沖縄県と言えば、一般的なイメージの面からも、実際の気象データの面からも国内では「最も温暖」な地域の一つとなっています。
一方で「冬の沖縄」については、気温が高いことには違いないものの、人によっては「寒い」と言う場合もあるなど、必ずしもポカポカしたイメージだけで説明できるような季節とは言えません。
こちらでは、沖縄の冬について「寒い」のか?「寒さ」はどのくらいか?どういう「寒さ」なのか?といったテーマから解説していきたいと思います。
「肌寒さ」を感じることはあり得る
沖縄県は、冬の気温は日本国内でも非常に温暖な地域です。
例えば冬の平均気温は那覇であれば17.9℃(12~2月)、これは東京の平均気温6.4℃と比べれば、11.5℃も高くなっており、全く違う世界であることがデータの上からも明らかです。
沖縄というと夏の蒸し暑さのイメージがありますが、実際のところ、各地との平均気温の差は夏場は大きくなく、最も差が広がるのは冬のシーズンとなっています。
但し、いくら温暖といっても「寒さ」というものは比較対象というよりは「絶対的」なものですので、沖縄であっても「寒さを感じない」というのは明らかに言い過ぎです。
2022年冬 | 2021年冬 | 2020年冬 | 2019年冬 | 2018年冬 | |
---|---|---|---|---|---|
12月 | 12.5 | 10.6 | 14.9 | 13.2 | 13.1 |
1月 | 11.7 | 9.7 | 12.5 | 12.0 | 9.3 |
2月 | 12.2 | 11.1 | 11.8 | 12.2 | 9.6 |
気象庁の観測データによる
例えば、一つの例として2022年~2018年の間の5年間について、冬の各月ごとに観測された最低気温(最も低い数字)を見て行くと、10℃近くまで気温が下がったケースも散見されます。
東京であっても大阪であっても、例えば秋らしさが深まったタイミングで、朝の気温が10℃前後になれば「肌寒さ」を体感する。ということはあるかと思われます。
沖縄は確かに気温は高いものの、そういった意味(本州で言う所の「秋の深まり」を実感するような感覚)で寒さを感じるくらいのことは、十分にある地域です。
地域によってやや気温が異なる
沖縄県の冬は、基本的に「どこであっても」本州各地などと比べれば、比較にならないような温暖さを持つ地域です。一方で、県内の各地を見ると、冬の気温にはやや違いがあることも確かです。
那覇 | 名護 | 奥 | 渡嘉敷 | 久米島 | 宮古島 | 石垣島 | 与那国島 | 南大東 | |
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1月の最高気温 | 19.8 | 19.4 | 17.4 | 17.8 | 19.5 | 20.6 | 21.5 | 20.7 | 21.1 |
1月の最低気温 | 14.9 | 13.7 | 12.7 | 13.8 | 14.6 | 16.3 | 16.7 | 16.6 | 14.6 |
気象庁の平年データ(2020年まで)による
例えば、上記のように1月の最高気温・最低気温の平年値を見てみると、沖縄本島・久米島周辺と比べ、宮古島・八重山地方の気温が高い傾向がはっきりしています。
また、本島周辺で標高がやや高い(200m台)の観測地点である「奥」と「渡嘉敷」の数字は沖縄県内では最も低い水準となっています。
宮古島・八重山地方は、緯度面でも県内ではやや南側にあたり、寒気が流れ込む場合の強さが沖縄本島方面よりも更に弱くなりやすく、結果として気温はやや高めの数字が見られます。
まれに最低気温が10℃程度まで下がり、肌寒さを感じる頻度などは、沖縄本島・久米島周辺などが県内では最も見られやすい状況で、大きな差とまでは言えませんが、寒さの程度にはある程度「地域差」がある点は確認しておきたいポイントと言えるでしょう。
天気が悪いため「ポカポカ陽気」が少ない
沖縄地方は、気温の状況ではなく「天気」という面で見た場合、冬は「曇り・雨」の日が多く「晴れにくい・日照不足」の傾向がかなり強い地域です。
日照不足の傾向は、大東島地方ではやや少な目で、沖縄本島・先島諸島方面と西へ行くほど強くなり、特に与那国島は冬の日本海側よりも晴れにくい場合すらあるなど、天候不順の傾向が顕著です。
いくら温暖な環境で、本州などと比べれば10℃以上高い気温と言っても、「日差し」が少なくどんよりした空が長期間続くような気候となると、春らしい「ポカポカ陽気」と言える状況にはなく、気温の高さの割には暖かさを感じにくい場合が多いと言えます。
季節風が強いため「体感温度」はより低い?
沖縄の冬は、南に位置するため冬らしい天候が少ないと思われがちですが、前述の通り冬はどんよりとした空が広がりやすい上、北寄りの「冬の季節風」がしっかり吹きやすい特徴も持っています。
風の強さは時に強い時には15m/s以上、そうでなくても10m/s前後で吹く場合も多く、例えば関東地方で冬に吹く乾いた季節風よりも、更に強く吹くケースも多くなっています。
一般論として、風が1m/s強まるごとに「体感温度」は1℃下がると言われることが多い(厳密には気温や風速により状況は異なる)ですが、沖縄の場合10m/s以上のの風が吹くこともあるため、実際の気温と比べれば「体感温度」は低く感じやすい場合が多いと言えます。
ポイント・まとめ
・沖縄県の冬は、全国の中では非常に温暖で気温が高いことには違いありません。
・一方で、例えば那覇でもまれに10℃前後の気温を観測することがあるなど、「肌寒さ」程度は感じることがある地域です。
・気温には地域差もあり、宮古島及び八重山地方では気温が高めの傾向が見られます。
・沖縄県の冬は晴れ間が少なく(曇りや雨が多い)、しっかり北寄りの「冬の季節風」が吹く特徴もあるため、気温の割には暖かさを感じにくいとも言えます。