関東で「梅雨」シーズンの雨量が多くなりやすい地域はどこ?

雪・気候

日本の気候を象徴する「雨季」とも言える6~7月の「梅雨」シーズン。

梅雨は、一般に西日本ほどその影響が大きい(雨量が多い)傾向があるとされ、関東は場所によっては梅雨時の雨量がそれほど目立たない地域もあります。

こちらでは、関東地方の中でも梅雨時の雨量が、平均的に比較的多くなりやすい場所はどこか?というテーマについて、具体的な気象庁のデータも交えながら解説していきます。

【大まかに】どういった環境で雨が多い?

関東地方各地の梅雨時の雨量を見た場合、基本的に雨量が多い地域は「山間部」・「海に近い地域」のいずれかとなっています。

とりわけ、後述する「箱根」や「島嶼部」のように、山がちな地形かつ海からも遠くないといった、その両方の条件を満たす環境であれば、雨量は非常に多い場所もあります。

すなわち、関東地方の中であっても、西日本ほど雨量が増えにくいという関東平野の一般的な傾向とは異なる地域もあるということになります。

【東京都内】多摩方面はやや雨が多い・島嶼部は多雨地域

6月平年降水量7月平年降水量
東京167.8156.2
八王子172.0188.3
青梅176.0197.9
小沢172.4220.0
小河内163.2205.6
単位はmm・気象庁の平年データ(2020年まで)による
6月平年降水量7月平年降水量
東京167.8156.2
大島328.8255.9
大島北ノ山244.9199.1
新島261.5205.3
神津島262.8189.4
三宅島349.7240.2
三宅坪田302.6236.3
八丈島390.3254.1
単位はmm・気象庁の平年データ(2020年まで)による

梅雨時の雨量は、東京都内の場合、都心部は関東の中ではごく平凡な雨量(多いとも少ないとも言えない)と言えます。

一方、都心と比べても比較的多い傾向を持つ地域は、島嶼部以外では山間部である奥多摩方面となっています。また、都市部でも八王子・青梅方面まで行くと、平均的な雨量は都心より多くなっています。雨がやや多くなる理由は、関東山地の山沿いの斜面に沿って、雨雲がやや発達しやすい点に由来し、他地域の山間部と大きな違いはありません。

また、「関東地方」の一般的区分とは異なるという考え方もありますが、大島など島嶼部では「本州側」の地域とは比べ物にならないくらいの雨量が見られ、雨が非常に多いシーズンとなっています。

島嶼部の雨は、地形による点も大きいようで、大島でも「大島」の観測所と「大島北ノ山」の観測所ではかなりの雨量差が見られるなど、雲が発達しやすい一部の斜面沿いとそうでない場所の差は比較的明瞭です。なお、雨量自体は「少ない」側であっても東京都心と比べると「かなり多い」ことに変わりはありません。

島嶼部は南からの太平洋高気圧に覆われやすい7月よりも、梅雨前線が日本の南岸沿いに停滞しやすい6月の方が雨がより多めの点も、本州側とは大きく異なる傾向となっています。

【神奈川県内】箱根は関東一雨が多い・横浜も関東では多めの傾向

6月平年降水量7月平年降水量
横浜188.8182.5
相模原169.6195.5
小田原219.3216.0
丹沢湖228.5313.0
箱根420.4425.3
単位はmm・気象庁の平年データ(2020年まで)による

神奈川県は、関東地方の中では梅雨時の雨量が多い地域です。

雨量は、箱根方面では増える傾向が顕著で、場所によっては西日本の雨が多い地域よりも更に雨が多いなど「関東一梅雨時の雨量が多い」地域となっています。また、険しい山地である丹沢山地一帯の雨もかなり多めです。

山地を除いて見ても、例えば横浜の雨量も比較的多めとなっており、横浜の6・7月の平年降水量は、西日本との比較でも大阪など一部の雨量を上回っています。

なお、山沿いの中でも相模湖の観測地点など北側の地域は、それほど雨の多い傾向は目立たず、関東ではやや多い程度に留まっています。

【埼玉県内】秩父山地周辺では雨量がやや多い

6月平年降水量7月平年降水量
さいたま144.8148.0
熊谷149.5169.8
飯能169.0186.6
秩父145.4192.0
三峰178.3216.9
浦山165.7229.2
単位はmm・気象庁の平年データ(2020年まで)による

埼玉県内については、神奈川の箱根や東京の島嶼部のように、気象庁の観測地点でかなりの「多雨地域」となっている場所はありません。

とりわけさいたま市の雨量は関東の中でもやや少ない傾向があり、東京・横浜と比べても少なくなっています。

県内で雨量が増えやすいのは関東山地(秩父山地)一帯で、特に秩父市の南側、山梨県や東京都と隣接する地域周辺は雨量がやや多い傾向です。

【千葉県内】房総半島の一部では雨量がやや多い傾向

6月平年降水量7月平年降水量
千葉150.9136.5
銚子166.2128.3
館山211.5179.2
勝浦222.2166.3
鴨川217.3171.9
単位はmm・気象庁の平年データ(2020年まで)による

千葉県は、一般に「海に近い」イメージではありますが、梅雨時の雨量が多くなりやすい地域は、特に温暖な海(太平洋)に突き出した房総半島の南側の一部に限られ、銚子市など、海に面している場所も含め北側では雨量はそれほど多くない傾向です。

館山・勝浦など房総半島南部の雨量は「6月にやや多く、7月は6月より減る」傾向が見られ、これは関東の内陸側とは全く逆の傾向となっています。7月に減少する要因としては、太平洋に近い場所ほど「太平洋高気圧」の勢力下に早い時期から入りやすい傾向にあることが挙げられます。

【茨城県内】県北部「阿武隈高地」沿いほど雨が多い

6月平年降水量7月平年降水量
水戸135.7141.8
つくば131.8134.6
北茨城158.0170.4
大能187.5220.4
大子148.0203.6
徳田147.7203.5
花園212.3233.6
単位はmm・気象庁の平年データ(2020年まで)による

茨城県内は、水戸市やつくば市などは、関東地方や本州各地の中でも梅雨時の雨量が特に少ない地域となっており、梅雨=雨のシーズンとも言い切れないくらいの気候とも言えます。

一方で、県北部「阿武隈高地(とりわけ多賀山地)」一帯は雨量が比較的多く、場所によっては水戸やつくばの1.5倍以上の平年雨量となっている地点があります。

雨量の多さは、山の斜面にそって雨雲が発達しやすくなる点が要因で、関東では北側に位置することから、梅雨前線が北上しやすい7月以降の雨量が多いことも特徴となっています。

【群馬県内】榛名山・赤城山周辺などで雨が多い傾向

6月平年降水量7月平年降水量
前橋147.8202.1
桐生152.8201.3
西野牧163.1203.1
黒保根176.5254.4
榛名山285.4313.7
草津218.3263.5
単位はmm・気象庁の平年データ(2020年まで)による

群馬県内は、梅雨時の雨量は県の中央部を中心に、関東の中では比較的多い地域が目立ちます。

比較的雨が少ない傾向は、舘林など関東平野一帯の県南部で見られる一方、平野部でも前橋では7月の平年雨量は200mm超と、西日本の一部地域を上回る雨量となってます。

雨量は特に榛名山・赤城山・足尾山地一帯の山の斜面に沿って多い傾向が見られ、この地域の雨量は関東では箱根周辺・島嶼部・日光連山周辺に次いで多くなっており、山の頂上に近いという特殊な環境を考慮する必要がありますが、榛名山の平年降水量は、関東北部では那須高原以外では見られない、300mmを超える数字が見られます。

【栃木県内】内陸ながら雨量は多い地域が目立つ

6月平年降水量7月平年降水量
宇都宮175.2215.4
奥日光228.8280.5
足尾185.7257.3
鹿沼203.6239.3
今市225.0286.1
塩谷193.9250.9
黒磯175.1254.5
那須高原220.5305.7
単位はmm・気象庁の平年データ(2020年まで)による

栃木県は、梅雨時の雨量で見た場合、箱根や東京都の島嶼部といった一部の「多雨地域」を除き、関東では最も雨量が多くなりやすい地域と言えます。

県内でも小山方面など、南側の関東平野一帯では雨量は少な目の傾向となりますが、宇都宮周辺などは7月の平年雨量が200mm以上となるなど、関東の平地では雨量が多くなっています。

また、宇都宮から少し北へ進むと雨量は更に急増し、日光連山・那須連山周辺の7月の平年雨量は300mm以上となっている地点があるなど、雨の多い傾向が顕著です。

雨は山の斜面で雲が発達する影響で多くなる傾向があるため、地形の影響が顕著であり、栃木県内でも南北による差が大きくなっています。