沖縄では「干ばつ・水不足」が起こることがある?気候の特性・土地条件について解説

雪・気候

沖縄というと、一般的に南の暑い地域・台風や雨も多い地域というイメージが持たれることも多いですが、その気候を見て行くと、それぞれの年ごとに差が大きく、歴史を振り返ると「干ばつ」・「水不足」といったキーワードも多く見られる地域です。

こちらでは、沖縄県における「干ばつ」・「水不足」の状況について、過去のデータなどを見ながら見て行きたいと思います。

極端な差が生じる場合もある「降水量」

沖縄県は、一般に湿った空気に包まれて「雨が多い」イメージが持たれがちです。そのイメージは、確かに「平均値」として見れば、那覇などの年間降水量は、東京や大阪を大幅に上回っていますので、それほど間違っているとは言えません。

しかしながら、雨の量というものは、常に一定に降るものではなく、その年の気象状況などに応じ、大きく変動するものです。

那覇における6~8月降水量の水位(気象庁のデータによる)
与那国島における6~8月降水量の推移(気象庁のデータによる)

上記のグラフは、那覇(上段)・与那国島(下段)について、データが残る時期について「夏(6~8月)」の降水量を年ごとに見たものです。

グラフからも一目で分かるように、夏の雨量は年によって大きな差が見られます。

那覇の場合、多い年は1,000mmを上回り、近年では1,300mm以上とかなりの雨量となっている年もある一方、少ない年は300mm台以下となっている場合もあり、多い年と少ない年には最大3~5倍程度の差が生じています。

与那国島の場合、那覇と比べ雨量は全体的に少な目ですが、多い年では800mm以上(過去2回は1,000mm以上)の年もある一方、最も少ない年では200mmを下回っており、1か月の雨量で換算すれば60mmを下回っているような極端に雨が少ない年も見られます。

雨が少ない年は、大まかに言えば「太平洋高気圧」にしっかり覆われ、前線や低気圧・台風の影響を受けにくく、湿った空気によるゲリラ的豪雨も少ない状況が続く年であり、海に囲まれた沖縄であっても、そういった天候が続くことはあります。

また、雨量の差は夏に限った話ではなく、春・秋・冬にも起こり得るものです。事例は少ないものの、過去には長期間雨が少ない状況が続き、10か月以上の断水が行われたようなケースもあります。

一部では「台風頼み」の側面も

沖縄県における気候は、夏から秋にかけて「台風」の影響を受けやすく、暴風などによる被害がこれまで多く発生してきた歴史を持ちます。

台風は一般に生活に大きな影響を与えるため、当然ながら決して喜ばしい存在ではありませんが、「水資源」として見た場合、その年の状況次第では「恵みの雨」となる場合も時には見られます。

そもそも、沖縄県に降る雨の量について「台風の影響」を全て除外した場合、その量は大幅に減ってしまいます。よく晴れる状況が続く場合、例外的にまとまった雨となるケースは「台風」くらいであった。というケースもあるため、一概に台風=悪と決めつけられるほど状況は単純ではありません。

過去(戦後)の主な「水不足(干ばつ)」

1963年・観測史上唯一那覇の年間降水量が「1000mm未満」となった年
・沖縄県全域で雨量が非常に少ない状況となる
・農作物に甚大な被害、生活用水も不足し春以降12月まで給水制限が実施
・日本本土(当時の沖縄はアメリカ軍の占領下)から船で水が運ばれる支援も
1971年・宮古島、石垣島地方を中心に干ばつになり、農業に壊滅的な被害
・3~8月にかけてまとまった雨がない状況が続き、月間雨量が10mm未満のケースも
1977年・春に雨が非常に少なく、農業用水や生活用水の不足が生じる
1981~82年・81年の梅雨時から翌年春にかけて続いた非常に長期間の水不足
・延べ300日以上に渡る断水が実施され、国内でも類を見ない状況に
・自衛隊機による「人工降雨」も試みられるも、大きな効果なし
2014年・与那国島で6~10月にかけて雨が非常に少なく、干ばつによる農業被害が発生
・沖縄本島などの雨は特段少ない状況は見られず

沖縄県で発生した水不足(干ばつ)について、戦後の主な事例を見ると上記のような事例が挙げられます。とりわけ1963年・1981~82年は雨が極めて少なく、農業・日常生活などに大きな影響が生じました。

なお、過去は雨が比較的降った年でも、雨が少ない期間があればすぐに水不足となる事例が目立ち、毎年のように断水・給水制限が設けられていた時期もありましたが、平成以降は「ダム」などの整備により以前より水資源をコントロールしやすくなったことで、それまでのような断水・給水制限が頻繁に発生する状況は見られにくくなっています。

水が不足しやすい「地理的条件」も?

沖縄県の「水」事情は、もちろん「雨量の差が激しい」という点が水不足の発生に大きな影響を及ぼしていることに違いありませんが、沖縄特有の「地理的条件」が水が不足しやすい環境につながっていた側面も大きくなっています。

山地が少ない降った雨を地中に蓄える機能に乏しく、雨の多さが水資源の多さに直結しにくい
川が短い・小さい降った雨はすぐに海に流れ出てしまい、利用しづらい
大きな河川がなく、水資源を効率的に使用できる環境にない
人口が多い沖縄本島の場合、その地理的なスケールに対し、比較的人口が多く密度の高い都市となっていることが、戦後の水不足の要因となった可能性も

沖縄県の場合、海に囲まれており、海から「10km以上離れた場所」は事実上存在しません。降った雨がいくら多くても、小さな川を流れてすぐに海に流出してしまう状況があり、山地も少ないため、水をしっかり蓄える機能も限定されてきました。

そのような中で、戦後沖縄の人口は急増・本島中南部は日本屈指の人口密度を持つ都市圏に成長し、昭和の中頃などは、結果として毎年のように断水・給水制限が発生する事態となりました。

なお、このような条件を克服するために昭和以降「ダム」が多数整備されました。ダムがなければすぐに流れ出てしまう水も、ダムで人工的にせき止めることによって、雨が少なくなってもある程度の期間は耐えることが可能です。

ダム整備の結果として、平成以降は極端な水不足は見られにくくなっていますが、上記のような地理的な条件自体が変化したわけではなく、今後も水不足が生じないと断言できるわけではありません。

ポイント・まとめ

・沖縄県は一般に「雨が多い」イメージを持たれることもありますが、雨は年ごとの差も大きく、実際には「水不足・干ばつ」が歴史的に多く見られた地域です。
夏の雨量を見ると、多い年では1,000mm以上のケースもあれば、少ない年では200mmに満たないケースもあるなど、状況には大きな差が見られます。
・戦後では1963年や1981~82年などを筆頭に何度も水不足となり、1年近くに渡り生活用水などに制限が設けられたケースもありますが、ダム整備により状況は変化しています。
・沖縄県の水不足は単に雨量の問題だけではなく、「山が少ない・川が短い(小さい)」地理的条件が非常に大きな影響を及ぼしているほか、戦後に人口が急増し中南部は密度の高い都市となったことも一つの遠因と言えます。