており、気温が高い環境では生育しにくいため、国内では北海道内・札幌市内など気温が比較的冷涼な地域で主に利用されています。
花は紫を中心に様々色合いの小さな花が多数まとまって咲くことが特徴で、満開となる時期には大変華やかな風景を生み出します。
また、香りが良いことでも知られ、海外を中心に「香水」の原料として用いられる場合もあります。
見頃はいつ?
開花時期 | 5月中旬~6月中旬(場所によって異なる) |
最大の見頃 | 5月下旬頃 |
ライラックの見頃は、北海道・札幌では概ね5月下旬頃が最大の見頃であり、場所によってやや早い時期・やや遅い時期にかけて開花する形になっています。
開花の状況は、開花する場所の環境に加え、その年の気象状況も大きく関わるため、ライラックの「お花見」に訪れる場合は公園などが発信している「開花情報」なども確認した上で訪れるのが無難です。
次項で解説する「札幌市内の名所」の場合、中央区の公園など都心部でやや開花が早く、郊外の公園でやや開花が遅い傾向が見られます。
札幌市・北海道内の「名所」はどこ?
札幌市内 | その他北海道内 | |
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主な名所 | 川下公園(白石区) 大通公園(中央区) 創成川公園(中央区) 中島公園(中央区) 百合が原公園(北区) 前田森林公園(手稲区) | オホーツク・リラ街道(湧別町) |
ライラックは、北海道内の中では、主に札幌市内に集中して植えられている樹木です。
札幌市内では都心に近いエリアの大規模な公園に名所が多く、白石区の川下公園は「全国随一のライラックの名所」と呼んで差し支えない規模で、世界各地から集められた200種類以上の多種多様なライラックが園内で華麗に咲き誇ります。
また、札幌駅・大通駅から徒歩圏にある大通公園・創成川公園もライラックが多く見られ、札幌観光の折などに気軽にライラックのある風景に親しんで頂けます。
札幌市外・その他北海道内については、自生する植物ではないこともあり、ライラックの名所は余り見られませんが、湧別町のオホーツク・リラ街道では、比較的長い距離に渡り街路樹としてライラックが植えられており、ドライブ途中などに通るのがおすすめのスポットとなっています。
札幌市とライラック
ライラックは、一般的に一つの「札幌の象徴」として取り扱われる存在です。札幌市は1960年に人口50万人越え・ポートランド市との姉妹都市提携を記念し「市の木」としてライラックを指定しています。
札幌におけるライラックは、明治時代に北星学園の創立者であるサラ・C・スミス女史が1890年頃に海外から持ち込んだのがそのルーツとされています。
現在その「最古」のライラックにルーツを持つものは、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター耕地圏ステーション植物園にあり、北星学園にあったものは一度失われたのち、1994年に北大のものを一部移植する形で保存がなされています。
札幌市内では「さっぽろライラックまつり」と呼ばれる大規模イベントも市などが主体になって行われており、こちらは毎年ライラックが開花する5月中旬~下旬頃にかけての期間、様々な文化イベント・参加型イベントが行われるもので、観光客のみならず「市民」のお祭りとして開かれた存在になっています。
また、JR北海道の「看板特急列車」の一つである札幌~旭川間を結ぶ列車の一部にも「ライラック」の名称が付けられています。