高知市・高知県の「雪事情」とは？

こちらでは、一般に「南国」と呼ばれることも多い四国の南部に位置する高知市・高知県について、冬の雪の降る頻度や量など「雪事情」を解説していきます。

高知県内は、一般に雪が多い地域とは言えませんが、地域による差が大きいことも特徴で、高知市のように雪が極めてまれな地域もあれば、梼原方面のように大雪が時折見られる地域も存在します。

降雪・積雪ともにまれな「高知市」

高知市の平地は、その「雪事情」を考えた場合、国内の県庁所在地で見た場合、総合的には宮崎市・静岡市に次いで雪が少ない地域と言えます。

雪は積もらない年の方が多く、平成以降の年ごとに見ると、1989～2022年までの34年間で、ごくうっすらも含め雪が積もったことがある年は、合計13年。この数字は、宮崎・静岡と比べればずいぶん多いものの、西日本の雪が少ないとされる他地域と比べても少なくなっており（和歌山・大阪・神戸など）、全国の中では屈指の雪の少なさとなっています。

高知市で雪が少ない理由は、それほど難しい理由はなく、周辺地域の中でも日本海・対馬海峡・伊予灘といった雪雲が発生する場合がある地域からの距離が特に遠いことがその理由です。

後述するように、極端に強い「冬型の気圧配置」で雪雲の塊が半ば「無理やり」高知方面まで流れ込むようなケースを除き、高知市街地まで雪雲が入るようなケースはほぼなく、雪が積もるのみならず「舞う」ことも含めそれほど多くありません。

高知市で大雪になったケースは？

	積雪記録
1位	14cm（2022年12月23日） ※明治以降の観測史上最大
2位	9cm（2005年12月18日）
3位	6cm（2005年2月1日）
4位	5cm（2005年12月22日）

過去に高知市で大雪となったケースを見ると、2022年12月の記録的大雪を除くと、2005年に集中しています。この年は、西日本へ雪をもたらす記録的な寒波が多かった年で、結果として高知市では「雪の当たり年」となりました。

積雪となったいずれのケースも、単に寒気が流れ込むだけではなく、ほぼ全てで等圧線の間隔がかなり狭い「強い冬型の気圧配置」となっていることが基本で、雪雲が高知方面まで流れ込んで来る「勢い」をもたらすだけの「強い風」があった日に雪が積もっています。

また、寒気が非常に強い上に、上空に一時的に湿った空気が入るような場合、通常雪雲が余り発達しない瀬戸内海～伊予灘方面で雪雲が急に発生する場合があります。その雲は四国山地にぶつかって急発達し、山沿いで特に大雪を降らせますが、その一部が高知市まで入り込むことで、雪が積もる状況を引き起こす形も見られます。

いずれにせよ、「並みの冬型の気圧配置」では高知市街地で雪が積もることはほぼなく、大雪となるケースは日本海側も含めた各地で大雪・まれに見る厳しい寒さをもたらすような「大寒波」の際に事実上限られるのが高知市の「雪事情」となっています。

高知県内各地の「雪事情」は？

高知市だけではなく、「高知県内」全体の「雪事情」を見た場合、非常に大まかには下記のような形にまとめられます。なお、あくまでも「過去の一般的な傾向」を示したものとなります。

高幡地域	・海から遠い山間部へ行くほど雪の頻度が一気に増える ・梼原町は四国で最も雪が多い地域の一つで、まれに30cm～50cm以上の大雪も ・須崎市街地など沿岸部では雪はかなりまれ
幡多地域	・平地の雪はまれ ・但し宿毛方面を中心に、高知市と比べると積雪の頻度はやや多い傾向 ・海から離れた山間部は時折雪が積もることがある地域
嶺北地域	・標高が高い山間部のため、積雪となるケースも珍しくない地域 ・大雪は「南岸低気圧」で降る場合が目立つ
物部川地域	・一般に高知市同様に雪が少ない傾向の地域 ・大栃方面など山沿いの地域も、嶺北方面と比べると雪は明らかに少ない傾向
仁淀川地域	・海沿いの地域は雪はまれ ・仁淀川町は雪が珍しくない地域、時に大雪も
安芸地域	・平地の場合、高知市以上に雪が降りにくい傾向も ・山間部もごく一部を除き、雪は珍しい環境

高知県内は、沿岸部ではほぼ全域で雪が極めてまれな傾向と言えますが、嶺北地域・梼原町・仁淀川町は環境が全く異なり、雪が比較的降りやすい・積もりやすい地域です。

気温が低いため冬のスタッドレスタイヤが当たり前の地域もあるなど、県内全体を「南国」のイメージで捉えることは適切ではありません。

【高知市・高知県の雪事情】ポイント・まとめ