こちらでは、九州の北部に位置する「佐賀県」について、冬の「雪」が降る・積もる頻度や傾向など、その「雪事情」を解説していきます。なお、解説する内容は全て「過去の一般的な傾向」です。
佐賀県は、雪が少ない九州に位置するため、決して積雪が目立つような地域ではありませんが、ほぼ毎年1回は積雪を観測しているなど、九州の中では比較的雪が見られやすい地域と言えます。
九州の中では雪化粧しやすい「佐賀市」
佐賀県の県庁所在地である「佐賀市」は、あくまでも温暖な九州地方に位置するため、決して雪がよく降る・よく積もる地域ではありません。
一方で、雪が少ない九州の県庁所在地の中で見た場合、積雪の頻度は「その中では」最も多い地域と言えます。
観測地点名 | 平年年間降雪量 (cm) | 平年年間最深積雪 (cm) | 平年年間降雪日数 | 過去最大の積雪深 (cm) |
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佐賀 | 4 | 3 | 22.2 | 21(1959/1/17) |
【参考】福岡 | 2 | 2 | 15.6 | 30(1917/12/30) |
佐賀市 | 福岡市 | 長崎市 | 大分市 | 熊本市 | 鹿児島市 | 宮崎市 | |
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1cm以上の積雪日数 | 52日/21年 | 32日/21年 | 39日/21年 | 4日/21年 | 17日/21年 | 24日/21年 | 1日/21年 |
上記の表は、2001年~2022年の間で見た場合に、「1cm以上」の積雪が「何日」観測されたかを見たものですが、佐賀市は21年間で計52日(平均で年間2.5日程度)と、九州の中では最も多くなっています。
大分や宮崎のように、ほとんど雪が積もらない地域のみならず、福岡や長崎といった周辺地域と比べても佐賀の積雪頻度は多めであり、あくまでも平地では「まれ」ながら、九州の中では積雪の頻度がやや多い地域と言えます。
雪の頻度がやや増える理由としては、対馬海峡からの雪雲が比較的入りやすい(筑紫山地にぶつかって少しだけ雪雲がまとまる)という点もありますが、過去の事例を見る限り、筑紫山地があるため海からの季節風を直接受けにくい「佐賀市の気温」が九州の平地では比較的低くなりやすい点も大きく関わっていると考えられます。
なお、市内で見た場合「北側」ほど雪が多く、「南側」ほど雪が少ない傾向が見られます。山間部の雪は「まれ」ではなく、「珍しくない」上に「まとまった雪」もある環境ですので、差が大きい点には注意が必要です。
大雪はむしろ少ない「佐賀市」
他方で、佐賀市の平地は積雪が例えば「10cm以上」となるような「大雪」の頻度で見た場合、他の地域と比べ少なくなっています。
佐賀市(気象台)では、平成以降に10cm以上の積雪を観測したことは1度もなく、最も多い2021・2010年の積雪でも「8cm」に留まっています。
佐賀市 | 福岡市 | 長崎市 | 大分市 | 熊本市 | 鹿児島市 | 宮崎市 | |
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10cm以上の積雪回数 | 0回 | 2回 | 4回 | 1回 | 0回 | 3回 | 0回 |
一方で、鹿児島は平成以降3回(とりわけ2011年1月1日の25cm)、長崎も平成以降4回(とりわけ2016年1月24日の17cm)大雪となるなど、佐賀市よりもはるかに多い積雪を観測した地点は存在し、「積雪の頻度」と「大雪の頻度」には何の関係も見られない状況となっています。
大雪が鹿児島・長崎と比べ見られない理由としては、雪雲が流れ込む場合に「海上」を通る距離(雲が発達することが出来る時間)が短くなることなどから、雪雲の「強さ」が抑えられる傾向があり、鹿児島や長崎ほどの「降水量=降雪量」をもたらしにくいという点が大きな要因として挙げられます。
一方で、雪雲自体は流れ込むことがあり、かつ気温は他の地域よりも低めのため、「わずかに降って、わずかに積もる」ケースは佐賀市の平地が多くなり、これが「積雪頻度」と「大雪頻度」が関係ない状況を引き起こしているものと考えられます。
県内各地の「雪事情」は?
佐賀市のみならず、佐賀県全体の「雪事情」をごく簡単にまとめると、下記のような形になります。なお、あくまでも過去も一般的な傾向となります。
北部平地・海沿い | ・福岡に比較的近い気候 ・雪は積もることもあるが、佐賀市より更に少ない傾向 |
筑紫山地一帯 | ・天山周辺や佐賀市の三瀬、神崎市の脊振方面など標高が高い地域は積雪が珍しくない環境 ・筑紫山地にぶつかって雪雲が一時的に発達するため、10cm以上の大雪となるケースも ・九州全体で見ても「雪が多い地域」の一つ |
南部 | ・前述の通り、佐賀市は九州の県庁所在地では最も雪が積もる頻度が多い ・佐賀市以外の地域も多くは佐賀市に比較的似た環境 ・但し、有明海沿岸の一部などは雪がより少ない傾向 |
佐賀県内で見た場合、平地の雪は南部の佐賀市などが最も頻度が多めで、北部の唐津市なども積もるケースはあるものの、どちらかと言えば福岡寄りの気候と、やや頻度は減る傾向にあると言えます。
また、雪雲はそれほど強まらないまま対馬海峡から流れ込む傾向があるとは言え、標高が高い筑紫山地一帯では、局地的に雪雲が発達し、佐賀市などと比べ明らかにまとまった雪が降るケースがあります。気温が低いため雪が積もる頻度も一気に増え、寒い年はまとまった雪が複数回積もることもあるなど、この地域は九州でも雪が特に多い地域と言えるでしょう。
【佐賀県・佐賀市の雪事情】ポイント・まとめ
・佐賀市は「雪が少ない」九州の県庁所在地の中では、「最も雪が積もる頻度が多い」都市です。
・但し、佐賀市は長崎市や鹿児島市と比べ「大雪」となるケースは明らかに少なく、「積雪頻度」と「大雪頻度」は関係が見られません。
・県内で見ると、筑紫山地一帯は積雪が珍しくない地域で、九州全体で見ても「雪が多い地域」となっています。