過去に沖縄県に襲来した「最強台風」とは?【風の記録から見る】

自然科学

こちらでは、毎年のように複数回台風による大きな影響を受ける「沖縄県」の歴史の中で、特に甚大な被害・記録的な暴風をもたらした「最強台風」と呼べる存在について、基本的に「戦後」のものを一覧でまとめていきます。

なお、当記事では特に被害が大きい・勢力が強いもののみをピックアップしていくため、被害が生じた台風であっても必ずしも全てを網羅している訳ではありません。また、こちらでは雨のデータではなく「風」のデータを基準にしているため、「雨台風」の一覧ではありません。

デラ台風(1949年)【那覇で記録的暴風】

最大瞬間風速最大風速
那覇観測開始前49.5m/s(歴代1位)

1949年の台風3号「デラ台風」は、フィリピンの東海上で発生した後、6月という通常台風の影響を受ける頻度がそれほど多くない時期に、真夏に見られるような「王道」とも言えるルートで沖縄・奄美・九州方面へと進みました。

台風は最盛期の勢力は960hPaと、沖縄に近づく台風の中では目立って強いものではなかったものの、暴風はかなりのもので、台風の中心から東側すぐ(危険半円)となった那覇では、観測史上最大である49.5m/sの最大風速を観測しました。

なお、被害は四国・九州・本州側で大きく、とりわけ愛媛沖の宇和海・伊予灘では海難事故が多数発生しました。

エマ台風(1956年)【那覇で最大瞬間風速の史上1位】

最大瞬間風速最大風速最低気圧
那覇73.6m/s(歴代1位)43.5m/s(歴代7位)936.3hPa(歴代1位)

1956年9月のエマ台風(台風12号)は、小笠原諸島近海で発生した後、一度南に下がりながら発達するという少し珍しいルートを辿った後、沖縄地方に近づきました。

930hPaという最盛期の勢力で台風がすぐ南側・西側を通過した那覇では、観測史上最大の73.6m/sの最大瞬間風速を観測し、気圧も観測史上最低の936.3hPaを観測するなどし、大きな被害をもたらしました。

台風は沖縄から離れた後は、各地に大雨・高潮などの被害をもたらしたほか、強い南風が吹く「フェーン現象」を誘発し、富山県魚津市で「魚津大火」を引き起こしたことでも知られています。

宮古島台風(1959年)【宮古島で国内歴代2位の低い気圧】

最大瞬間風速最大風速最低気圧
宮古島観測開始前53.0m/s(歴代3位)908.1hPa(歴代1位)

1959年(昭和34年)9月の台風14号「宮古島台風(気象庁による命名・国際名はサラ)」は、その後も「第2・第3」と続いて来襲した「宮古島台風」の「1番目」であり、グアム島付近から進んだ台風が沖縄周辺で最も発達し、宮古島付近を通過するというルートを取りました。

この台風では宮古島の観測所で908.1hPaという極端に低い気圧を観測し、この記録は1977年の「沖永良部台風」で観測された記録に次ぐ「歴代2位」の低い気圧の記録となっています。

台風が直撃した宮古島は建物の7割が損壊したとされ、多くの人的被害も発生するなど甚大な被害を受けたほか、宮古島通過後に接近した朝鮮半島の南部でも非常に大きな被害を出す形となりました。

台風23号(1961年)【大東島で記録的暴風】

最大瞬間風速最大風速最低気圧
南大東65.4m/s(歴代1位)39.8m/s(歴代4位)954.2hPa(歴代10位圏外)

1961年(第二室戸台風で有名な年)9~10月の台風21号は、一般的に歴史に名が残る台風とは言えませんが、マリアナ諸島の東海上で発生した後、大東島地方・沖縄地方に東側から近づく形のルートで進み、南大東では観測史上最大の65.4m/sの最大瞬間風速を観測しました。

第2宮古島台風(1966年)【富士山を除く全地点で最も強い最大瞬間風速】

最大瞬間風速最大風速最低気圧
宮古島85.3m/s(歴代1位・国内平地でも1位)60.8m/s(歴代1位)928.9hPa(歴代3位)

1966年(昭和41年)9月の台風18号「第2宮古島台風(気象庁による命名・国際名はコラ)」は、グアム島周辺から西寄りに進み、発達しながら沖縄地方に接近し、「かなりゆっくり」進みながら宮古島を直撃しました。

宮古島付近を通った時点が台風の最も発達したタイミング(中心付近で約920hpa)であったことから、宮古島では極端な暴風となり、観測された最大瞬間風速「85.3m/s」は宮古島・沖縄地方の「観測史上最大」のみならず、富士山頂という特殊な環境を除いて見た場合、2022年現在に至るまでの「日本全国の観測史上最大」の最大瞬間風速となっています。

極端な暴風に見舞われた宮古島島内では、風の強さに加え台風の速度が遅く、暴風雨が「丸1日以上」続いたこともあり、半数を超える住宅が損壊し「全壊」したものも多く見られたほか、特産品の「サトウキビ」も多くが収穫不能になるなど甚大な被害を受けました。

なお、台風は沖縄地方から離れた後は中国大陸に上陸し大きな被害をもたらしましたが、本州などへ大きな影響をもたらすルートではありませんでした。

第3宮古島台風(1968年)【再び大きな被害に見舞われる】

最大瞬間風速最大風速最低気圧
宮古島78.0m/s(歴代2位)54.3m/s(歴代2位)942.5hPa(歴代6位)
久米島62.4m/s(歴代2位)43.7m/s(歴代1位)947.9hPa(歴代5位)

第2宮古島台風から2年後の1968年(昭和43年)9月には、「第3宮古島台風(気象庁命名・国際名はデラ)」が再度宮古島地方を中心に甚大な被害をもたらしました。

この台風は、沖ノ鳥島の南南東の海上で発生し、その後沖縄方面へと進み、第1・第2宮古島台風と比べると中心気圧は高かったとはいえ、930hPa程度と最も発達した状態で宮古島地方へ近づいたことで、再び記録的な暴風をもたらす形になりました。

宮古島の最大瞬間風速は78.0m/sと歴代2位の記録となっているほか、台風の「危険半円」側で特に中心に近かった久米島でも最大瞬間風速が歴代2位、最大風速は歴代1位となるなど記録的な暴風が観測されました。

なお、台風はその後九州に上陸し急速に衰えましたが、離れた紀伊半島一帯で台風+秋雨前線の影響によりかなりの大雨となりました。

台風5号(1977年)【石垣島で記録的暴風】

最大瞬間風速最大風速最低気圧
石垣島70.2m/s(歴代2位)53.0m/s(歴代1位)931.7hPa(歴代5位)

1977年7月から8月にかけての台風5号(国際名ヴェラ)は、それほど知名度が高い過去の台風とは言えませんが、石垣島では観測史上1位の最大風速・史上2位の最大瞬間風速を観測するなどし、島内に大きな被害をもたらしました。

台風は沖縄の東海上で発生し、発生した緯度が高かったことが特徴であるほか、北ではなく時折角度を変えながらも真西の方向へ進み、先島諸島周辺で925hPaと最発達し、石垣島のすぐ南・西側を通る形で台湾北部・中国大陸へと進みました。

台風13号(1994年)【与那国島で記録的暴風】

最大瞬間風速最大風速最低気圧
与那国島70.2m/s(歴代2位)41.6m/s(歴代10位圏外)950.6hPa(歴代10位圏外)

1994年の8月に発生した台風13号(アジア名ダグ)は、一般的に知名度が高く歴史に残っている台風とは言えませんが、与那国島では観測史上2番目に強い70.2m/sの最大瞬間風速を観測(70m/s以上の記録は国内でも珍しい)し、被害をもたらした台風となっています。

この台風は、マリアナ諸島の西の海上で発生し、その後フィリピン海を進み先島諸島に近づき、与那国島と台湾の間を通過するルートで進みました。

なお、与那国島では台風が最接近している時間帯に、台風による影響で「風速計が故障」したため、実際の最大風速・最大瞬間風速ははっきりしておらず、あくまでも可能性に過ぎませんが、より強い風が吹いていた可能性もないとは言えません。

台風14号(2003年)【宮古島で約35年ぶりに70m/s以上の風】

2003年9月11日の天気図
出典:気象庁「日々の天気図」(https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/hibiten/index.html)
最大瞬間風速最大風速最低気圧
宮古島74.1m/s(歴代4位)38.4m/s(歴代10位)912.0hPa(歴代2位・国内歴代4位)

2003年9月の台風14号(アジア名マエミー)は、マリアナ諸島周辺で発生し、長距離を進んだ後沖縄の南海上で最も強い勢力に発達し、宮古島を通過(「台風の目」に入る形)しました。

宮古島では国内歴代4位となる912.0hPaという非常に低い気圧を観測したほか、約35年ぶり(第3宮古島台風以来)に最大瞬間風速70m/s以上を観測し、昭和期ほどではないものの、島内の各地に比較的大きな被害をもたらしました。

なお、台風はその後は朝鮮半島へ向かい、済州島や釜山周辺ではかなり大きな被害が発生しました。

台風13号(2006年)【八重山地方で記録的暴風】

2006年9月16日の天気図
出典:気象庁「日々の天気図」(https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/hibiten/index.html)
最大瞬間風速最大風速最低気圧
西表島69.9m/s(歴代1位)37.4m/s(歴代5位)923.8hPa(歴代1位)
石垣島67.0m/s(歴代3位)48.2m/s(歴代5位)926.4hPa(歴代3位)

2006年9月の台風13号(アジア名サンサン)は、フィリピンの南東海上で発生し、沖縄近海で最も発達し石垣島付近を通過するルートで進みました。

西表島では歴代1位となる69.9m/sの最大瞬間風速を観測するなど八重山地方を中心に被害が発生し、中心気圧も923.8hPaというかなり低い気圧を観測しました。

なお、台風は沖縄から離れた後は九州北部を通過し、九州各地で暴風・大雨に見舞われ、宮崎県では竜巻により列車が脱線するなど大きな被害が発生しました。

台風11号(2007年)【久米島で記録的暴風】

2007年9月15日の天気図
出典:気象庁「日々の天気図」(https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/hibiten/index.html)
最大瞬間風速最大風速最低気圧
久米島62.8m/s(歴代1位)32.6m/s(歴代7位)949.1hPa(歴代6位)

2007年9月の台風11号(アジア名ナーリー)は、南大東島の東海上で発生し、発達しながら沖縄付近に近づき「久米島」を直撃する形となり、観測史上最大62.8m/sの最大瞬間風速を観測し、島内では多くの被害が発生しました。

この台風は勢力は非常に強いものの最盛期で940hPaと、その他の有名な台風と比べると気圧は高めとなっていましたが、台風の形が小さく「気圧の傾き」が非常に大きくなったこともあり、中心付近が通過した久米島のみ極端な暴風に見舞われる形となりました。

台風12号(2007年)【11号のすぐ後に沖縄へ・西表島で記録的暴風】

2007年9月18日の天気図
出典:気象庁「日々の天気図」(https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/hibiten/index.html)
最大瞬間風速最大風速最低気圧
西表島65.9m/s(歴代2位)37.4m/s(歴代5位)926.8hPa(歴代2位)

久米島に被害をもたらした台風11号が通過した翌日にフィリピンの東海上で発生した台風12号は、翌日には先島諸島へと近づき、9月18日には925hPaというかなりの勢力で西表島を通過する形となり、西表島では歴代2位の65.9m/sの最大瞬間風速を観測し、最低気圧も歴代2位の926.8hPaを観測しました。

なお、台風はその後は中国大陸に上陸し、比較的大きな被害をもたらしました。

台風15号(2015年)【沖縄付近で再度発達・石垣島で記録的暴風】

2015年8月7日の天気図
出典:気象庁「日々の天気図」(https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/hibiten/index.html)
最大瞬間風速最大風速最低気圧
石垣島71.0m/s(歴代1位)47.9m/s(歴代6位)946.7hPa(歴代10位圏外)

2015年8月の台風15号は、マリアナ諸島周辺で発生した後発達しながらフィリピンに近づき、フィリピン近海で進路を北に変えてからは勢力が一時弱まる傾向となりましたが、沖縄近海で再度発達し、非常に強い勢力で先島諸島へ近づきました。

台風は石垣島で観測史上1位の最大瞬間風速となる71.0m/sを観測するなどかなりの暴風をもたらしたほか、その後九州に近づき太平洋側を中心に広範囲で大雨をもたらすなど、日本各地にもたらした被害も大きな台風でした。

台風21号(2015年)【与那国島で80m/s以上の最大瞬間風速】

2015年9月28日の天気図
出典:気象庁「日々の天気図」(https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/hibiten/index.html)
最大瞬間風速最大風速最低気圧
与那国島81.1m/s(歴代1位)54.6m/s(歴代1位)949.3hPa(歴代8位)

2015年9月の台風21号(アジア名ドゥージェン)は、フィリピンの東海上で発生し、その後ほぼ直線的に西北西方向へ進み、最も発達した状態で先島諸島(特に八重山地方)へ近づきました。

暴風は八重山地方の中でも与那国島周辺で特に強まり、与那国島の観測地点では81.1m/sの最大瞬間風速を観測し、これは日本国内の観測記録としては歴代4位、富士山頂という特殊な環境を除いて見た場合歴代3位の記録となっています。

暴風を受けた与那国島では建物の損壊や電柱の倒壊、農業被害などが大きかったほか、台風は大雨ももたらし、与那国島では24時間降水量が427.0mmと歴代4位の記録を観測しています。