こちらでは、島根県内で「最も暑い場所」はどこか(平均気温・最高気温)?過去最高気温はどこで観測されたのか?「暑くなりやすい」特徴を持つ地域はどんな場所か?といった内容を、気象データを基になるべくシンプルに解説していきます。
平均気温の高さ・熱帯夜の多さでは「松江」が最も暑い
平均気温 | 平均最高気温 | 平均最低気温 | 真夏日日数 | 猛暑日日数 | 熱帯夜日数 | |
---|---|---|---|---|---|---|
7月 | 25.8℃ | 29.8℃ | 22.8℃ | 16.5日 | 1.2日 | 5.1日 |
8月 | 27.1℃ | 31.6℃ | 23.8℃ | 21.8日 | 4.7日 | 9.4日 |
島根県内の気象庁の観測地点の中で、夏の平均気温が最も高い場所は「松江地方気象台」の観測地点です。
松江市は、決して大都市ではありませんが、人口20万人程度と島根県内では「都市化」が最も進んだ地域となっているため、他の地域と比べると気温が上がりやすい傾向があります。
特に朝晩の気温低下が抑えられることから、1日を通した「平均気温」では最も高い気温となる場合が多くなります。
最低気温が25℃以上となる「熱帯夜」の日数は、年間平均15日程度と県内で最も多く、「寝苦しい夜」となることも少なくありません。
昼間の暑さ・猛暑の多さでは「津和野」が最も暑い
平均気温 | 平均最高気温 | 平均最低気温 | 真夏日日数 | 猛暑日日数 | 熱帯夜日数 | |
---|---|---|---|---|---|---|
7月 | 25.5℃ | 30.8℃ | 21.5℃ | 19.5日 | 3.0日 | 1.3日 |
8月 | 26.3℃ | 32.2℃ | 22.1℃ | 23.9日 | 5.8日 | 1.9日 |
暑さについて、「昼間の暑さ」のみで見た場合、最も気温が上がりやすい気象庁の観測地点は「津和野」です。
津和野地域は山に囲まれた地形で熱が溜まりやすく、南側には分厚い「中国山地」の山々が、広島方面にかけて幾重にもそびえています。中国山地を越えて南風・南東の風が吹き込む場合、乾いた空気が温度を上げながら津和野へと吹き込む形で「フェーン現象」と呼ばれるものが発生し、結果として気温が急上昇する場合があります。
猛暑日・真夏日の日数ともに、津和野は県内の観測地点では最も多くなっており、昼間は松江よりも更に暑い地域と言えるでしょう。
島根県内の過去最高気温は?
地点 | 観測気温 | 観測日 | |
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1位 | 益田 | 39.3℃ | 2017年8月6日 |
2位 | 太田 | 39.2℃ | 2021年8月6日 |
3位 | 松江 浜田 | 38.5℃ | 1994年8月1日 2017年8月6日 |
島根県内で気象庁が観測した気温で、これまで最も高かったのは松江でも津和野でもなく「益田」の観測地点で、2017年8月6日に39.3℃を記録しています。また、次いで「太田」の観測地点でも39.2℃の記録があります。
益田・太田の市街地は後ほど述べるように、海に近いもののやや内陸側にあり、津和野と似たような形で気温が上がる地域となっています。
いずれの観測日も台風や熱帯低気圧が四国・九州沖に位置し、強い南寄りの風が山を越えて吹きこむ条件で、乾いた風が山を吹き下ろす「フェーン現象」が発生しています。
暑くなりやすい場所・涼しい場所の特徴は?
平均気温が最も高い地域 | 松江市 出雲平野周辺 |
猛暑日が特に多い地域 | 津和野町・太田市・益田市など |
昼間やや涼しい平地 | 隠岐諸島一帯 日本海沿岸部(浜田市街地・江津市街地など) 標高が高い(概ね400m以上)の中国山地一帯 |
朝晩涼しい地域 | 山間部・内陸部の広い範囲 |
全体的に涼しい地域 | 標高が高い(概ね400m以上)山地 |
島根県内全体の「暑さ」を見た場合、暑さの状況は概ね上記のような区分に分けられます。
平地の中では、松江市・出雲市一帯(出雲平野周辺)は、都市化も進んでいる地域が多く、朝晩の気温が下がりにくいため平均気温が高くなりますが、例えば浜田市街地・江津市街地のように、日本海沿岸に位置し、海からの風を直接受けやすい場合は昼間の暑さがいくぶんか抑えられます。
但し、少し内陸へ行くと海からの風は弱まり、気温は一気に上がるため、険しい中国山地を南側・東側に持つ益田市街地や太田市街地などでは津和野と同様に「フェーン現象」などの影響で気温が上がりやすく、厳しい暑さを感じやすい状況です。
なお、県内でも本州側ではない「隠岐諸島」は海に囲まれた離島であり、1日の気温差が小さいことが特徴です。昼間は県内の海沿い・平地では最も涼しい一方、朝晩は比較的気温が高く、離島特有の気候を持っています。
内陸部・山間部では、標高がそれほど高くなく、地形面での特徴を持つ津和野のように猛暑となりやすい場所もあり、昼間の気温で見ると標高が高い場所(概ね400m以上が目安)でない限り、さほど涼しい環境ではありません。
津和野よりも標高が高い(300m台)の奥出雲町横田、邑南町瑞穂なども、年平均30日~40日程度も真夏日を観測する状況で、昼間の暑さは平地との違いが小さくなります。但し、朝晩の気温はしっかり下がるため「20℃以下」を観測する場合が多く、寝苦しさとはほぼ無縁の地域とも言えるでしょう。