館山市の気候とは?その特徴・季節ごとの傾向を解説【温暖・海沿い】

自然・気候

こちらでは、千葉県のみならず関東地方(島嶼部を除く)の中でも特に南側に位置する千葉県「館山市」の気候について、全体的な特徴・季節ごとの傾向などを解説していきます。

房総半島の先に突き出したような位置にある館山市は、海が気候に与える影響が大きい地域で、大まかに言えば「温暖・多湿」な気候が特徴と言えます。

なお、記事の内容は全て「過去の一般的な傾向」について記述するものです。また、情報は2022年時点の確認状況に基づいております。今後変更となる・状況が変わる可能性もありますので、その点はご留意下さい。

【館山市】全体的な気候の特徴・地理的特徴

太平洋に突き出したような地理的条件を持つため、海が気候に与える影響が大きくなっています。

年間を通して概ね「温暖」で、冬を除き比較的「多湿」な環境となっています。

但し、地形の関係上冬はやや冷え込む場合もあり、朝晩の気温という意味では千葉市よりも観測気温が低いなど、市街地は関東で最も温暖な地域ではありません。

市内は洲崎のように海に囲まれたような地域もある一方、房総丘陵一帯の森も多く、場所によって気温などが大きく異なることも考えられます。

館山市は、千葉県の「安房地域」に位置し、隣接する南房総市とともに千葉県・関東地方(島嶼部を除く)では最も南側に位置する自治体となっています。

市内は最も内陸側でも海から5km程度と、海沿い以外も含め太平洋からの距離は近い地域で、市域の西側は直接海に面する形となっており、特に房総半島の最西端である「洲崎」一帯は、特に海に突き出した(囲まれた)ユニークな地形となっています。

市内は海沿いの低い土地も多い一方、房総丘陵と呼ばれる比較的ゆるやかな丘陵地帯も広がっており、森林となっている場所も多くなっています。標高は高くなく、房総丘陵一帯でも100m台程度と、山間部とまで言えるような環境はありません。

災害史については、海に面した環境かつ、関東でも最も南側ということで「台風」による被害の歴史がやや目立つ地域で、近年では2019年の「令和元年房総半島台風(台風15号)」による被害が大きかったことで知られています。

【館山市】基本の気象データ・観測の状況

館山特別地域気象観測所の「雨温図」(気象庁の2020年までの平年データによる)
降水量
(mm)
平均気温
(℃)
最高気温
(℃)
最低気温
(℃)
相対湿度
(%)
風速
(m/s)
日照時間
(h)
※降雪量
(cm)
※最深積雪
(cm)
降雪日数
1月85.96.411.31.2633.4176.8003.1
2月81.97.011.91.8643.1155.2114.2
3月160.910.114.65.1683.6164.501.0
4月155.714.519.09.7733.8179.100.1
5月153.218.522.814.5773.4185.00
6月211.521.525.218.4833.4135.30
7月179.225.228.922.4844.0179.20
8月103.426.730.823.7823.3216.20
9月222.023.727.820.3813.1152.50
10月257.518.623.014.6783.0137.00
11月143.513.718.48.9743.0146.50.1
12月91.28.913.93.8673.2164.001.0
1845.916.220.612.0753.41991.7119.9
気象庁の平年データ(2020年まで)による
※降雪・積雪に関する観測は2006年で終了のため限定的データ

館山市内には、気象庁が設置した観測地点として、気温・降水量・風速などに加え、自動で天気の内容も観測(降雪日数など)している「館山特別地域気象観測所」があります。

この観測所は、館山市長須賀に設置されており、JR館山駅などのある館山市街地一帯ということで、その周辺の気象状況を反映したものとなっています。一般論として考えた場合、より海からの風を直接受けやすい市内の南西側(布良など)の場合、この数字とは実態が大きく異なっている可能性もあると言えます。

この他には、千葉県などにより別途複数の地点で雨量の観測が行われており(安房土木事務所・西岬など)、最新のデータを確認することが可能です(リンク:千葉県防災ポータルサイト川の防災情報-国土交通省)

【館山市】季節ごとの気候」

館山市「春の気候」(3月・4月・5月)

気温

・市街地の場合、平均気温は東京などに比較的近い傾向となっています。
・概ね温暖ですが、海からの気流の影響により、昼間の気温は関東内陸ほど上がらない傾向がはっきり見られます。
・地域によっては、寒さは限定的とは言え、3月はまだ冷え込みを感じやすい場合もあります。

天気・雨

・晴れ間も多い時期ですが、天気は周期的に変わる季節となっています。
・雨量は3月の時点から比較的多く、ある程度まとまった雨量を観測することがあります。

その他

・冬の北寄りの季節風が、南寄りの風へと変わっていくシーズンです。
・風向きの変化に伴い、海からの湿った気流が入りやすくなり、湿度は上昇傾向となります。
・低気圧が発達しながら通る場合などは、荒れた天気となるケースもあります。

館山市「夏の気候」(6月・7月・8月)

気温

・関東の中で見た場合、気温が特段高い地域ではありません。
・「熱帯夜」は比較的一般的ですが、「猛暑日」はほぼ観測されない環境です。
・もっとも、夏の間は湿度も上がりやすいため昼間「涼しい」地域とまでは言えません。

天気・雨

・海からの湿った気流の影響を受け、関東地方の中では「梅雨時の雨量」が多い地域です。
・8月は「太平洋高気圧」の影響を強く受け、雨が減る傾向、よく晴れる傾向が強くなっています。
・太平洋から吹き込む冷たい東風「やませ」の影響を受けにくいため、日照不足や天候不順にはなりにくい環境です。

その他

・海からの湿った風の影響を受け、湿度は晴れた日でも高い場合があります。
・県内では銚子市街地で多く見られるような「海霧」は、館山市街地ではかなり少なくなっています。
・台風の影響は夏の時点から受ける場合があり、暴風や高波など大きな影響が出るケースも見られます。

館山市「秋の気候」(9月・10月・11月)

気温

・温暖な状況が続きますが、残暑が極端に厳しい地域ではありません。
・11月以降、市街地周辺などは「海沿い」としては冷え込みやすく、年によっては霜や氷が見られる冷え込みとなるケースがあります。

天気・雨

・9月~10月の雨量は多く、10月の平年雨量は8月の2.5倍程度となっています。
・台風の影響(秋雨前線の活発化なども含む)による雨が多く、過去には24時間で200mm以上、300mm以上というかなりの大雨を観測したこともあります。
・日照時間はやや少な目で、1年の中では最も晴れ間が少ない傾向の時期と言えるでしょう。

その他

・台風の影響は受けやすく、比較的多くの年で暴風を観測しています。
・市内でもとりわけ南側を海に面した地域では、台風による暴風の影響がより大きくなるケースが見られます。
・風の向きが北寄りとなることも増えるため、次第に湿度は低下していく季節と言えます。

館山市「冬の気候」(12月・1月・2月)

気温

・関東地方では三浦、勝浦、銚子といった地域と並ぶ最も温暖な地域の一つです。
・昼間の最高気温は高めで、10℃以上のことが多く、時には15℃以上となることもあります。
・市街地一帯など、市内は地域によってやや冷え込みやすい傾向を持ちます。
・氷点下の最低気温が観測されるケースも珍しくないという点では、銚子や勝浦などとは環境が異なります。

天気・雨・雪

・概ね良く晴れて乾燥する季節ですが、低気圧通過時に影響をやや受けやすいため、東京などと比べると晴れ間はわずかに少ない傾向です。
・降水量は関東の中では多い方で、関東内陸の一部と比べ、平年雨量は3倍程度に達します。
・雪はかなりまれで、東京が雪の際も雨で降る場合が多くなっています。
・過去に積雪となったことはありますが、頻度はかなり少なく、記録に残る大雪はほぼありません。

その他

・北寄りの季節風が吹き付けることも多く、体感的な気温は実際より低く感じられやすいかもしれません。
・南からの湿った気流が入りにくくなるため湿度は下がり、海沿いも含めかなり乾燥する季節と言えます。

【館山市の気候】ポイント・まとめ

【全体的な気候の特徴】
海からの影響が大きい気候・概ね温暖多湿・気温には地域差も

【気象観測】
気象庁の「館山特別地域気象観測所」があり・千葉県等により雨量計が別途設置

【各季節ごとの大まかな気候の特徴】
春:概ね温暖・天気は周期的に変わる・雨量は3月の段階から比較的多い
夏:梅雨時の雨量は多め・8月は晴天が続きやすい
秋:概ね温暖・9~10月の雨量は多い・台風の影響を比較的受けやすい
冬:関東では特に温暖・地域によってはやや冷え込みやすい・晴天、乾燥傾向も雨量は関東では多め