こちらでは、その名の通り大企業の「企業城下町」として発展した日本を有する産業都市である茨城県の「日立市」について、「気候」という点からその全体的な特徴・季節ごとの傾向などを解説していきます。
日立市は東側を太平洋に面する南北に比較的長い自治体で、各種工場や市街地は海沿いの一部に細長くまとまっており、それ以外の地域(市の西部)の多くは山間部となっています。
なお、記事の内容は全て「過去の一般的な傾向」について記述するものです。また、情報は2022年時点の確認状況に基づいております。今後変更となる・状況が変わる可能性もありますので、その点はご留意下さい。
【日立市】全体的な気候の特徴
全体的に、比較的穏やかな気候と言えます。
「冬によく晴れ乾燥」・「秋に最も雨が多い」といった関東地方の多くの地域で見られる一般的な気候の特徴を持ちます。
市街地一帯は海沿いということもあり「緯度」の割には「年間を通して温暖(気温差がやや小さい)」な傾向があり、冬はそれほど寒くない一方、夏もそれほど暑くならない環境です。
山間部・内陸部は沿岸部のような「海」からの気候的影響が小さくなり、気温差がやや大きい気候となります。また、雨の量も増える場合があります。
東北に影響を及ぼしやすい冷たい東寄りの風「やませ」の影響を、関東では比較的受けやすい地域の一つとなっています。
【日立市】基本の気象データ・観測の状況

降水量 (mm) | 平均気温 (℃) | 最高気温 (℃) | 最低気温 (℃) | 風速 (m/s) | 日照時間 (h) | |
---|---|---|---|---|---|---|
1月 | 56.4 | 4.6 | 9.1 | 0.2 | 2.3 | 200.0 |
2月 | 52.4 | 4.8 | 9.2 | 0.4 | 2.3 | 184.9 |
3月 | 107.4 | 7.5 | 11.8 | 3.1 | 2.4 | 187.7 |
4月 | 131.4 | 12.1 | 16.3 | 7.8 | 2.4 | 189.5 |
5月 | 164.2 | 16.3 | 20.2 | 12.6 | 2.1 | 181.4 |
6月 | 159.8 | 19.6 | 23.0 | 16.6 | 1.8 | 136.3 |
7月 | 162.6 | 23.4 | 26.9 | 20.6 | 1.8 | 153.7 |
8月 | 125.4 | 25.0 | 28.5 | 22.3 | 1.9 | 179.2 |
9月 | 179.1 | 22.0 | 25.6 | 19.1 | 2.0 | 138.2 |
10月 | 188.5 | 17.1 | 20.8 | 13.6 | 1.9 | 144.1 |
11月 | 78.8 | 12.1 | 16.3 | 8.0 | 1.9 | 161.1 |
12月 | 49.8 | 7.2 | 11.5 | 2.8 | 2.2 | 186.6 |
年 | 1455.7 | 14.3 | 18.3 | 10.6 | 2.1 | 2046.8 |
日立市内では、気象庁による観測は「日立」アメダスの一か所のみで行われています。
また、日立市は地方自治体としては異例の存在として「日立市天気相談所」と呼ばれる独自の気象部門の組織を運営しており、市内の気象予報を独自に発表しているほか、市内各地で気象観測も行っており、最新のデータ・過去のデータともに詳細を確認できるようになっています(リンク:日立市天気相談所)。
一方で、国土交通省または茨城県により複数の地点で、別途雨量の観測が行われており(日立港湾ほか)、最新のデータを確認することが可能です(リンク:茨城県河川情報システム・川の防災情報-国土交通省)。
【日立市】季節ごとの気候
日立市「春の気候」
・海沿いでは「寒さ」はそれほど感じない状況で、全体的には比較的温暖です。
・但し、海沿いの昼間の気温は関東の内陸側と比べ上がりにくい傾向です。
・内陸、山間部では遅い時期まで冷え込みやすい環境となっています。
・天気は周期的に変わります。
・1年の中では最も晴れる時間(日照時間)が長い時期です。
・雨量は比較的多く、5月の平年降水量は9月・10月に次いで1年で3番目に多く(日立アメダス)なっています。
・海沿いの湿度は比較的高く、関東平野ほどの「乾燥」は感じない地域と言えるでしょう。
・荒れた天気が多い訳ではありませんが、1年の中では最も風が吹きやすい時期で、低気圧の通過時などにまれに風が強まる場合が見られます。
日立市「夏の気候」
・海沿いは海からの気流の影響を受け、余り気温が上がらないことが大きな特徴です。
・最高気温は30℃以上の真夏日に「ならない」ことが多く、関東では「涼しい」夏を過ごせる地域と言えます。
・猛暑日を観測したこともありますが、頻度はかなりまれで、平均すれば年間1日にも達しません。
・梅雨の時期はある程度の雨量となりますが、西日本ほどの雨量にはならない傾向があります。
・7月などを中心にまれにかなりの天候不順が続き、晴れ間が極端に減る年が見られます。
・年ごとの差が大きいですが、7~8月を中心に大雨となったこともあります。
・7月などの天候不順傾向は、東北地方を中心に影響を及ぼす冷たい東寄りの風「やませ」の影響による場合が大半で、関東では最も影響を受けやすい地域と言えます。
・台風の影響を受けるケースもありますが、秋の方がその頻度は多い傾向です。
日立市「秋の気候」
・海沿いでは海水温の影響を受け気温はかなり温暖で、冷え込みを感じる時期は遅くなります。
・山間部、内陸部では比較的早い時期から寒さを感じやすい場合があります。
・9~10月が「1年で最も雨が多い」季節である点は、他の関東各地と大差ありません。
・台風や活発化した秋雨前線の影響などを受けて大雨となるケースが見られます。
・11月以降は天候が安定し、よく晴れて乾燥した天気が続きやすくなっていきます。
・台風による被害が特別に目立つような地域ではありませんが、秋は台風が接近・通過して影響を受けるケースも見られます。
日立市「冬の気候」
・関東の中では緯度的に「北側」に位置するにも関わらず、海沿いはそれほど寒くなりません。
・海沿いは冷え込みにくい環境で、東京近郊の市街地と比べても朝の最低気温が高い傾向が見られます。
・山間部、内陸部は海沿いとは異なり「厳しい冷え込み」となりやすい地域と言えます。
・1年の中で最も良く晴れる時期です。
・雨量は1年で最も少なく、ほとんど何も降らない状況が長続きしやすい時期です。
・雪はかなりまれな現象で、積もる場合も海沿いではそれほどの大雪にはならない場合が目立ちます。
・季節風が吹き込みやすく、風は1年の中では最も強い時期となります。
・晴れる上に季節風が吹き付けるため、非常に「乾燥」を感じやすい時期です。
【日立市の気候】ポイント・まとめ
【全体的な気候の特徴】
比較的穏やか・冬によく晴れ乾燥・雨は秋にピーク・海沿いは概ね温暖(内陸側と気温が異なる)・「やませ」の影響も
【気象観測】
気象庁は「日立」アメダスの1か所のみで観測・市が「日立市天気相談所」を独自に運営し各地で詳細な気象観測を実施
【各季節ごとの大まかな気候の特徴】
春:概ね温暖・内陸側では冷え込みも・早い時期から雨量がやや多い
夏:暑い日が少ない・7月などに「やませ」の影響で極度の天候不順の場合あり
秋:前半の雨はやや多い傾向・海沿いはかなり温暖・内陸部では冷え込みも
冬:よく晴れ乾燥・雨量はかなり少ない・海沿いの冷え込みは弱い・内陸部では厳しい寒さも・雪はまれ